今明かされます!わたしの能力の全貌!
あれ?
わたしはなぜ、こんなところにいるのでしょうか。
現在、わたしは崖の付近に立っていました。
崖の先端に行って下を覗いてみますと、遥か下に青い海が見えます。誰かに突き飛ばされでもしたら間違いなく命はないでしょう。
刑事ドラマではよくある展開ですが、これは現実です。
わたしは確か、李さんの入院している病院に彼女をお見舞いにいきました。その後で何かあって、どうやらわたしはここに来たようです。
ちょっと待ってください。
病院の前で誰かに会ったような気がします。
ええと……白のオールバックの髪に立派なお髭、それに白い軍服――
思い出しました。
わたしは病院の入り口でジャドウさんと会って、彼と少し言い合いになって、李さんの病室に行ったのです。李さんは肉体治癒装置という装置に入って痛々しい姿をしていました。
その後、ジャドウさんと再び口論になって、彼が決闘を挑んできたのです。
それで彼が相応しい場所にとわたしをここへ瞬間移動させた――
ここまでの記憶をどうにか思い出すことができましたが、問題は次です。
間違いなくジャドウさんはわたしとここで闘ったのでしょう。
ですが、肝心の彼の姿が見当たりません。
武人然とした彼が自分から決闘を挑んで逃げたというのは考えられませんから、あり得る線としてはわたしとの決闘の最中に誤って海に転落したか、それともわたしが彼を遠くへ投げ飛ばしでもしたか、あるいはまだどこかに隠れて隙を伺っているのかもしれません。
再度海を見てみますが、彼の姿は見当たりません。
海に落下して、泳いでどこかに行ったのかもしれません。
可能性としては様々ですが、今確実に言えることは、彼はわたしに決闘を挑み、どこかへ姿を消したということだけです。
それにしても不可解なのは、わたしの身体に戦闘の傷が一つも付いていないということです。
ジャドウさんほどの手練れ、しかも武器を持っている相手ですから、何かしら負傷をしてもおかしなことではないのですが……
もしかすると、スターさんが前に食べさせた白色の超人キャンディーの能力と何か関係があるのかもしれません。
あの時、わたしは何の能力を身に着けたのか聴くことはできませんでしたから、詳細がわからないのです。
良い機会ですから、帰ったら、早速スターさんに訊いてみることにしましょう。
ですが、その前に。
ここからどうやってスター流のビルに帰ったらいいのでしょうか?
「ジャドウ君が君に決闘を挑んだ?
ハハハハハハハハハハハ! 冗談はよしてくれたまえ」
「本当なんです。信じてください」
「わたしには彼が君に決闘を挑むなんてどうも信じられなくてね。
冗談としか思えない」
「でも、本当なんです!」
「そうは言っても、君が負傷した様子が無いし」
「……それはそうですけど……」
「証拠がないなら証明できないね」
街行く人に行先を訊ね、どうにかビルに戻ることができたわたしは、事の一部始終をスターさんに話します。
ですが彼はよほどジャドウさんを信頼しているのでしょうか、
中々信じて貰えません。
終いには証拠を出してほしいと言われましたが、決闘を証明できるものが何もないので、わたしは口ごもってしまいました。
「まあ、君に負傷箇所が無いのは無理もない。
君の獲得した能力ならそうなって当然」
「わたしの能力って、何なんですか!?」
さらりと言った彼の一言に食いつき、身を乗り出して訊ねるわたしに、彼は少し引き気味の笑顔を見せながら答えを口にしました。
「君の食べた白いキャンディーは『あらゆる攻撃を何倍にして返す』能力なんだ」
「倍にして、返す……?」
「そう。例えば、わたしが君を銃で撃ったとしよう。するとたちまち、私に向かって無数の銃弾が撃ちまくられる!」
「原理はどうなっているのですか」
「わかりやすく説明するから、よく聞くんだよ」
彼が話してくれた情報によりますと。
能力は全方位に対処可能。
無意識に反応しどのような攻撃も跳ね返す。
受けた攻撃を身体が瞬時に分析・及び再現する。
殴打や斬撃など個人から繰り出される攻撃は光のオーラが攻撃を具現化し、対象者の攻撃が一回だった場合は一〇回分の攻撃を繰り出す。
回避不可能な攻撃であるので、対象者は確実に攻撃を受けることになる。
戦闘機などによる兵器の攻撃の際はそれに対応した肉体変化が行われ、攻撃される。
例えば攻撃されたのが戦闘機だった場合は両腕が戦闘機の翼になり、無尽蔵に銃弾を乱射するなど。
攻撃の反射する際、副作用として戦闘時の記憶を失うことがある。
スターさんの説明で大体のことはわかりました。
するとわたしがジャドウさんとの闘いの記憶を失っているということは、先ほどの説明と照らし合わせて考えますと、能力を発動したことになります。
それを伝えますとスターさんは頷き。
「そうなるね。ダメージも跳ね返す際に全部回復されるから、君が傷を負っていないのも頷ける」
「では、ジャドウさんはわたしの能力によって命を落と――」
「それはない。ジャドウ君に限ってそれはない」
わたしの心配をよそにスターさんはあっさりと断言しました。
これほど強力な攻撃なら、いくら彼でも致命傷を受けていても不思議ではずですのに。
「スター流の門下生は、長い歴史の中でこれまで多数の戦闘による死者を出した。
でもね、ジャドウ君は一度も死亡したことはない。
死亡したと見せかけて皆を驚かせることはあるけれど、彼が本当に死亡したことは一度としてない。彼はどんな状況であったとしても、必ず予防策をとってある。
たとえば、身代わりを用意したりとか。
彼は分身術が得意だから、そのような芸当は当たり前にできる。
まあ、心配するだけ無駄ということだね」
「どうして予防策をとることができるのでしょう」
「君は知らないかもしれないけど、彼は占いで先の未来を予測できる。
その予測に従って行動すれば、相手の行動も丸わかりで、戦闘でも常に先手を取ることができる。
スター流が百戦百勝なのも彼の占い力があってこそ。
彼が万が一敵に回ったらと考えると怖いよ。まあ、あり得ないけどね」
スターさんの話のおかげでわたしは安心することができました。するとスターさんは立ち上がり。
「美味しいチョコレートアイスを買ったから一緒に食べよう。君も食べるだろう?」
「はい! わたしも歩き疲れてお腹ペコペコだったんです!」
「それは良かった。じゃあもってくるからね」
彼が歩いて会長室の扉に行き、手を触れたその時です。
バァンと勢いよく扉が開いて、不動さんが中へ入ってきました。
「大変だ! スター、ガキ! 今すぐテレビを点けて見ろ!」
息を切らし、切羽詰まった表情の不動さん。一体、何が起きたというのでしょう。
取りあえず、テレビのスイッチを付けてみましょう。
不動さんに構わずアイスクリームを取りに行ったスターさんには申し訳ないと思いながらも、会長室にある特大テレビの電源を付けました。するとそこに映っていたのは。
「これは……」




