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地上数十メートル!落ちたら命の保証はありません!?

部屋に入り李さんの姿を見たわたしは、言葉が出ませんでした。


李さんは緑色の液体が注がれた巨大なカプセルの中にいました。


目を閉じ、口元から呼吸をしている証拠である泡が吐き出される以外は手足も一切動かず、まるで眠っているかのようです。


わたしはカプセルの窓部分に触れました。


ひんやりと冷たく、堅い感触が指を通して伝わってきています。


彼女の頬に触れて、わたしの元気を分けてあげたいのですが、そうすることもできません。


自分の無力さに自然と涙が溢れてきます。


「小娘よ」


背後から声がしましたので振り返ってみますと、そこにはいつの間にいたのでしょうか、ジャドウさんの姿がありました。


「ジャドウさん……」


「小娘よ。李は決して実力的に目黒に劣っていた訳ではない。

吾輩はこの目で彼らの闘いを観ていたから言い切れる。

では、なぜ李はこれほどまで痛めつけられたと思う?」


彼は思い当たる節があるだろうと言わんばかりに鋭い目つきで圧力をかけてきます。


彼の目はとても冷たく、見ているだけで全身が凍ってしまいそうですので、視線を横に反らして答えました。


「分かりません。その目黒さんという方が李さんを卑怯な手で苦しめた、ぐらいしかわたしには考えられません」


「違うな。小娘よ、ようく聞け」


彼は人差し指を突き出すと、スーッと真っ直ぐわたしを指差し。


「奴がこれほどまでに苦戦を強いられたのは、お前に責任がある」


「わたしに……!?」


「左様。先の忍者軍団との死闘で李は疲労困憊し、まともに闘える状態ではなかった。

だが、お前の危機を察知した奴はお前を助けるべく負傷した体に鞭を打ち、お前を救出した。

その上、お前に肩を貸してスターコンツェルンビルまで運ぶという重労働をしている。

目黒から奴への果たし状が来たのはその数時間後。

いかにスター流と言えどもこれほど肉体を酷使し負傷した体で目黒相手に闘うというのは

無謀もいいところだ」


「何故、李さんは決闘に応じたのでしょう?」


「知らぬ。だが、甘い奴のことだ。大方、目黒が病室に入れば隣にいるお前も巻き込まれると考えたのであろう」


わたしのせいで李さんがこのような状態になった。

あの時、わたしにもっと力があれば。

忍者さん達を全て撃退できるような力があったのなら。

彼女は魂を消滅させることもなかったはず。

全ては、わたしのせい。

わたしが弱いから、彼女が傷ついてしまった――


「そう。全てはお前のせいだ」


ジャドウさんは口元に引きつった笑みを浮かべ、言い切ります。


スターさんはジャドウさんは目黒さんと李さんの闘いの一部始終を見ていたと言っていました。


彼は嘘を吐くような人ではないですから、ジャドウさんが見たというのは事実で、ジャドウさんの話す言葉も事実なのでしょう。


ですが、一つだけ気がかりなことがあります。


「ジャドウさん、あなたは闘いの一部始終を見たと言いましたね」


「左様」


「では、どうして苦戦する彼女を助けなかったのですか」


「吾輩は傍観者だ。

闘いを観察はすれど、助太刀に入る義務はなかろう」


「義務はないかもしれませんが、少なくともあなたが割って入るか逃走を促すなりすれば、彼女はこれほど重傷を負うことはなかったのではないですか」


「人生経験の浅い小娘の分際で、スター流最古参である吾輩に責任を転嫁するつもりか」


「そのつもりではありません。ただ、わたしは自分の考えを述べただけです」


するとジャドウさんは拳を強く握り、目を血走らせ。


「お前の物言いが気に入らぬ。その言動はヨハネスを彷彿とさせる。

あの大食漢のせいで、吾輩がどれほど惨めな思いをしたか……

丁度良い。お前は以前からスター様に害をもたらす者と睨んでいたが、吾輩に意見するところを見ると、そのうちスター様にも逆らい、あのお方の地位を脅かす存在になるやもしれぬ」


「ちょっと待ってください! 一体何の話を――」


「問答無用。場所を変え、貴様を切り捨ててくれる」


彼が指を鳴らしますと、わたし達は崖の上にいました。


下を覗くと深い海になっており、落ちれば命の保証はありません。


どうやらジャドウさんもスターさんと同じく自分や他者を自由にワープさせることができるようです。


落ちないように気をつけながら彼と向かい合います。


すると彼は既に腰の鞘から剣を引き抜き、じりじりとわたしに距離を詰めてきます。


場所は断崖絶壁、下は海の底。前は剣を手にしたジャドウさん。


どこにも居場所はありません。


「フフフフフフ、偉大なるスター様に新しいお気に入りができて、これ以上堕落されては困るのでな。

彼が近頃気に入っていると見えるお前を海の藻屑とすることにした。

安心するが良い、お前の肉体は鮫の餌となり跡形もなく消え去る」


この状況、わたしは闘うべきなのでしょうか。


それとも反抗した罰として彼に大人しく斬られるべきなのでしょうか。


誰か、答えを知っているのなら教えてほしいです。

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