終
「ベスト・カップル賞だよな、レオンハルト王とアメリア王妃は。」
「わたしもそう思うわ。・・・うらやましい。」
「なんだお前、悪い男にでも捕まったのか?」
「し、失礼ねっ、捕まってないわ!」
ふははっ、とレオが大笑いするのをにらみつけ、ミリィはイザリエ王国史を棚に戻す。
「レオンハルト王は、その後も何度か隣国と戦争したよな。案外、アメリア王妃は強かに王位略奪を狙っていたとか・・・」
「ちょっとっ、夢を壊さすようなこと言わないで!そんなのあり得ないわ!」
アメリア王妃はレオンハルト王を支えた良妻賢母として、イザリエ王国史でも有名である。イザリエ貴族の親が、彼女のようであれと教える女性だ。
「あり得るかもしれないし、あり得ないかもしれない。それが俺たちが研究する、歴史ってものだろ?」
大学で考古学者の教授について史跡をまわり、レオとミリィが明かしたい真実。それが分かるのは、いつになるのか。
「って、今何時?教授に呼ばれていたのよっ!」
「あー、そういえば、俺はお前を呼びに来たんだ。・・・教授が待ってるぞ。」
「もう、遅いわよっ!」
おそらく、反省レポートを書かされる。
「ってぇな!」
レオの頬を思いっきりつねって、ミリィはかけだした。