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ピンク

まずい……私、寝ていたんだ……

きっと今朝の()()の影響だろう。


「もー、だめだよ焔君! こんな過労になるまで訓練させるなんて……」


誰かの声がする……

私が上体を起こすと、顔に柔らかい物が触れる。


「きゃーーー! びっくりした! 」


お……お胸……たわわな……


「だ、大丈夫!? ごめんね、君の体……かなり疲労してるって聞いて驚いたよ。俺が時間外でもトレーニングしろって言ったから……」


レッドが彼女から私を急いで引き剥がすと、彼はそう言って私の顔を覗き込む。


「そーよ焔君!正直茶化しちゃいけない状態だね。何でそうなってるか知らないけど、生命力が弱ってる……

もうちょっと生徒に気を配ってあげないと子供の体なんてすぐ壊れちゃうよ。」


距離が出来た事で初めて理解した……この人、コズミックピンクだ。

アニメで見た通り可愛くて何よりスタイルがよく、すぐに解った。


それにしても、ピンクの能力は確か火力系だった筈、

どうして医務担当のような事をしているのだろうか?

アニメではそんな描写無かったのに。


「ま、これは焔君にも言えることなんだけどね! 君はヒーローなんてできる状態じゃないと思うな、私。」


ピンクがそう言ってレッドを睨む。

そうよ、あのおびただしい数の火傷……!やっぱり普通じゃないわよね。


「親御さんの事情は聞いてる、でももうちょっと話し合えない? 私も……きっとブルーも一緒に話してくれるよ。」


「だ、大丈夫だから! 彼女のいる所でそんな話……やめろって。」


「……ははーん? え、焔君彼女のいるとこでってそれどういう意味?

もしかしてただの生徒と先生じゃないのかなー? 歳近そうだし……まさかまさかのこれってやつぅ~? 」


彼女はそう言って小指を立てる。


「え? 何それ……? 」


レッドは彼女の小指を凝視しながら首を傾げた。


「恋人って事よ」


「はあ!? 違う! 彼女には好きな人がいて…

生徒にかっこ悪いとこ見せたくないって意味だったんだけど、ピンクってすぐそういうとこに話持ってくんだよな……! 」


「あはは! いつも達観した風な焔君が焦るとこは本当に可愛いなー!思春期はそのくらいでいいと思うよ、おじさん。」


おじさんって……どっからどう見ても美少女なんですけど……


「も、もう行こうリリア! そろそろ集合時間だし……! ピンク、診てくれてありがとな! 」


彼はそう言うと私の手を引き、ちょっと不機嫌そうに医務室から出た。


「若いねえ~」


……


「あの……レッド……先生。さっきはありがとう、助けてくれて。」


「リリアはすぐにトラブルに首突っ込むし無理しちゃうし心配だな。

そうだ!リリア、俺のお手伝いしない?そしたら俺、時間外もリリアの事見てあげられるよ!」


「えっ……

 手伝いって……私じゃ何も出来ないわ。」


「そんなことない、前みたいに手当して欲しいな、

リリアの手でまた冷やして欲しい。」


手当前提?勿論彼の能力的に怪我をしない方が無理があるのかもしれないが、

レッドの態度はまるで傷つく事が当たり前で、自分を守る気が無いように映ってしまう。


「か、考えとく」


ヒーローのお手伝いか。

現役ヒーローと一緒に行動できるチャンスでもあるし、

少しウリュウと相談してみよう。


ーーー


「リリア様、レッド先生と一緒に戻って来たからびっくりしました!

トイレの場所解らなかったなら言ってくれたらよかったのに! 」


集合場所に着くと、フユキが走り寄ってきて言う。


「ちょっと! 大声でそんな事言わないでよ! 」


「え? 何でですか? 」


「リリア! 大丈夫だったか?帰って来なかったから心配した。」


フユキに続いてゆかりもこちらに駆け寄り私の肩に触れようとしたが

「ゆかり君と冬樹君だっけ? ヒーロー本部は思う存分回れましたか? 」

ゆかりの手を遮るように、レッドがユカリと私の間に入って尋ねる。


「レッド先生……うっす! お陰様で楽しめました! 」


「それなら良かった。」


彼はそう言ってにこりと笑うと、私の手を引いてそのままエントランスのソファに腰掛ける。


「ねえ、あれやって! ひやってするやつ。」


「あの……私、考えとくって言ったのよ? 今はあなたのお手伝い係では無いんだけど…」


「手伝い係じゃないとやってくれないの?……へえ……せっかく彼の件も大目に見たのにな。」


レッドはそう言ってゆかりの方を見る。


「う…解ったわよ!」


職権の乱用…下手したらセクハラにあたるのではないだろうか?

彼は腕の上に私の手を乗せると、「とっても楽…」と言って笑った。


まあ、少しでも痛みが和らぐなら……手伝ってもいいか。


「あれ?焔君……えっと……と、友達ィ?」


私が彼の腕を冷やしていると、ブルーが何とも言えない表情でそわそわしながらレッドに尋ねる。


「生徒だよー、皆に良い場所案内できた?ブルーさん。」


「おうよ! 皆焔君に感謝してたよ。焔君ももっと皆で周ればよかったのに。」


「俺はここに来すぎて今更楽しめねーから。」


「まーたそんな大人びた事言っちゃってー!

じゃあ俺はそろそろ行くわ! じゃあな生徒さん達! 」


彼はそう言って生徒達に手を振る。

「えー? 行っちゃうの? 」や「また遊びましょうね! 」等の反応が生徒達から返って来るあたり、彼は本当に人当たりがよくて好かれる性格なのだろう。


「ナギ、楽しめた?」


ニヤついてるナギに私が尋ねると、ナギは浮かれた様子で

「勿論!とっても勉強になっ……」

と言いかけて、また喉から「ヒュッ」と音を出す。


「何……!? どうしたの!? 」


「リリア様がレッド先生の腕に手を乗せてて、いい感じの雰囲気だからじゃないですか?ナギくんってすぐヤキモチやい……わぶ」


何処からともなく現れたフユキが何か言いかけたところで、

ナギが彼の顔を掴む。


「殺す! 決めた……お前だけは今殺す! 」


「もー! だから何ですぐ喧嘩するのよあなた達は! 」


「大体いつも冬樹君の方がちょっと悪いように見えますねー……」


レッドはそう言って苦笑した。

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