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バレー嫌いの俺が、女子バレー部のコーチします!  作者: 楪桔梗
第一章 バレー部との出会い
9/41

帰宅

 俺は歩きながら考える。

 それにしても八時集合の九時半スタートか、別に試合だけ見ればいいんだから九時半には来ればいいよな。

 休日に学校へ入るには部活動生以外は制服で入らないといけない。実際行かなくてもいいと思うが、行かなかったら月曜日に面倒くさいことが起こりそうな気がする。

 面倒くさいと思いながら動いていたらいつの間にかカバンをもって教室を出ていた。

 そのまま靴箱に向かう。

 その途中に窓があり、その窓から外を見てみると校舎の周りを走っている生徒がいた。

 おそらくバレー部だろう。

 走っている生徒を気にすることなく靴を履いて体育館横を通り抜けて校門へ向かう。その時にさぼっている生徒がすぐに分かった。今日の朝練もさぼっていた三人組だ。一見真面目に走っているように見えるが、あの三人は他よりペースが遅いように感じる。それに横一列になって走っているし、息も全然上がっていない。

 これだから部活動はあまり好きに離れない。

「おー、やっぱり球宮くんだ!」

 三人組から目を離し帰ろうとすると後ろから声をかけられた。振り向いてみると、見知って二人組がいた。

 山之内と茅山だ。

 二人とも汗を流しているから、走り終えた後だろう。茅山に関しては息が整い切れていないようだ。

「……チッ、あいつらまた手抜き練習しやがって。やる気がないならやめやがれ」

「こら、一応あれでも先輩なんだから言葉遣い選びなさい」

 茅山が手を抜いている三人組を見て文句を言っていた。

 山之内は先輩だからと注意していたが、彼女自身あの三人組を先輩として見ていないことは目を見ればすぐに分かった。

 おそらく俺も山之内たちの立場ならごみを見るような目をしていたと思う。

「大体お前ら、なんで先輩たちに対して堂々と文句言いに行かないんだよ。あの三人の実力は知らんが茅山は文句を言ってもいいレベルで上手いだろ?」

「……あの三人は二年前人数が足りない時に入部した三人らしいんだよ。だから三枝先輩も注意することができないし、笹木先生も部活のことに関しては説教ができないんだよ」

 なるほど、つまりあの三人組は女子バレー部にとって恩人になるというわけか。

「事情は分かったけどお前らはそれでいいのか?」

 もし、あの三人組がバレー部を私物化しているなら、レギュラーも独占しているはずだ。

 そうなったら上手い二年・一年組はたまったものじゃないだろう。

「いいわけないだろ。去年の最後の試合、三枝先輩は自分のミスで試合に負けたって言ってたけど、相手の点数のほとんどはあの三人組のミスのせいだからな!」

「それに、WS(ウィングスパイカー)の朋紀はあの三人とポジションがかぶってるから試合に出れないもんね」

「なるほど、だから茅山は授業であんなに本気になってたんだな」

「……そうだけど悪い?」

「全然」

 むしろ可哀そうなくらいだ。たかだか恩人程度で部活を私物化して、実力のある選手が活躍できない。本気で勝ちたいと思っている選手が勝てない。

 すでに恩なんて存在しないくらいに好き勝手している。

 もし俺が部員だったら堂々と文句を言っているだろう。しかし俺は部員ではない。ゆえに文句を言う資格なんてない。

「まぁ、今はまじめにやっていれば報われるときは来る。近いうちにな」

「チッ、他人事だと思いやがって。いいか、私がお前としゃべっているのはお前が強いサーブを持っているからだ。それさえなければ喋ることなんてねぇんだからな」

「朋紀はツンデレだね。素直に負けたのが悔しいって言えばいいのに」

「うるせぇ!」

 この二人は本当に仲がいい、言い合えることが何よりの証拠だ。故に土曜日が残念だ。恐らく練習試合とは言え、恩人とやらがレギュラーを独占するのだろう。正直、見る気が一気に失せた。

 負けが決まっている試合を見に行くのは超面倒くさい。むしろ、見に行く必要がないまでである。

 しかし、本当にあの三人組が恩人で練習をさぼっているのであれば、疲れを理由に午前中だけの参加になると思う。もしそうなれば見に行く価値はあるかもしれない。

 まぁ、恩人とやらがいようがいまいが、今の俺には関係ない。

「とりあえず土曜日に練習試合するんだってな、がんばれよ」

 それだけ言い捨て俺は校門を降りた。

 この坂は上りは足にくるが降りは体力にくると思う。

 バレー部の練習場所は校舎周りじゃなく、この坂道をダッシュする方がいいんじゃないか?

 今の俺がそんなこと思っても、どうしようもないがな。

 下についた俺は降りてきた山道をもう一度見返した。

 特にこれ以上思うこともなく帰ることにした。


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