超絶神級番外編!~1話完結
息抜きに書いてたものです。最初は、短編で出そうかと思ってましたが、これからも息抜きにこういう短編もの書く可能性がありますので、こういう連載版にしております。
注意:このお話は本編である「ちいさな神様の間違えで異世界に転生してしましました」のネタバレを含む可能性があります。ネタバレが、嫌な方はプラウザバックを推奨します。
それではよろしくお願いします
そこはとある一室。そこに二人の少女がいた。一人は、銀髪碧眼の少女。歳にして約10歳程度だろうか。もう一人は、金髪に先程の少女と同じ碧眼の少女。歳は約12、3歳ほどだろうか。
銀髪碧眼の少女は、可愛らしい装飾の入ったベットに転がり、静かに寝息を立てていた。金髪碧眼の少女は、ベットに腰掛け、眠っている少女の頭を優しく撫でて微笑んでいる。
「せっかく、ご飯作って持ってきたのにまた寝てるなんて...ご飯冷めちゃうじゃない」
そう言いながらも、気持ちよさそうに寝ている少女の頭を撫で続ける。
「まぁ、でも...ユウの寝顔を独り占め出来るからいいか」
ユウ(・・)と呼ばれた少女の頬をツンツンと優しく突く。
ぷにぷにと程よい感触が癖になり、ユウが寝ているときは、常に頬を突いているのは秘密だ。
...そして、毎度毎度やりすぎてしまい、ユウが起きてしまうのもいつも通りだ。
「う...ぅ〜ん。......リリィ...?」
「おはよう、ユウ」
眠たい眼を擦りつつ、上体を起こす。周りを見渡すと、ユウはベットで寝てしまっていたのを思い出した。
「ん...ふぁ...おふぁよう」
あくびをしつつ、金髪碧眼の少女...リリィに挨拶を返す。
「ふふ。眠いなら寝てていいわよ? ...あ、でも、今度は私も一緒に寝ようかな」
綺麗な銀髪を優しく撫でながら、ユウを抱き寄せる。どうやらユウにとってこれはいつものことらしく、すぐにリリィの胸元に顔を埋める。
気持ちよさそうに目を細めているユウを見て、リリィはそのままゆっくりと横になった。
「んん...リリィ?」
「どうしたの?」
「...おなかすいた」
ユウからの思いもよらない言葉にリリィは、一瞬だけ呆気にとられたが、すぐにその顔が崩れた。
「あははっ、そうね。ご飯作ってきたんだけど、冷めてるだろうし、温めてくるから、ちょっと待ってて」
最後に、ユウのおでこに軽く唇をつけそのまま食器を持って部屋を出て行ってしまった。
ぼぉーとリリィが出て行った扉を見つめ続けるユウ。そして、何かに気づいたのか、ハッと息を飲んだ。
「...あれ、さっきリリィが私に対して、何かしたような......」
寝ぼけてたユウが完全に覚醒した瞬間だった。
時とついでに場所も変わって、今現在ユウ達がいる場所はリビングだった。テーブルがあり、椅子があり、ソファーとかもありテレビとかもあるごくごく一般のリビングだ。
すぐ近くにあるキッチンには、鼻歌を口ずさみながらニコニコ顔で料理を暖めているリリィの姿があった。そして、それを眺めているのはもちろんのことユウであった。
椅子にすわり、テーブルにだばーっと突っ伏して、顔だけリリィの事を見ている。その目は先程のような眠気眼ではない。ユウのステータスは、上から下まで言い逃れができないくらいおかしなことになっているため、一度完全に覚醒してしまえば、二度寝なんてしないのである。
「ん…んぅ~……ふぁ……」
…しないったら、しないのである。
チーンっと、キッチンの方から音がなる。それと同時に、テーブルに突っ伏している誰かがビクッと反応した。…決して、ユウなどではない。
「ほらユウ。出来たわよ。今日は久しぶりにシチューを作ってみたのよ。もちろん、具材はごろごろと食べやすいサイズでたくさん入ってるわ!」
「ふおぉぉ…リリィの具だくさんシチュー……!」
コトッと置かれた食器には、これでもかと大盛りのシチューが、入れられていた。シチューの具には、ニンジン じゃがいも たまねぎ ブロッコリー 鶏肉 ベーコン など、ごく、普通な具材が入っている。
キラキラとしたユウの目には、すでにリリィの作ったシチューにしか向いてない。
「リリィ! リリィ! スプーン! スプン!」
「はいはい。それとスプンじゃなくてスプーンね。最後略さない」
リリィが呆れながら、ユウに木製のスプーンを渡す。ユウは、受け取ったスプーンでシチューをパクりっと一口食べた。
「ん…もぐもぐ…ふおぉぉぉぉぉぉ……!!」
大変気に入ったのか、わけのわからない声をあげながら、パクパクとシチューを食べていく。そんなユウを微笑みながら見ていたリリィは、ズズッっと最近お気に入りの茶葉で作ったお茶を飲んでいた。どこぞのシチューを夢中で食べているお子さまよりは、実に大人である。
「んぅまい! おかわり!」
「ふふ、ありがとう」
お礼は美味しいと言ってくれたことに対しての言葉であろう。リリィは、お子さま化したユウから食器を受けとると、キッチンにある鍋から再度シチューを注いであげた。
「はいどうぞ」
「ありがとう!」
さすがは世界最強。いくらお子さま化したとはいえ、お礼は欠かさなかった。いや、お子さま化しているからこそお礼は言うのだろうか。
パクパクと食べているユウの頭を撫でながら、微笑むリリィはなんて大人なのであろうか。いくらあの出来事から、何年もたっているとはいえ、精神年齢はユウの方が上なのだが…。
「あ、そうだ。明日から学校が始まるから、今日はその準備をしましょうか。ね?」
「もぐもぐ…はーい!」
実に大人である。
場所は変わって部屋の中。食事を終えたユウはリリィの言われた通り、明日の準備のため必要な物を買いにいくのだが、どうやら姿見の前で何やら唸っている。
「う~ん…これはないでしょ。だからといってこれ着てくとリリィ怒るし…。うぅ…やっぱこっちきてくしかないかなぁ~……」
純白の下着に包まれたユウは、二つの衣服を持ち、どちらを着るのか迷っていたらしい。だが、やっと決まったのか片方の衣服をベッドに放り投げもう片方の方を着たのだった。
「ユウ~? まだ~?」
中々出てこなかったユウに見かねてリリィが部屋の中に入ってきた。そして、ユウを見るとパアァっと顔を輝かせてそのままユウに抱きついた。
「んぅー! 可愛いわユウ! まさかそっち着てくれるとは思わなかった」
「ま、まぁ今日はシチュー作ってくれたし、たまには自分から着るのもいいかなって。それに…明日からは嫌でもスカートはくようだし」
「うんうん! 今日シチュー作ってよかったわ。さすがよ私! 良し! それじゃ、こっち来てね」
そんなやり取りを繰り広げ、リリィはユウを連れて部屋から出ていく。行き着く先は、もちろん、セット部屋だ!!
「はい、座って。少しの間じっとしててね」
「う、うん」
鏡の前の椅子に座り、リリィが後ろから髪をいじっている。ドライヤーをかけたり、櫛で髪をとかしたり、ゴムで髪を揺ったり…などなど、簡単に言えばこの部屋は、髪のセットに使う部屋だ。わざわざリリィが飽き部屋を使って作った部屋だった。他にも服もといコスプレ衣装が置いてあったりもする。何故、という疑問はここでは伏せておく。
「良し。本当は私と同じツインテールにしようかと思ったんだけど、初心にもどっておろしたままにするわ。これはこれで似合うし♪」
「あ、ありがとう…?」
ユウ自信としては、リリィに揺ってもらった方が嬉しいのだが、リリィは気づかず。だけど、可愛いといっているので、とりあえずお礼を言っておくことにしたようだった。
「それじゃレッツゴー!」
「おー」
☆ ◇ □ △
タイミング的にも良いので、ここで軽く何がどうなっているのか説明しようかと思う。あの戦い。人族vs魔族のガチ戦争により異世界ルーノフェイスは、ぼろぼろになった。
住めるところがほとんどなくなり、食料すら手に入れることも難しくなった人族と魔族。両族が、絶望に震わせるなか、ある一人の少女が立ち上がる。
それがユウである。
ユウは両族の長、つまりは、人族の王様と魔族の魔王様を呼び出し、説得というなの脅しを行った。簡単に言うと「これ以上戦争を続けるなら、私がぶっとばすぞ♪」みたいな感じである。その証拠として、無駄に大きい唯一残ってた山を消し飛ばした。そのおど…説得に両族はもう戦争しませんと、友好条約を結び、これからは互いに支えあっていくと決めたそうだ。
ユウとリリィ二人がいるのは、地球という世界だ。さて、ここでユウ達がどうやって帰還したのかを説明しようと思う。
まず始めに、異世界ルーノフェイスでは、別の世界からこちらの世界に呼ぶ、つまり召喚魔法しか伝わっていない。というか、それしか存在しない。そのため、ルーノフェイスには、帰還の魔法が一切ない。
それだったら、ユウ自信が帰還の魔法を作り、帰還すればいいのだが、そううまくはいかなかった。帰還の魔法事態は作れたのだが、何故か、その魔法を使うと、一瞬で魔法そのものの能力が消えてしまうのだ。
ユウはすでに神と同じたち位置である。故に、出来ないことはないはずなのだ。だから、考えた。もしかしたらこれは、私と同じ神による、何らかの妨害ではないかと。
そう考えたユウはすぐに天界へと転移した。本当ならば、ここで天界とは何なのか説明が入るのだが、今回はスルーさせていただこう。
とにかく、天界に行ったユウは、ちび神様に今の状況を伝えた。そして、帰ってきた言葉は。
「ユウさんは、神の本登録がすんでませんので、まだ世界を越える干渉は出来ないんですよ」
だった。そもそも、神とは登録制なのか…と、かなり落ち込む。
その姿を見て、ちび神様は慌てたように、ユウの場合はすぐに本登録に移ることができるらしい。
本来、他世界に干渉する事ができるようになる本登録は色々と手続きが必要になるらしく、早くて1ヶ月はかかるらしい。そう。神でさえ1ヶ月はかかるのだ。
だが、ユウの場合ちび神様がいつか使うときが来るだろうと思って、すでにユウの本登録は、ほぼほぼ済んでおり、残りは、本人確認用として、魔力を流し込むだけだった。
それを聞いたユウは、あまりの嬉しさに、ちび神様に抱きついた。ちび神様は顔を少し赤くし、照れていたが、嬉しいのかされるがままだった。
本人確認用とは、見た目ビー玉サイズのきれいな水晶だった。どうたら、これにある一定の量の魔力を流し込めば良いらしい。ユウはさっそく魔力をながしこむ。
一瞬で必要な魔力がたまったようで、水晶がぼんやりと淡く光輝いた。
そして、それを見たちび神様は、ユウの手から水晶を受け取り、パクり、っと飲み込んでしまった。
あまりの意味不明な行動にユウは唖然としてしまった。だが、すぐに正気を取り戻したのか、ちび神様に半泣き状態でつかみかかろうとする。
「落ち着いて! 落ち着いてください! これで、もうユウさんは自由に世界を行き来できますから!?」
などと、ほざ……慌てたように、声をあげる。
詳しく聞いてみると、本来は、この水晶は自身保管なのだが、それはあくまでも、純粋な神のみに適用されているルールである。
ユウの場合は、人から神に至ったため、この水晶の保管の適用外なのだ。この水晶は、純粋な神以外が長時間持つと、色が黒く汚れたような色になり、使えなくなってしまう。使えなくなってしまうと、もちろん世界に干渉ができなくなってしまう。
故に、ちび神様は変わりに自分が保管しようとしたまでなのだ。保管場所は体内だが。
とにかく、保管の方はちび神様が担当するらしいので、ユウは好きに世界を楽しんでくれということだ。
ちび神様の保管場所について異論はあったみたいだが、最終的に、ちび神様ならいっか、ということになり、ユウは納得したのであった。
そして、ユウはリリィを連れて無事地球に帰ったのだ。それから、色々と合ったのだが、そこは異世界のみに存在する魔法というなの、異世界パワーで、強引に納めた。
☆ ◇ □ △
「ふっふふ~ん♪」
「ご機嫌だねリリィ。なにか良いことでもあったの?」
ユウと手を繋ぎ、鼻唄を口ずさみながら満面の笑みで歩いてるリリィ。
ユウはさすがに気になったのかリリィの方を見ながら首をかしげる。
「だってだって、明日は学校なのよ! ユウの世界で! ユウと一緒に! 嬉すぎてもう色々とやばいのよ!」
ユウは、いつもの大人っぽいリリィも好きだが、こういう子供っぽいリリィも好きだな、っと思いながら返事をするのであった。
「…だよね! 私もすっごい楽しみだよ! えへへへ」
天気は雲一つない青空。優しい風が時たま吹き、二人の金色の髪と銀色の髪がさらさらと揺れる。
二人の冒険は、あの時あの瞬間で終わったが、今度はこういう平和な冒険を歩むのも良いのではないだろうか?