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5 魔石トラップ 後編

ラシュの女子力の高さは賢者仕込みです。

シグが仕掛けた罠についたころにはちょうど昼になっていた。


「シグ、罠の解除ちゃんとしろよ~。」


「わかってるって。ちょっと待っといてや~。」


シグがぴょんぴょんと跳びはねながら罠の魔石を回収したり、その他の仕掛けを解除していく。


「ちょうど昼だし、飯にするか。」


シグの片付けの様子をなんとなくみていたセイフォードがつぶやく。


「そうだな、なあ、ラシュ。お前、今日は何かできないのか?」


楽しそうにイレイズがラシュに話しかけた。


「なんで俺が料理作らないといけないんだ。」


「ちょうどグレイウルフの肉もあることだしよ~。」


「ラシュ、俺、グレイウルフ食べたいっ!!」


しぶるラシュに、ウォントルとアッシュもイレイズにのる。


三人に言われて、ふうと諦めのため息をつくと、ラシュはかばんからものをさくさくと用意していく。


「ねえ、ラシュ。」


「なんだ?」


しぶしぶ料理を始めるラシュに、シンシアが声をかけた。


「いつもこんな料理器具をどうやって持ち歩いているの?」


ラシュがその場に出した料理器具が半端なかったからだ。包丁セット、大きなまな板、ポット、食器、簡易テーブル、椅子。山ほど出てくる道具に、シンシアは唖然としながら尋ねた。


「え?ああ。空間魔法だ。」


「ええ?ラシュ、空間魔法使えるの?」


魔法使いのリンダがラシュに詰め寄る。


「俺は魔術師。」


「だよねー。魔術陣が使えれば空間魔法も簡単なんだけどなー。空間魔術陣ついたかばんって高いんだもの。それにそんなに大きなものを置く場所もないからできないんだよね。」


魔術陣が使える魔術師は少なく、特に王宮に仕えている者が多いため、一般的に普及はしていない。市場では高額取引されるものである。特に、輸送の面から旅商売の商人がほしがっている。が、市場には滅多に出てこない。

冒険者が持っているものはギルドから貸し出されたもので、冒険者側から一方通行でギルドの倉庫に入るようになっている。ほとんど討伐した魔物を置くための空間魔法であり、道具を持ち運ぶ用ではない。


「いいなぁ、空間魔術陣。なあ、ラシュ、作ってくれないかな?」


「冒険者の5年分の報酬もらうけど、いいか?」


「げ、それは無理かも。」


リンダはがっかりと肩を落とす。


「まあ、別になくてもなんとかなるんだから、いいだろ。」


「がんばって節約すれば買えるとは思うが。」


「それなら装備を揃えたい。」


と、イレイズ、セイフォード、レオニール。


「ってか、ラシュってそういう依頼も受けてるのか?」


「ん?」


グレイウルフをさばいているラシュに、イレイズが尋ねた。


「いや、魔術陣を刻んで欲しいっていう依頼だよ。」


「緊急を要するとき以外は受けない。」


「なんでだ?」


「一度魔術陣の依頼を受けると、噂が広がってその依頼ばっかりがきて、普段の依頼ができなくなるからな。ああいうのは、研究者タイプのがしたらいいんだよ。俺は外に出るほうが好きだ。」


「・・・確かに。一日中魔術陣と向き合うのが毎日続くのは嫌だな。」


「ラシュが部屋から出てこなくなるのは困る!!」


アッシュの切実な叫びに、『青い閃光』のメンバーは頷いた。ラシュが引きこもると、アッシュによる街への被害がちょっとでは収まらないに違いないからだ。


「でも、魔術師として登録はしてるんでしょ?」


「ああ。調べたらわかるけどな。空間魔法が使えるまでのレベルだとはわからないだろ。空間魔法は宮廷魔術師レベルだってスー爺が言っていたからな。そこらへんの冒険者の魔術師がそんな高度な術が使えるとは思わないだろ。」


「そりゃそうか。」


リンダの問いに、ラシュは手を動かしながら答える。

徐々にいいにおいがしてくるラシュの手元に、みんな釘付けだ。


「いつもこんなのを食べるのか、(笑)は。」


イレイズがぽつりとつぶやくと、ラシュがむっとしてにらむ。


「だから(笑)って言うな。食べさせないぞ。」


「悪い!謝るから食べさせてくれ!」


即座に土下座したイレイズに、みんなが笑う。

あまりの身代わりの速さに、ラシュも苦笑する。


「おう。次はないぜ。」


セイフォードたちはラシュの料理の手際の良さに感心しながら見守っていた。



ラシュの料理が完成するころ、シグが帰って来た。


「終わったでー。お腹すいたー。ラシュ、今日はグレイウルフ?」


嬉しそうに足を軽やかに動かしながら現れたシグに、ラシュが皿を渡す。


「おう、グレイウルフだ。お疲れ。」


「ありがとなー。」


シグは嬉しそうに笑顔で受け取るとあいていた椅子に座る。


「先に食べてるぜ-。」


「おいしいわ。」


「これはすごい。」


「店が出せるだろ。」


一口料理を食べた『青い閃光』のメンバーに言葉に、ラシュが照れくさそうにしている。


「喜んでもらえてよかったよ。」


アッシュがいつもの通りかきこんで、喉を詰まらせてラシュに水をもらったり、シグがラシュにデザートをねだって、即席のはちみつだんごをつくってやったりと、ラシュの家事スキルの高さに、『青い閃光』のメンバーは思った。


((((((お母さんだ!お母さんがいる!!))))))




「シグ、トラップの解除、ありがとな。」


「元々うちのミスやから、ええよー。他には誰もひっかかっとらんみたいやからよかったわー。」


食事を終えた一行は別れを切り出した。


「じゃ、俺たちは依頼行くよ。」


「ああ、気をつけろよ~。」


「いってらっしゃ~い!」


アッシュ、ラシュ、シグに見送られ、『青い閃光』のメンバーは林の奥へと歩いて行った。

設定  空間魔法は基本的に魔術陣で使用可能。

    魔術陣の中でも高レベル。

    ただし条件で異なり、一方通行の方が難易度が落ち、中レベル。

    大きい空間とつなげようとすればするほど難しくなる。

    ラシュが持っている空間魔術陣は高レベル。賢者仕立ての魔術陣。

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