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悪あがき

「だから二割なんですよ、そもそもまず初めに敵の兵糧を焼くために青龍騎士団を囮にするということは多くの死者を出す可能性が高い、白虎がこの作戦に頷いて後退し、その後援軍を送ってくれるかも怪しいですし、さらにその後に点々と配置された兵糧を攻めれるかも怪しい、言えばキリがありません。これは作戦というよりかは悪あがきに近いでしょう」


「だとしたら」


「ですが、結局タイランで防衛など待ってるのは全滅しかないでしょう。ならば賭けるしかないんですよ、この綱渡りを逆立ちで行う作戦を」


「こんな物が作戦と呼べるのか?」


「そう、不確定要素てんこ盛りで最早只々、理想を語っているだけかもしれませんが、自分が考えた中でこれ以外の手は成功率二割にも満たないでしょう」


「団長、私は反対です!いくら団長の御子息とは言えまだ子供、この作戦も正気とは思えない!ここはもう一度考えるべきです!」


 ジンが初めて見る男がジゲンに抗議する。


「俺っちはこの作戦に賛成だね」


 すると今度はデイダラがジンの作戦に賛成の声を上げる。


「たしかに、ジンの予想が外れていたとしたらこちらは再起不能の打撃を受けるだろうな......わかった、ジンお前はもう下がっていい、結論が出次第追って伝える」


「了解」


 ジンは敬礼をしてから本部テントを後にする。


 ジンが出て行ったテントではジンの作戦を決行するかどうかを話していた、なぜ青龍騎士団だけで話しているかと言えば、白虎騎士団にはジンの作戦をジゲンが先日伝えたところ、ラージャ以外の全員がこれを拒否、タイランでの防衛に当たるという結論に至ったためである。

 青龍騎士団はたしかにこの戦争のバックアップ的な立ち位置として援軍で送られたがもはやこうなってはどうでもよかった。

 指揮系統はズタズタ、これは白虎と青龍の確執が問題だったがラージャとジゲンでこうなっては別働した方がまだマシという判断だった。


「だけどよ、旦那どーせ待ってたって死を待つだけだろーよ」


「その通りだ」


 ここでデイダラとダンベが会話に参加する。


「マンダートの言うこともわかるが我々に最早退路はない。別案がないならこの作戦に賭けざるをえまい?」


 マンダートと呼ばれた男は青龍騎士団の参謀という立場にあるがその実態はガイルの補佐だった。


「たしかにそうですが、それでもここは一度引いてタイランを防衛し、時間を稼げば敵の兵糧が尽き次第引くのでは?」


「それは楽観がすぎる。元々タイランは一万の兵を退けると言われる砦ではあるが、前回は油断もあったが五千の兵に抜かれ、今回は三万だ、正直守れる見込みは少ないだろう」


「ではこの奇策とどちらが成功率が高いと思われますか?」


「どっちもどっち、と言った所だろうな」


 ジゲンが顎に手を当てて答える。


「ならば!」


「けど、ジンの作戦ならこちらに有利な形で終結するかもしれないよん?」


 マンダートが勢い付こうとしてデイダラに横槍を入れられる。


「デイダラ、お前は少し私情が入りすぎる」


「ちぇ」


 デイダラは口を尖らせて仏頂面をする。

 

「ガイル、お前はどう思う」


「そうですね......難しいでしょう」


「ダンベは?」


「やられる前にやれは戦の鉄則かと」


「恐らく、このまま意見を聞いても答えは出ないでしょう。団長ご決断を」


「そうか、ならば......」


 ジンが再度テントに呼ばれて入室すると中は先程より静まり返っていた。

 ジンは黙ってジゲンの前まで進んで立ち止まる。


「お前の作戦で行く場合、白虎は従うかはわからない、どうする?」


「無理だとすれば、こちらの被害の拡大が大きくなると思う。全てがうまく行っても最悪三万の兵に蹂躙されて終わるかもしれないね」


「そうか......」


「それでもやらなきゃいけないと俺は思うよ、守るために」


 ジンは特に気にした風もなくすぐに受け入れるてそういう。

 ジンの守るという言葉に青龍騎士団の幹部達の目が強い光を取り戻したのをデイダラは感じ取ったのだった。

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