二つの急報
ジンはジゲンに言われてタイランへと怪我人として下げられた。ジンの受け持つ第十七小隊も同じようにタイランに待機となった。
ジンがタイランに入って三日目にその情報が入ってきた。
「隊長!!」
「どうしたトール、そんな大声で他の怪我人もいるんだ、迷惑だろ」
「すみません、って!それよりもです!!」
「なんだ」
「それより!早く来てください!」
「?」
ジンはトールの形相に慄きながら首からかけられた左手を気遣いながトールについていく。
「お待たせいたしました!」
「む、貴様がジン・オオトリか」
ジンはその人に見覚えがあり、すぐに敬礼して返事をする。
「はっ!いえ!私はただのジンであります!」
「ああ、もうそれはいい、先日団長から聞いたからな」
「そ、そうでありますか」
ジンは功を焦って最前線に行くために性を隠し入隊したが今となってはバレてもいいかと思い返事をする。
「全く、あのコネ入隊小僧のコネがまさか団長とは思わなかったぞ」
厳つい顔でそう言う男にジンは後頭部を描きながら言う。
「あの、それでダンベ大隊長殿がなぜここに?」
それは青龍騎士団、五人の大隊長の一人、ダンベ・ジョーズガンだった。
「ああ、そうだった」
そう言うとダンベは咳払いをしてジンを見つめる。
「ジン・オオトリ、お前はこれより中隊長に昇進だ」
「中隊長?」
「まぁ中隊長とは言っても数は30人だがな」
「30?」
そもそも戦場において戦死した指揮官を補充するため下のものが昇進することはあることだが、ジンはまだ青龍騎士団に入ったばかりでそんな話がくることはないと思っていた。
「貴様は戦場でバラバラになった兵をかき集め撤退、これを見事完遂した。またザンバ・ファムと戦いこれを退けた、よって中隊長へと昇進だ」
「それは......」
たしかにジンの行った行動は称賛に値するものではあれど昇進できるかは疑問だった。
「貴様の証言通り、あの場にはザンバの物と思われる指が3本転がっていた。お前が思ってる以上にザンバと言う男は我が国に置いて決して小さくない名であるということだ」
ジンの疑問にダンベはそう答えた。
「30人というのは」
「ああ、それは貴様が拾って撤退した残兵だ。お前の元なら命は惜しくないと全員が言いやがった。全く好かれたもんだ」
「自分が指揮を取った兵は27人と聞いていますが?」
「それから3人こちらで保護した。お前らが出発した後目印を追って自力で帰ってきたんだよ」
「そうですか」
ジンはそう言うと敬礼を取る。
「ありがとうございます、その命しかと拝命いたします」
ダンベは敬礼を返して踵を返す。
この日ジンは中隊長へと昇進した。
それからトール達にジンはオオトリの性であると伝え、この戦争に来た理由も話した。
「なんとなく感づいてはいたけどよ、隊長自ら言われると、なあ?」
「ああ、俺達は飛んだ無礼を働いてたわけか」
「気にするな、あれは俺が悪いよ」
トール達は少し驚いたあと笑って受け入れた。
そんなこんながあった三日後またしてもトールがジンのところに走って来た。
「隊長!!」
「今度はどうした、トール」
「少し話したいことがあります、時間を作れますか?」
ジンはこの三日新たにジンの中隊の入ると言ってくれた兵達と交流を交わしていた。今日もその兵達と交流を交わしていた最中だった。
ジンはトールの切羽詰まった顔に少し焦燥感を感じ、交流を切り上げトールについていく。そこには十七小隊に与えられた部屋だった。
「それで、血相を変えてどうした」
「はい、本隊の知り合いがここに運び込まれたって聞いてさっき行ってきたのですが」
そこでトールは言葉を切る。
ジンが先を促さず待つとトールは唾を音を立てて飲み込み続きを話す。
「敵が、一万に兵を連れて来たって」
「元々一万だろ?」
「追加でです。そいつ斥候部隊にやつなんですがさらに後方にもう一万、それが合流すれば帝国の兵は三万にも及ぶって」
「なんだと?」
戦況は大きく動き出そうとしていた。




