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因縁

 ジンが呟き刀を振り下ろす。

 瞬刃流とは速さを追求した流派なため刀を多く振ることはないし、刀から何か出たりもしない。

 一太刀の元敵を斬るその技術を磨く流派が瞬刃流である。

 そして、第十門は全ての体のブレを人間が止めることはほぼ不可能に近いが、それを一瞬完全に停止する瞬間を把握、自分で引き出すことで速度と共に力を乗せた上段からの斬り下げである。

 ジンの斬り下げに刀のつばに近い場所で受けようとするザンバだがジンが構わず刀を振り下ろす。


「!?」


 刀と刀がぶつかる瞬間、先程の技を食らったのにも関わらず構わず振り下ろすジンに違和感を感じたがザンバも構わず先程と同じように『蛇死一線』を繰り出す。

 全く同じように己の手首を大きく曲げて首を狙いに行く。

 瞬間、二人の刀はぶつかり合い離れる。


「おいおいおいおい!まじかよ」


 結果、ザンバの刀はジンの首を落とすことはできなかった。

 それどころかザンバは右手の指を、薬指と小指を残してバッサリと斬られていた。辛うじて残った指で刀を握っていた。


(ガキが)


 ザンバはジンの刀の動きをしっかりと見ていた。

 斬り合う瞬間一瞬触れ合ったときザンバは今まで通りぶつかり合う力を利用して首へと刀を持っていったが次の瞬間にはぶつかり合った感覚が消え、力加減をミスした結果ジンの二の腕を深々と刀傷をつけるのみで終えた。

 そして自分は右手の指を二つも無くすという結果に終わった。


「マジかよ、お前」


 ザンバはただただジンの技量に驚く。

 ジンが行ったのは力を乗せた上段斬りに見せかけて、刀が重なり合った瞬間、つばをなぞるように掻い潜り指を狙われたのだ。

 ザンバが気づかなければ指は親指を残して全てなくなっていただろう。


「かかか、なるほどねぇ、第十門はそんな技じゃぁなかった。力を乗せた剣速で相手の刀を叩き折るそんな技だったはずだ」


「だから変えた、それに俺には『全分』を引き出せるほどの力はねーよ」


「そうだ!たしかにそんな技だった!なんだよなんだよ!正直期待外れかと思ったらいいじゃねーかお前!」


「まだまだ余裕じゃねーか」


「バカ言えや、こちとら片手をお前さんに潰されてんだぜ?余裕なわけじゃねーよ」


 口ではそういうがザンバは顔に貼り付けた嬉しそうな笑顔が剥がれることはない。


「こっちも変わんねーけどな」


 ジンは自分の肩の痛みを感じながらザンバから視線は外さない。


「かかか、ああ、楽しかった」


 そう言うとザンバは刀を鞘にしまう。

 ジンは気を抜かずにザンバを睨む。


「そう殺気立つなや、今日はやめだ」


 ジンは圧倒的有利なザンバが退くと言うので不思議に思うがすぐにここに近づいてくる多くの足音に気づく。


「よう、ガキ、おめえさん名前なんてんだ?」


「ジン」


「そうか、その目とその名前覚えとく、またやろうぜ!!」


 そう言うとザンバは身軽に木に登りすぐに気配が消える。

 ジンは戦場で初めて会った強者に先程よりも痛みが増した肩の傷を抑えながら生きている安堵感と明らかに見逃されたと言う悔しさに口びるを噛み締めるのだった。


(俺はまだまだ弱い)

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