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合流

 ミシェルはジンと別れてから木の根本に目印をつけながら従軍していた。


「隊長は大丈夫かな?」


「トールうるさい。もうすぐ日が暮れる早くなんとかできる場所を見つけないといけないのよ?そんなこと言ってるいる暇はないわ」


「でもさ」


 ミシェルが一睨みするとトールは口を閉ざす。

 ミシェルも心配ではあるが今は生き残らなければならない命を張って自分たちを逃してくれた殿部隊に自分たちが全滅しましたじゃ示しがつかないからだ。


「トールさん」


 二人が沈黙になったちょうどその時前から小走りで走ってくる中年の男がトールに声をかける。


「どうした?」


「ダイナさんが洞窟を見つけたそうでどうやら熊の巣だった場所らしんですが熊が死んでいたらしくここを使おうってことになったらしいです」


「そうか」


 トール達は危険を承知で間延びする陣形を取り夜をどうにか過ごせる場所がないかさがしていた。


「よし、みんな前との距離を詰める今日の寝床が見つかった!」


 トールのその声に威勢のいい声は返ってこなかったが、至る所で「よかった」と言う声が聞こえてきた。


ダイナ達先頭とトール達最後尾が合流したのは日が落ち始め、あたりが暗くなりかけた頃だった。


「ダイナ傷は大丈夫かい?」


「大したことはない、そこまで深い傷もないしな」


「そうか、みんななんとか無事でよかったよ」


「それよりも、隊長が殿に出たってのは本当か?」


 ダイナとトールが再会を喜んでいる間にダリル割って入る。


「ああ」


「そうかよ、まぁあの人なら大丈夫だろ」


「あれ、ダリルは隊長を毛嫌いしてると思っていたけど心境の変化でもあったのかな?」


「お前に言われたくはねーよ」


 トールがダリルを揶揄からかうとダリルは機嫌悪そうに返す。


「違いないね」


「まぁ、あの常人ならざる剣技にも驚いたが、それよりも指揮がすごかった」


 ガオンが話しに加わるとその場に腰を下ろす。


「そうだな。それにあんだけ文句言ってた訓練も明らかに役にたっているしな」


 訓練中、ずっと走らされていたことにこれほど感謝するとは思っていなかった。

 この撤退戦で自分たちが生き残れたのは間違いなくあの訓練によって基礎体力が鍛えられたからだ。


「全く、隊長様様だね」


 ダイナが全面的に同意するとジンがいない今どうするかトールに意見を求める。


「それで、これからどうする?」


「一様拾った部隊で貴族の騎士は居なそうだからね。ここでは僕たちが階級的には一番上だ。ひとまずは朝までみんな体を休めよう」


「見張りはいらねーのか?」


「見張りなんか付けったって無駄よ。見つかったらそれで終わり今私たちに戦う気力なんて残っていないもの」


 ミシェルはトールの思っていることを代弁するとその場に腰を下ろす。


「たく、隊長に感化されたんじゃねーか?」


「相違ないね」


 ダイナとダリルが苦笑いを浮かべると一人の兵士が走ってくる。


「ダイナさん!」


「どうしたんだい?」


「殿に出たうちのドーズさんが戻ってきた!」


「なに!わかったすぐに向かう」


 ダイナは小隊メンバーと顔を見合わせてから報告してきた兵士を追うのだった。


 そこから殿に残った兵士達がパラパラと合流していき、深夜ジンが合流したと聞いて第十七小隊の面々が洞窟の前に集合する。


「「「「隊長!」」」」


 小隊全員の声がハモる。


「おお」


 ジンはなかなかに憔悴した返事をする。


「何人戻った?」


 すぐにそう言うジンにダイナが言いづらそうに言う。


「隊長を入れて四人です」


「四か......全体では?」


 殿に残ったのは全体で十三人程度だった。


「二十七人です」


 そう言うとダイナはジンに頭を下げる。


「隊長、今まで舐めた態度を取ってすみませんでした!あなたはここにいる誰よりも立派な方でした!」


 それに習うように小隊メンバーが頭を下げる。


「いいよ、コネで入った十二歳なんて舐めて当然だと俺も思うしね」


 はははと力なく笑うジンはそんなことは気にしていないと伝える。

 ジンの笑顔にダリルは言い表せない感情が湧き上がり考えがまとまっていなかったが口を開く。


「あんたはよくやったと思うぜ。あんたが、隊長がどう思っているかはわからねーが俺らはなんつーか、隊長がいなきゃあの戦場ですぐにくたばってたよって何偉そうなこと言ってんだ俺は?と、とにかくありがとよ」


 ダリルにそう言われてジンは少し驚いた表情を見せた後、先程より澄んだ笑顔でありがとうとダリルに伝えた。

 ダリルが思っているよりもジンはこの言葉に大きく心を救われていた。

 自分もこの戦場で守れたものがちゃんとあったと実感したからだ。


「さてと、お前たちからの信頼も勝ち取れたことは大きいがこれからのことを話さなければね。俺たちはまだ戦場に孤立したままだ。なんとか本隊に戻らなければならない」


 戦場の時とは打って変わってジンは穏やかにそう言うと重い体に鞭打って洞窟へと足を進めるのであった。

 この日結局殿部隊はジン以降戻ってくる者はいなかった。

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