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無眼一刀

 追っ手と戦闘が始まり、数分もうすでにジン達殿部隊は満身創痍だった。


(こっちが十三人に対して敵は四十弱、もってる方か)


 ジンは一人でならこの場を切り抜けることは割と容易にできそうではあるが、今ジンがやらなければいけないことは仲間が逃げるための時間稼ぎである。

 瞬刃流は敵の命を最速で刈り取るためにどこまでも突き詰めた剣技である。

 そのため基本的には一対一でその強さを発揮する。

 多数相手にもジンの実力では難なく捌けるが、他はそうはいかない。

 当初十三人だった人数も今や半数六人でなんとかやってる状況だった、敵のほとんどはジンが肉塊へと変えていた。


「よし!散開しろ!」


 これ以上現状を維持するのは困難だと思ったジンがそう言うと各々バラバラに逃げ始める。

 ただジンだけがその場に留まる。


「帝国兵のみなさんはもう少し後から来て頂きたいのでね」


 そう言って追っ手である帝国兵を睨みつける。

 散開して各々逃げようとする王国兵を個々で撃破するため動こうとしていた帝国兵がジンの人睨みで一瞬体を硬直させる。

 ジンにはその一瞬でよかった。

 刀を鞘に戻し、腰を大きく落とす。

 

「第六門、緋剣、無眼一刀」


 ジンが刀を鞘から引き抜いてからしまうまでの時間、それを認識できるものはこの場にいなかった。


 『無眼一刀』は例え目があろうが無かろうが抜いたことを気づかないと言われる瞬刃流の中でも上位の速度を誇る剣技でその太刀筋は横に一線のみである。

 だが目の前でそれをやられた帝国兵は溜まったもんじゃ無い。一瞬敵兵であるジンが何か言ったと思ったらジンの近くにいる者が全て上半身下半身を真っ二つにされて下半身から上半身がずり落ちていく。

 しかもその剣速が故に斬られた人間は絶命しておらずそこらじゅうで悲鳴や嗚咽が聞こえる。


「化け物だ」


 誰かが呟くがジンはもうすでにその場にいなかった。


「く、奴らの追跡は後だ!負傷者の手当を急げ!」


「手当と言っても隊長!この有様じゃ!」


 帝国兵はジンが最後にやっていった惨状を見て、頭を抱える。


「仕方ないだろう、介錯してやれ」


「......了解しました」


 戦争に一個人の考えは必要ないと言うが、やはり部下や上司を失えば恨みは出るし、関係が深ければ深いだけ怨みもでる。

 戦争に参加した全てのものがこの時より業を背負うのだろうと、帝国兵である壮年の隊長は思うのだった。


「それと団長にお伝えしろ。どうやらこの戦争化け物が混ざっているとな」


「は!」


「隊を再編後にもう一度あたりを捜索する。特に用事のない者は休んでいろ!」


「「「はい!」」」


 そう言ったが、帝国兵である壮年の隊長はもうジンとは会いたくはなかった。

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