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焦り

「では、各小隊に分かれて部屋割や執務室を見ておけ!今日はこれにて解散!」


 新兵挨拶が終わり中隊長挨拶も終わり次は各小隊に分かれての行動となる。


(ちとやり過ぎたか)


 ジンには打算があった。

 新兵挨拶で目立つと言うことだ。最初は特に目立つこともないと思っていたがデールズが突っかかって来てくれたことにこれ幸いと乗っかったのだ。


(良い方に目立つには難しいからな〜助かった)


 悪目立ち。ジンはそれがしたかった。


(不真面目野郎のコネ入隊。いやぁ少しやり過ぎたよなぁ)


 元々この件はジゲンに伝えているものの中々やり過ぎたような気もしないでもないジンだが「まぁいいか」と呟き青龍騎士団の本部である建物に向かう。

 

(あれだけ悪い印象を与えたんだ、中々の激戦区に行かせてもらえるだろう)


 ジンはキリルとの約束がどの程度の功績か分からないためできるだけ危険なところに送ってもらうことを念頭に置いていた。

 危険なところ=美味しいところだと考えていたからだ。

 ジンには危険であろうとも小隊規模であれば守り抜ける自信があった。

 だが戦争に於いては危険なところ=最前線であるためあまり美味しくないのだがジンはそれがわかっておらず危険を冒すなら美味しいだろうと言う固定概念だけで今回の行動にでた、つまるところジンはこれでも焦っているのだ。

 

(三年か)


 短過ぎやしないかと愚痴りながらジンは尚も止まらず歩き続ける。

 歩きながら昨夜の会話を思い出していた。


「なに?オオトリの名を使わんだと?」


「ああ、今回俺は俺個人として騎士団に入るよ」


「お前、リナリー嬢との婚約の話はどうする?」


「たしかに条件を考えるとオオトリを名乗る方が何かと便利だけど後々禍根を残したくはない」


「なるほど、俺の息子だからと言う話か。だがそんなものはいつかはバレるぞ」


「いいさ、学園を卒業したらどうとでもなる。ていうか親父殿の息子だよ?どうとでもするさ」


 ニヤっと笑って言うジンにジゲンは困ったように笑うのだった。


 昨夜のことを思い出しながら歩いている本部の前までやってきたジンは入って受付の人間に声をかける。


「すまない、今日付で入隊なんだが、十七小隊の執務室ってのはどこにあるのかな?」


「はい、それでしたらここから向かって左に行っていただいて突き当たりを右でございます」


「丁寧にありがとう」


 そう言って言われた方向に足を向ける。

 言われた通りの道順で行くと十七小隊と書かれた札を見てジンがここかと思い扉を開けるのだった。

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