前へ目次 次へ PR 94/118 「送春」 庭で彼女が着物と羽衣を纏って舞っていた。 そこは一切の音がなくなったかのように静かに、荘厳に、美麗に、儚く別れを惜しむかのように。最後に彼女が手を打って終わった。 後で何をしていたのか聞くと。 「何、送春の舞よな。妾も神故、春を次に送る力を渡しておった」 なるほど神様、よくわからん。でも一つだけ確かな事は。 「それって、春を送ったら春より嫌いな夏を迎えるって言ってるような」 「! ぐっ」 彼女はがっくり項垂れた。