前へ目次 次へ PR 85/118 「初虹」 通り過ぎるようにさっと降った春時雨。冬のどこか重い雨とは違い、本当に軽かった。 ちょうど散歩中に降ってきてしまったため、東屋で彼女と一緒に休んでいると。 「む、端女よ。貴様に面白いものを見せてやろう」 悪戯気に彼女が笑い、私の額に手をかざした。 なんとなく閉じた目を再び開けると。 「わぁ……」 虹がアーチを描き、その上を輝く小魚と共に泳ぐ白い鯨がいた。 「六つ目をあけたのよ、面白かろう?」 自然と首が縦に動いた。