プロローグ
初投稿です。
作者は心が弱いので意見は優しい言葉でお願いします。
「・・夫。私はやれる。|幻影の精霊王<<ミカエル>>の力で偽装も完璧」
はじめまして皆様。私はのクラウディア・ディスケンスと申します。ディアと呼んでください。間違ってもクララとは呼ばないでください。
そこっ!今、ハイジのまねしませんでしたか!クララのバカっ!とか言いませんでしたか!!
・・・えっ言ってない?・・・そうでしたか。すみません。この名は前世からのトラウマがありまして少々取り乱してしまいました。
さて私は今年12歳になりました。
私の住む国は魔術と魔導具の国『アーネンベルク王国』と言います。実はこの国では12歳になった年始に魔力検査が義務づけられているんです。
その検査の結果AからEの5段階評価でC以上の方、もしくは『精霊の祝福』持ちの方が国立魔法学園に通うことになります。
私は『ティファレト』の祝福を持っているということで入学出来ました。
まぁ、実際は違うんですけど・・・
私は現在、ついにこの時が来た。とBAS○RAの凶王様のように言ってみたいテンションです。
さて、なにやら部屋の外が騒がしくなってまいりました。
どうやら私が体調不良ということで途中退席した入学式も先程終わったようです。
皆様、本日のメインイベントである入学記念パーティーの準備をするために寮に戻ってきたようですねぇ。
部屋の外に慌ただしい空気を感じます。時折、鬼気迫る声も聞こえてきます。
まぁそれもそうでしょう。
正式な社交界デビューは15歳になった年の年末パーティーですが、実際にはこの記念パーティーこそが社交界デビューになるのですからねぇ。
大抵の方はこのパーティーで婚約者が決まります。そのため淑女の方々はこのパーティーの為に入学する努力重ねてくる方がほとんどです。
一応、パーティーには入学者以外の方も参加出来ますが主役はあくまで生徒です。
そのため注目されるのはまず、貴族の生徒、次に平民の生徒、そして入学出来なかった伯爵以上の子供と続きます。
入学出来なかった子爵以下の子供は空気の様に扱われるため、滅多に来ることはなく、また来たとしても大抵生徒の中に婚約者がいらっしゃる方か、恥知らずな方です。
なぜこのパーティーがこんなに重要かと言いますと、その理由は我が国には『|天竜<<ファフニール>>の峰』、『|女郎蜘蛛<<アラクネ>>の森』などの第一級危険区域が7ヶ所、第二級危険区域は数十ヶ所あるからです。
これらの区域は確かに危険ですが、ここに住む魔物から取れる素材は我が国の主要な産業である魔導具の大切な材料です。
そのため、国はこの資源を守るために、危険区域の結界の管理は領主自らが行うべしと法で定めました。。
そのため、領主は魔術師の資格が必須です。しかも領地が広いとそれだけ結界に使う魔力が増えます。
そのためにもなるべく魔力の強い子が生まれるように結婚相手は魔力の強い方が望まれます。
だから一定の魔力量がないと入れない学園のパーティーで早めに婚約への足掛かりにするのが慣習化されました。
さて、そんな大事なパーティーなのですが、今日私は体調不良で休みます。
・・・心配してくださりありがとうございます。はい、体は何ともありません。むしろ健康です。
あぁ、そんな怒らないでください。これには事情があるんです。
あのですね、私は転生者なんです。
前世の私はいわゆるオタクと呼ばれる人だったと思います。まぁディープなオタクではなくいろんな漫画やラノベ、ゲームを広く浅くやるタイプでした。漫画を自分で書いたこともあります。もちろん物置の奥に厳重に封印していました。
私が特に好きだったのは剣と魔法の世界と言ったファンタジーや何があろうと自分の道を進む不撓不屈なキャラでした。
自分がビビりでへたれだったので憧れたんです。だからこの世界に転生したときは嬉しくて舞い上がっちゃいました。(赤子だったので笑うことしか出来なかったですけど。)
しかしあるとき気がついたのです。これは所謂悪役転生だと。
私がその事実に気付いたのは私の婚約者である第2王子のレオンハルト・アーネンベルク様に初めてお会いしたときでした。
レオン様は金髪碧眼の所謂王子様な見た目でとても優しそうな笑顔だと最初は思っていました。しかしある事件のせいで本当は笑顔の下で相手を馬鹿にしている陰険毒舌野郎と分かったのです。
そのときふっと思ったのです。
なんか乙女ゲームにでてきそうなキャラだなと。
その瞬間私に電撃が走りました。これは所謂悪役転生ではないかと。
私すぐさま調べました。
すると出てくるではないですか、主要キャラと思われる人達が。
ローラン伯爵子息でいつもレオン様の側にいて、彼に忠実で思っていることがすぐ顔に出るというワンコな性格の近衛騎士志望のアリオスト様。
次にレオン様の兄君で『火精霊』の祝福を受けた俺様だけど妙に面倒見のいいライガット様。
あぁ祝福とは、まぁ簡単に言いますと精霊が「この子の魔力が気にいった!貰っていくね。その代わり僕の力を自由に使っていいよ」という共生関係のことです。
祝福持ちは精霊のお力を使って精霊術を使うことができます。
ただ、魔力は常に精霊に持っていかれる為、魔術は使えません。
つまり、結界をはれないのです。そのため領主には、ましてや国内最大最凶の第零級危険区域『暴竜の谷』を管理する王にはなれないという悲しい設定があります。
続けますね。エイヘンバウム侯爵の庶子で自分たちの都合で母親から引き離した侯爵家を憎んでいる無口無表情なイヴァン様。
さらに現在、宰相を務めるディスケンス公爵の嫡男で生真面目で頭が固いメガネのエリオット兄様。
そして孤児院でみんなの面倒を見ている頼れるお兄さん、今のところ誰も気づいていないけど実は『剣精霊』の祝福を受けているユーリ様。
そして平凡な家庭に生まれて育った平凡な見た目・・・じゃないわね。
愛嬌のある顔に『光精霊』の祝福を受けた証である白金色の髪。正に乙女ゲームの主人公!!という少女アリサ。
祝福を与えられた子は多くはないけどそれなりにはいます。
でもケテルの祝福持ちは相当珍しいんです。
どれくらい珍しいかと言うと前の光精霊の祝福持ちは1200年前に隣国のセファリア教国の建国者というぐらいです。
また能力も特別なんです。
他の精霊と違いケテルのお力はとても純粋です。
だから他の精霊と違いケテルのお力を魔力代わりに魔術を発動することができるのです。
つまり万能ということです。
これだけ説明すればもうわかるでしょう。
この世界はアリサを主人公とした乙女ゲームであると。
さて、この世界は乙女ゲームの世界だと気付いた私ですが問題がありました。
それは私がこのゲームをしたことがないということです。
そのため私には自分の立位置すらわかりません。
だから最初に自分の役割がなんなのか考えることから始めました。
まず、最初のポイントは私がティファレトの祝福持ちということになっていることでしょうか?
先ほど言いましたが祝福持ちは魔術を使えないため、領を継ぐことが出来ません。
今、ディスケンス家には子が兄様と私といるのですが、 私は祝福持ちですし、兄様は魔力が少ないため、2人とも領を継ぐことが出来ません。そのため領は叔父様の子が受け継ぐことになっています。
これはコンプレックスになってもおかしくないと思います。
そんな私の目の前に現れるケテルに祝福を受けた子
これは嫉妬してもおかしくありません!
次にクラスでしょうか。学園には二つの校舎があります。祝福持ちが集められた精霊棟と魔術、魔導具の作製を学ぶ魔術棟です。
ケテルの祝福を受けたアリサ様は両方の校舎を行き来する事になるでしょうが、基本的に二つの校舎は離れていてあまり交流はありません。
祝福持ちは基本的に魔術を使えないですから一緒に学ぶ意味がないんです。
そのため私はヒロインと違ってレオン様とは学園に入ったらなかなか会うことが出来ないでしょう。
以上のことから私、クラウディア・ディスケンスはアリサ様に嫉妬してもおかしくない、いや、むしろ嫉妬するはずと考えられます。
つまり私は悪役令嬢であると。
次に考えるべきことはエンディングです。
悪役令嬢が辿る未来と追放か、処刑だと思いますが、この国の法を鑑みた結果、処刑はないと思います。
しかし、追放は免れないでしょう。
先ほど言いました様にこの国は魔力を重要視しています。
ですからこの国の公爵家の娘が嫉妬にかられて将来有望な少女殺しかけたとなると公爵家の名に傷がつきますからねぇ。
あっ、あとは一応彼女につけられた国の護衛に殺される死亡エンドも考えました。
でも、『天竜』に一騎討ちで勝利した私を国の護衛といえども殺せるとは思えませんから大丈夫でしょう。
それから私は準備に走りました。『狩猟協会』に登録をしたり、お金を稼いだり、家を建てたりして、追放後の準備に備えました。
そしてついにこの日がやってきました。
『風の精霊王』の情報によると、ヒロインは一本道であるはずの校門から校舎までの道をなぜか迷って生徒会長である外面の仮面をかぶった毒舌王子に案内してもらったり。
何か怒鳴り声が聞こえると行ってみると、なぜか興奮していたエイヘンバウム家令嬢に叩かれたイヴァン様を心配して冷たくあしらわれたり。
手に大量な書類を持っているから扉を開けられないて困っていた要領の悪いワンコ騎士見習いのために扉を開けたり。
急に盛り上がった地面につまづいて、地面に寝転がってた俺様王子の上に倒れたり。
時間ギリギリになったため少し走ったら、堅物メガネにつかまって注意されたり。
周りが貴族ばかりで少し物怖じしてたら家の近くの孤児院の子に心配されたりと順調に出会いイベント(仮)をこなしたようです。
まぁそこは私には関係ありません。
私には記念パーティーをいかにさぼるかという重要な使命があるのです。
はい、やっとここに戻ってきました。
なぜさぼるのが必要かというとですね。
それはこの学園には婚約者のいる異性には必要以上に近づいてはならないという不文律があるんです。
もしこのまま進むとヒロインがレオン様に近づくのは周りの方に止められて不可能になります。
このまま進むと、です。
確かに私とレオン様は正式に婚約しています。
しかしこのパーティーに二人で腕を組んで入ることで初めて公になるのです。
このパーティーに一人で参加すると婚約がないも同然と見なされアピールしても何の問題も無くなるのです。
つまり、私がさぼれば私とレオン様の婚約周りの方はほぼ白紙扱いします。
ヒロインもレオン様に近づけるというわけです。
下準備は完璧です。
まず、入学式で顔色を悪く見せて途中退席しました。
その後、医術師に見てもらいきちんと診察してもらいました。
さすがはミカエルです。医術師の魔術的視覚すら完璧に騙しました。
そしてパーティーに参加出来ない旨を書いたこの手紙をレオン様に渡す様に侍女に頼みました。
これで残す試練は後一つです。
コンコンッと扉を叩く音がしました。
私がどうぞと声をかけると私付きの侍女が部屋に入ってきました。
「お嬢様、先ほどレオンハルト殿下に手紙を渡してきました。
」
「・・・そう。殿下はなんと仰ってましたか」
顔を伏せてなるべく無念な空気を出して聞きます。
私の演技ははっきりいって大根ですがそこは『幻影の精霊王』の力でごまかします。
すると侍女は「後で部屋に行くとだけ仰られました。」
くっ、やはりレオン様は顔を見せにくるようです。
気が重いです。しかしこれを乗りきれば私の悪役令嬢ライフが始まるのです。 心の中で私は気合いを入れました。
部屋の外が先ほどよりも騒がしくなりました。どうやらきたようです。
「ディア、入ってもいいかい」と扉を叩いた後そう訪ねる声がしました。
私は侍女に扉を開けてもらい、中に入ってもらいました。
「このような姿で申し訳ありませんレオン様」
「いや気にしなくてもいいよ。それより体は大丈夫かい?」
「少し体が重いだけです。お医者様も一晩休めば治ると。ただ今日のパーティーには・・・」
会話をしながら私はあれはいつくるのかと警戒していました。私のこの計画を水泡に帰しかねないあの言葉を。
・
・
・
「それじゃ私はそろそろ戻らせてもらよ」
そう言ってレオン様は立ち上がりました。
私は再度頭を下げて「この度は私の不注意のせいで殿下に多大な迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
と再度謝りました。
「気にしなくてもいいよ。確かに今年一年面倒くさくなるけど、まぁ君が婚約者に選んだ時に苦労することは想像ついてたからね。何の問題はないよ」
・・・今、私は面倒な女だとさらっと毒をはかれた気がしますが我慢です。
「では」とレオン様が部屋を出て行きました。
ふぅ、どうやらレオン様も病人相手をからかうつもりはないようです。
私はひっそりと勝利を〈ガチャッ〉「あっ、クララ「クララって呼ばないでください!!」
・・・噛みしめようとしました。
えぇ出来ませんでした。今、私の周りにはびっくりした顔の侍女と勝ち誇った顔をしているレオン様がいます。
くそぅおのれ畑中。お前がしつこく「クララが立った」
って言ってたのせいで全部台無しだよ。
神様お願い来世のあやつにアムロの名を!そして言われろ「お前、親にもぶたれたことないんだろ」と!
「やはり仮病でしたか。それがティファレトの本来の力ですかすごいですね。本当に病人にしか見えませんでしたよ」
「・・・なんで」
しかしわからない。今の言葉、レオン様は最初から幻影だとわかっていたみたいです。でも私は今までこの力を隠していたのです。
「どうしてという顔をしてますね。まぁ説明しますと去年、ディアは嵐のせいで避暑地から戻れず記念パーティーに参加出来なかったじゃないですか」
そう。去年私は嵐をおこして記念パーティーの参加を辞退した。でもそれが何の関係があるのだろう?
「あれほどひどい嵐です。川の増水、土砂崩れといった被害は大変なものになると考えられました。しかし実際には被害はほとんどありませんでした。」
そうですね。記念パーティーに出ないためとはいえさすがに死人を出すわけにはいきません。ザフキエル』、『水の精霊王』、『地の精霊王』の力でなるべく派手に、でも被害はないように頑張って調整しました。
でもそれが?
「調査の結果見た私はこう思ったんです。実際は大した雨は降ってなく、そう見せられたのだとね」
「っ!」
思わず息がつまってしまいました。
私のその顔を見たレオン様は「当たりですか」どや顔をしていますが、実際は違います。
私の息がつまったのはただ単純に「その手が!?」と感心しているだけです。
あぁーあのどや顔ムカつきますねぇ。
私が本当は十柱の精霊王に祝福を受けているとばらしてしまいましょうか。
「さてと、ではそろそろ準備しましょうか」
「はい?」
私がレオン様のまぬけ面を想像して溜飲を下げていたら現実に引き戻されました。そうです。過程は間違っていますが、私が仮病という答えは合っているのです。
ヤバイ、まずい、どうしよう、どうすれば???
考えが全然まとまりません。
「ではそれでお願いしますね」
あぁなぜかレオン様が私の侍女に指示されています。大変です。このままではレオン様との婚約が公のものになってしまいます。悪役の役割を果たせません。
「きれいですよディア」
私が一生懸命、打開策を考えている間に私の準備が終わってしまいました。
目の前の鏡には一人の少女がいます。父親譲りの金色の右目、母親譲りの東洋系の顔立ちと黒い髪、そして十柱の精霊王に祝福を受けた銀河のように様々な色で輝く左目。
鏡を見る度に感じる既視感を無理矢理振り払い私は打開策を考え続けます。
ある事実から目を背けるために。
私、悪役令嬢ですよね!?(泣)
自分で書いた漫画のオリキャラになんかに転生してないですよね!?(泣)




