第17話 強さを知りたい。
「コウキー!」
ドアの向こうから聞き慣れた声が飛んできた。
「んぁ? 誰だよ……」
コウキは欠伸混じりにドアを開ける。
「……誰だって、アレン!?お前...もう大丈夫なのか?」
「うん。コウキたちのおかげだよ。ありがとう」
「そうか...それならよかったけどよ。で、どうした?」
「学校、一緒に行こうと思ってさ」
「……ん? 今何時だ?」
「八時だけど」
コウキの額に冷や汗がつたる。
「わりぃ。アレン。俺さ、今起きたとこだわ」
「え……」
「すまん!先行っててくれ! すぐ追いつく!」
「うん。遅刻しないでね」
「おう!」
そう言って、アレンは一人で学園へ向かった。
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校舎の廊下を歩いていた、その時だった。
背後から、静かな声がかかる。
「ねぇ……アレンくんだよね。
教えてくれないか?――強さを」
予想していなかった問いに、思考が止まる。
「……え?」
思わず、間の抜けた声が出た。
振り返ると、同じクラスの生徒――サーレくんが立っていた。
「えっと……僕は、強くないから。分からないかな」
困ったようにそう答える。
――ウソだ。
心の奥で、何かがはっきりと否定した。
僕が、ここまで惹かれているのだから。
君が特別じゃないはずがない。
「いや、君は強いよ」
サーレは真っ直ぐにアレンを見つめる。
「僕の中の“何か”が、そう言ってる。だから――」
「おいアレン、何してんだ?」
割って入るような声。
「……おめぇ誰だよ」
コウキだった。
アレンの前に立つその姿に、サーレはわずかに目を細める。
――面倒だな...
アレンくん以外に、興味はないんだけど...
「アレン〜ようやく来てくれたか〜!!いやぁ良かった!!」
今度は教室の方から、軽い調子の声。
ベルダ先生が、ひょこっと顔を出していた。
「ん〜?なんか...珍しい組み合わせだな。コウキとアレンは分かるが……」
サーレに視線を向け、少し考えるように顎に手を当てる。
……はぁ、ほんっと...面倒だな。
どっか行ってくれよ...
アレンくん以外に価値なんてないんだよ...
「そうだ。交流を深めるいい機会だ」
ベルダ先生は、にこやかに言った。
「その三人で、任務に行ってこい」
「え?」
「は?」
「……」
三人の反応をよそに、先生は手をひらひらさせる。
「詳しいことは、あとで伝えるね〜」
アレンくんは良いとして...
なんでこの不良もどきみたいなのまで...
まぁいいか...アレンくんの強さが見れるかもしれないし。
こうして、
偶然とも必然とも言えない三人の関係が、動き始めた。




