Select4’:魔術書店
【選択肢】
▶︎魔術書店
※共通シナリオも含まれています。
「それじゃあ……そこの路地に入ったところの魔術書店は?」
「……お前、魔術書に興味があるのか?」
「興味もあるし……それに───」
(昨日みんなでこの辺りに散策に出た時、ラルドがこのお店を気にしていたように見えたから……)
昨日は皆に遠慮して立ち寄らなかったのだろう。
それがずっと気になっていた。
「……それに?」
「あ、ええと……お店の外観も素敵で気になって! 中を覗いてみたくなったの。ダメ……かしら?」
「……。……まぁいい、分かった。行くぞ」
「ありがとう!」
店に入ると、本の匂いとハーブの匂いが鼻をくすぐった。
見たところ、魔術に使うハーブ系の植物も取り扱っているらしい。
(それにしても……)
店内をぐるりと見渡す。
「このお店の内装……ふふ、なんだか少し懐かしいわ」
「……ああ。あの旧魔術邸の部屋の作りに似ているな」
「あの一件からもう数ヶ月経つのよね……。大変だったけれど、こうしてどんどんあの日の事が薄れてしまうのは……少し寂しいわね」
「寂しい? 生死の危機にさらされたというのに、呑気なものだな」
「けれどあの一件があったからこそ、私たちはこうしてみんなでシーラでの旅行を楽しめている。それが……今はとても嬉しいの」
私は目を閉じて、あの屋敷での日々を思い出しながら語った。
「……お前は変わったな」
「え?」
「……いや。それより、何か品を見たくて店に入ったんじゃないのか?」
「え!? …………あー」
(ど、どうしよう。これと言って何か見たかったわけではないから、どれを見たら……)
慌ててキョロキョロと周りを見渡すが、決して魔術に詳しい訳では無い私はただ目を泳がせるしかなかった。
するとラルドは呆れたように息をついた。
「…………はぁ、やはりか。本当は、何か目当てな物があって店に入ったわけではないのだろう?」
「う……」
(バ、バレている……)
「……ごめんなさい」
「いや、責めているわけでは───……すまない、そんな顔をさせるつもりはなかった。……お前は俺のためにこの店を選んだのだろう」
「えっ、ど、どうして……」
「そんなに分かりやすく、この店を気にしていた覚えはないが……それでもお前には見透かされてしまったんだな。あの時俺がこの店に立ち寄りたいと思っていたことに。あの時は皆と行動していたため口には出さなかったが……お前はそれを気にしてくれていただろう?」
(ぜ、全部バレている……!)
「わ、私もそんなに分かりやすく気にかけていたわけではないと思うのだけれど……」
「出会ったばかりの頃であれば、お前の気遣いにも気が付かなかっただろうな。だがお前たちと行動を共にするようになって、俺も仲間のことを───お前のことを、多少は理解できるようになった。言葉で説明するのは難しいが……お前の些細な変化は、雰囲気でなんとなく分かる」
「……!」
驚いた。
彼の口から仲間という言葉が出るなんて。
普段口に出さないだけで、彼が私たちをちゃんと仲間だと思っていてくれたことが、この上なく嬉しかった。
「? どうした、固まって」
「……私のことも仲間だと認めてくれていたのね。貴方は私をダイヤ生には相応しくないと考えていたでしょう?」
(まぁ、それは私自身も思っていることなのだけれど)
「……ふっ、そうだな。初めはそう思っていた。だがすぐにそんな疑念は晴れた。少なくとも俺がお前たちと過ごす中で見たお前の能力は、学園での成績より遥かに優れている」
「そ、そんなこと……」
ラルドからの評価は素直に嬉しく思う。
けれど同時に、彼らと過ごすうちに、彼らの平均に力を合わせてしまっていたことに気が付いた。
学園全体で見たら、私の能力は上位となるだろう。
「せ、成績トップの貴方に評価してもらえるだなんて、光栄ね。私もまだまだ頑張らないと! ……と、そうだ、ラルドの方は何かいい本は見つかったかしら? せっかく来たのだし、珍しい本があるといいわね」
私は動揺を隠すように、強引に話題を変えた。
ラルドは何か言いたそうにしていたが、私の気持ちを察してかそれ以上追求することはなかった。
「……そうだな、少し見させてもらおう」
私も、ラルドが本を選んでいる間、店内を見て回ることにした。
───そして、しばらくして。
「ラルド」
時計を確認した私は、本に集中しているラルドに声をかけた。
「…………」
「ラルドー」
「……なんだ───て、あぁ、もうこんな時間か。すまない、熱中しすぎた。付き合わせてしまったな、退屈だっただろう」
「いいえ? そんなことないわ。魔術に興味があるのは本当のことだもの。私も勉強になったわ」
私が微笑むと、珍しく彼も小さく笑みを返してくれた。
店を出たあと、私は先程気になったことを聞いてみることにした。
「さっき、随分難しそうな本を読んでいたけれど……ラルドは魔術も得意なの?」
「魔術もか……。学園の中で言ったら、使える方ではあるな」
「へぇ……すごいわね!」
「魔導学園に通う者にとっては不要なものだがな。俺は魔法使いでなければならない」
(なければならない……?)
彼の言い回しに違和感を覚えたが、あまりに平然と話す彼にその違和感も薄れていく。
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※
市場を抜けた私たちは、皆の待つ海岸へと向かった。
ラルド 好感度+30




