Select4’:お願いする
【選択肢】
▶︎お願いする
※共通シナリオも含まれています。
(確かに……焼き菓子が甘かったから、少し喉が渇いたかも)
「それじゃあ……お願いしてもいいかしら?」
「りょーかい。少し待ってて」
そう言うと、セシアンは露店の方に姿を消した。
それからしばらく経ったが、彼は一向に戻ってくる気配がない。
(すれ違うリスクがあるし、私は動かない方がいいのでしょうけれど……さすがに遅すぎるわよね?)
何かトラブルでもあったのだろうか。
(彼のことだから大丈夫だとは思うけれど……心配だし、少しだけ様子を見に行こう)
セシアンが歩いて行った方に進むと、すぐに彼の姿を発見した。
彼は何やら女性と話し込んでいるようだ。
女性の服装から、おそらく相手は貴族のご令嬢だろう。
令嬢は親しげにセシアンに寄り添い、頬を赤らめ笑みを浮かべている。
(知り合いかしら? 何かトラブルに巻き込まれたわけではなさそうね、よかったわ。何か話しているようだし、私は元いた場所に戻って────)
ふと、彼が令嬢に向けている表情が気になった。
表面的には笑っているのに、その笑顔からは何も感じ取れない。
その張り付けられた仮面に、懐かしささえ覚えた。
(そういえば……以前はこんな感じだったわね)
いつだったか。
ある日を境に私たちの前ではその仮面を取っていた。
彼が心から笑顔でいられる場所。
仲間と過ごす日々が、彼にとっての休息になれば嬉しいと───ふとそんな風に思った。
(それと、今彼が言い寄られているというか、なんとなく困っているようにも見えるけれど……さすがにあの間に入る勇気はないわよね、夜道で刺されかねないし)
そっと、見なかったことにしてこの場を去ろうと踵を返す。
すると、ちょうどそのタイミングでセシアンがこちらに気が付いたようで。
「あ、ベリル!」
「え」
駆け寄ってきた彼は笑顔で私の腰を抱く。
「ほら、言ったでしょう? 本当のことだって。悪いけど、キミの気持ちには答えられない。あぁそれと、今はこの子と約束があるから、オレたちそろそろ行かないと」
「えっ、待ってセシアン様!」
令嬢は泣きそうな顔で彼を引き止めた。
けれど……。
「それじゃあ、また学園でね」
有無を言わさず会話を終わらせたセシアンは、私の腰を抱いたまま令嬢を残しこの場を去る。
今の図は、彼女から見たら私は完全に〝泥棒猫〟だ。
「はぁー助かった。言ってもなかなか聞き入れてくれない子だったからどうしようかと思って───」
「セシアン?」
「…………ハイ」
「……どういう状況か説明してくださる?」
「……あー……その、彼女は学園の子で、そんな大した関わりはなく……前に少し遊んだことがあるご令嬢たちの中の一人……なんですけど。えっと……今彼女の誘いを断る口実にー……その、ベリルお嬢様のお名前をすこーーしだけお借りしたと言いますか! あ、こちらお飲み物でございます!!」
「あら、ありがとう」
「いえいえ……。…………えっと、ベリルさん?」
「なにかしら?」
「その、可愛らしい笑顔が逆に怖いと言いますか……」
「そうかしら? 私は今後、彼女に刺されないかが怖いわ?」
「ご迷惑おかけします……」
「もう……」
(反省しているみたいだし、これ以上深くは咎めないけれど……)
とりあえず、夜道には気をつけようと決意する。
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※
その後、急いで買い出しを済ませた私たちは、皆の待つ海岸へと足早に向かうのだった。
セシアン 好感度+30




