表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
〜第五章〜 シェナ√

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/147

【シェナ5ー9‘ BADEND√】変わらぬ愛を


シェナルート 【BADEND】


条件:シェナの好感度が50以下であること。



 


【BE√】

 ───────────────────



 ───彼は、獣人としての理性を失ってしまった。


 さっきまで、一緒にいたはずなのに。

 さっきまで、想いが通じ合っていたはずなのに。


 もう彼の瞳に、私は映っていない。


「シェナ……っ」


 一歩、近付く。


 けれど彼は低く唸り声を上げ、ゆっくりと後ずさった。私を拒絶するように。


「お願い……いかないで……」


 月明かりに照らされた銀色の背中は、少しずつ、少しずつ遠ざかっていく。


「シェナ……っ。行かないで……。消えないで……!」


 喉が裂けるほど叫ぶ。


「私……まだ貴方に伝えたいこと……何一つ伝えられてないの……っ。シェナぁぁぁぁぁっ!!!!」


 悲痛な叫びだけが、夜空へ溶けていく。

 その声に彼が振り返ることは、最後までなかった。


 月は静かに───彼を呑み込んでいった。




 ───────────────────



 ───後になって、魔女が教えてくれた。

 シェナは私を助けるため、自ら魔力制御の魔法を解かせたこと。

 あの時すでに、自分が助からないことを理解していたこと。


 彼の身体は、魔力制御が解けた瞬間、すでに限界を迎えていたという。

 だから、あの最後の口づけは、あの「愛してる」は───別れの言葉だった。



 ───────────────────



 冷たい鉄格子の中、一匹の大きな狼が、小さく身体を丸めて眠っている。


 私は格子の隙間からそっと手を伸ばし、その背を優しく撫でた。

 ふわりと揺れる銀色の毛並み。


 狼はゆっくりと目を開き、気持ちよさそうに目を細める。


 その瞳に、もう私を知る光はない。


 私が手を止めると、もっと撫でてほしいと言うように鼻先を寄せてきた。

 思わず涙がこぼれる。


「……貴方は、優しいね」


 狼は何も答えない。

 もう彼が私の名を呼ぶことも、笑ってくれることも、抱きしめてくれることもない。


 私は、彼の額へそっと口づけを落とした。


「どんな姿になっても、どれだけ時間が流れても、私は貴方を────」


 狼は静かに目を閉じる。

 その温もりだけが、まだ彼が生きている証だった。




【BAD END / 変わらぬ愛を】







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ