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お助け『魔女』になりまして  作者: ふつうのひと
5/31

05


「ほうほうほうほうほう?」


変身したトウカを周囲から観察する南條。


「結構基本的な巫女戦闘服じゃないですか?著作権的にはどことも被っているせいで逆に訴えられないくらいの塩梅ですね」

「別に著作権の心配なんてせんでええわ」

「あと『降臨』という言葉に中二病の残滓を感じますね」

「うっさい!」

「あ、女子小学生っぽい」


南條に揶揄われながらも自己状態を確認するトウカ。

先程とは違い、念じて魔法を使おうとしてみる。


「むんっ!」

「何してるんですか、むんって感じの顔して」

「いや、念じただけで魔法が出来ないものかと。出来ないな、『透明』」


念じても発動しなかった魔法を口に出すと、すぐに発動した。

それまでトウカがいた場所から消える。


「おお!そんな簡単に消えられるんですか」

「服だけ浮いてたりするか?」

「いえ、全部消えてますよ。あ、ちゃんと触れはするんですね」

「おいやめろ変なところ触るな男にセクハラすな!」


意図せずに脇と胸を触っていた南條だが特に悪びれもしない。


「何言ってるんですかこれからは女同士ですよー。とりあえずトイレの仕方から教えましょうか?」

「いいよ、何となく分かるから」


提案を却下しながら姿を表す。

魔法の解除は念じただけで出来ると確認できた。


「・・・元男なのに何となく女のトイレの仕方が分かるのは何ででしょうね?」

「・・・ノーコメントだ」


決して自分が特別変態などではない、と思うトウカ。


「ふぅ。とりあえず明日からどうしますか?早速ご両親のところに向かいますか?」

「ああ、それは頼む。で、それと別になんだが・・・」

「まだ何かあるんですか?」

「ここに居候させてください」


両手を体の前で組みながら背中を丸めるトウカは、自分の容姿の使い方を学習し始めていた。


「・・・ご両親の所に戻っておしまいなのでは?」

「いや、そういう訳にもいかなくなった。出来れば居候させてほしい。期限は、南條がここを引っ越すまで」

「それはいったいどういう事情で・・・?」

「さっき話した男の子なんだが、ここ近辺の小学校に通ってるらしい」


それはフォロー対象に関する情報として与えられたものであった。

名前、年齢、住所などの基本情報を個人情報保護法など無視して与えられているのである。


「そうなんですか?」

「ああ。それで俺もその小学校に通わなければいけない。フォローの一環として」

「・・・なるほど?」


よく分からない南條は考えた。まず今のトウカが一人で暮らすのはNGだ。

その魔法の力でどうにか住居を借りられてたとしても、それ以降の衣食を確保出来ない。それも魔法で解決するとなると、実質犯罪になるだろう。


次にトウカの両親がこちらに引っ越して来る案。

斗也の年齢から考えると50代は堅いだろうと思われ、実家が持ち家だということも何となく理解しているのでそれをさせるのは心苦しいという子供心を察せられた。


他の男友達は下手すると職質からの逮捕になるのでアウト。

一番適正のありそうな人は現在アメリカである。


つまり今事情を知った自分の所に居候するのが一番波風が立たないと考えているのか、と読んだ上で南條は問う。


「先輩を居候させたら私にどんなメリットがありますか?」

「なっ!お前、人がめっちゃ困ってるんだから」

「という理屈じゃ通らないレベルだって、理解してますよね?」

「・・・やっぱ勢いじゃ無理か」

「あはは、この程度を考えないヘタレだなんて評価したことはありませんよ」


金銭的な負担を後輩に背負わせる事になるのは本人にも分かっていたが、それでも一番楽なのが後輩の元で世話になることだと考えたトウカ。

彼女が使える手は一つだけだった。


「じゃあ、俺を家政婦として雇ってくれ!」

「はい?家政婦?」

「まあ、本職並みの技能は無いけど、これでも一人暮らしで自炊もしてきたんだ!最低限の料理技能と清掃技能はある!」

「先輩、掃除出来たんですか!?」

「人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ!?(元々の量が少ないけど)きちんと綺麗に出来てらぁ!」


てっきり、そのままの勢いで「何でもするから!」と頼み込んでくると思っていたので、きちんとした職業を提示したことに驚きながら南條は話を進める。


「料理だって料理本とか見ながら頑張るし!」

「えー、でも先輩に私の服洗われるとかちょっと・・・」

「さっき同じ女同士って言ってたじゃん」

「まあそうですけど。家政婦よりもメイドの方が欲しいんですよねぇ、家政婦は家にいたので」

「え、医者の家になると家政婦とか雇うの・・・?」


予想外のブルジョワ発言にトウカの方が素に戻ってしまう。


「いえ、私たちが子供の頃だけですが。私が中学生になった辺りで来なくなりましたよ」

「それでも小学生いっぱいまではいたんだ・・・すげぇ。ってそうじゃなくて。家政婦とメイドって違いあるか?日本語か外国語かだろ?」

「言葉だけならそうでしょう。でも、私達にとっては違うでしょ?サブカル研究会だった先輩?」

「・・・・・・いや、すいません、そのどこまでのメイドの話をしているのかちょっと・・・」


トウカの脳裏をよぎったのは不健全な方のメイドであった。なまじ18歳以上の小柄なメイドが出る作品を知っていただけに、つい自分と照らし合わせてしまったのである。


それを悟った南條は慌てて否定する。


「何考えてるんですか!違いますよ、風貌とか恰好ですよ!家政婦だったら和風なのもありますけど、メイドって言うと基本洋風メイド服でしょ?なんなら金髪碧眼なメイドさんとかも憧れますよねぇ~朝起こしてもらって、目覚ましのティータイムをして・・・みたいな!」

「お、おう。まあ、それくらいなら出来なくも無いが。『変化』」


トウカの姿が、一瞬で切り替わった。

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