10
転生した長寿院ですが、11歳にして人生オワタ感が半端ありません。
いや………いやいや。まずい。ヤバい。生き残れるビジョンが全く見えない。
「………。」
合戦開始
↓
城門を抜かれる
↓
敵に囲まれる←今ココ。
あぁ………何か、こう、負け戦の雰囲気に呑まれて格好付けちゃったんだよなぁ。
でもなぁ、後ろの人たち見捨てるのも後味悪いじゃん!!!
あぁ………でも、逃げれば良かったかなぁ。
大体、敵があの島津って分った時点で逃げれば良かったんだよ!!!
もー!!!俺ってばうっかりさん!!!まいっちんぐだよ、まいっちんぐ!!!!
なんて現実逃避している間にも、敵兵の包囲の輪が狭まる。
ジャリ。
「ッ!!」
敵が足を踏みしめる音が聞こえ、反射的に銃を向ける。
………銃を向ける(キリッ!!!
じゃねーよ!!何やってんだよ俺!!!
あーもう、また相手の顔が険しくなってるし!!!!
はーい、詰みました。詰みましたよー。セカンドライフも童貞エンドですよ!!!!ハハッ、ワロス!!!!
もー良いもんね、何にも怖くないもんね!!!!危ない橋でも渡っちゃうぞー!!!!
ハハッ、僕ミッk
と、そこまで考えた所で敵兵の包囲が割れて立派な身なりの若武者が現れる。
………何だコイツ。威圧感が半端ないんだけど。
「童ぁ、お前の名前は何ちゅう?」
どう見てもボスです。本当にありがとうございます。
「………盛敦。長寿院、盛敦。」
「俺は、義久。島津義久。どうじゃ?お前、島津家に仕える気はないか?」
………え?義久??島津義久!?あのチート兄弟のお兄ちゃん!?
そんな人に勧誘されてんの!?
ひょっとして助かった!?
と、そこまで考えた所で後ろの女性が身じろぎをする。
「………部下と、この方たちの安全を保障してくれるなら。」
「………ほう?」
と、いつの間にか義久さんの隣に立っていた男が眉を吊り上げる。
まさか………
「………気に行りもした。その安全は、こん義弘が保障すっど。」
やっぱりか、この厳つい仏頂面の人が鬼島津………
そんな場合じゃないのに、何か若干感動!!!
と言う事は………
その後ろに立っているのは
「義久殿に、義弘殿………じゃぁ、アンタが歳久殿??」
その瞬間、空気が凍った。
え??何か、地雷踏んだの!?
そして、声を掛けた男のとなりの男が何やら気まずそうに声を上げた。
「いえ………おいが、歳久………です。」
や………
やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!