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アナザー サイド オブ ジ アザーズ(統合失調症)  作者: 穏世青藍


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1/3

纏わりつく監視編

 いつ頃からだろうか…。


 日を追うごとに、私の頭の中にアクセスしてくる人達がいた。


 いつ頃からだったかなぁ…。


 日を追うごとに、私の事を包囲し始めた人達がいた。


 いつ頃からなのだろうか…。


 日を追うごとに、私を殺しにかかった人達がいた。


 これは、本当にあった話しです。

 完全にノンフィクションです。

 私は、統合失調症を患っております。

 この作品は、私のケースです。

 他の統合失調症の方達のケースは分かりません。

 色々なケースの統合失調症の方達がいらっしゃいます。

 統合失調症の一つのケースの話として読んでいただきたいです。




 あっちから、聞こえる…。


 そう、あっちから聞こえる…。


 何が聞こえる…。


 私の事を、話している声が…。


 こっちから、聞こえる…。


 そう、こっちから聞こえる…。


 私の事を、嘲笑う声が…。


 そっちから、聞こえる…。


 そう、そっちから聞こえる…。


 私の事を、怒鳴り散らす声が…。





 誰…。


 誰…。


 誰…。


 誰なの…。


 誰なの…。


 誰なの…。


 やまないなぁ…。

 

 やまないなぁ…。

 

 纏わりつく監視がやまないなぁ…。

 

 いつ終わる…。

 

 いつ終わる…。

 

 やまない監視がいつ終わる…。

 

 もう抜けた…。


 もう抜けた…。

 

 終わらない監視からもう抜けた…。





 それは、家に引き籠もっていた頃だった。

 とっても、とっても、精神が衰弱していた頃だった。

 私は、臨時員として事務職に就職し、契約期間を終え、次の就職先を見つけなければいけない頃だった。

 でも、職場やその周辺の事で極度のストレスを抱えた為に、家に引き籠っていた頃だった。

 それは、それは、遠い記憶。

 私の中の、遠い記憶。

 私の存在を掛けた、遠い、遠い記憶。



 人が…、人が…、怖かった…。

 人の目が…、人の目が…、怖かった…。

 人の声が…、人の声が…、怖かった…。

 私を…、私を…、避けていた…。

 私の姿を…、私の姿を…、避けていた…。

 私の全てを…、私の全てを…、避けていた…。

 


 怖いよう…。


 怖いよう…。


 嗚呼…、嗚呼…、怖いよう…。



 何故笑う…。


 何故笑う…。


 嗚呼…、嗚呼…、何故笑う…。



 何処からなの…。


 何処からなの…。


 嗚呼…、嗚呼…、何処からなの…。



 貴方はだぁれ…?

 

 貴方はだぁれ…?


 嗚呼…、嗚呼…、貴方はだぁれ…?



 聞こえる…。


 聞こえる…。


 嗚呼…、嗚呼…、聞こえる…。




 見られている…。


 見られている…。


 嗚呼…、嗚呼…、見られている…。



 全ての神経を、その存在に注いだ。

 私の持つ全ての神経を、その存在に注いだ。

 嗚呼、嗚呼、何処からなんだろう。

 全ての歯車が狂いだしたのは。

 嗚呼、嗚呼、何故私なんだろう。

 全ての狂気の矛先は。

 嗚呼、嗚呼、何をしたいんだろう。

 全ての孤独を見つめているのは。



 貴方は、だぁ~れ…?


 貴方は、だぁ~れ…?


 貴方は、誰なの…?


 名前が無いの…?


 名前が無いの…?


 名前が無いの…?


 名前が無いのね…?


 名前が無いのね…?


 名前が無いのね…。


 それなら、名前を付けてあげる…。

 

 名前を付けてあげる…。


 私が付けてあげる…。


 私が名前を付けてあげる…。


 何がいいかなぁ…。


 何がいいかなぁ…。


 え〜っと、何がいいかなぁ…。


 貴方は即に、消えるのね…。


 貴方も即に、消えるのね…。


 貴方達は即に、消えるのね…。


 皆、皆、即に、消えるのね…。


 そして、即に、現れるのね…。


 それを表す名前は、何だろう…。


 それを表す名前は、何だろう…。


 それを表す名前は、何だろう…。


 いい事、思いついた…。


 いい事、思いついた…。


 いい事、思いついた…。


 嗚呼、きっと、シガーがいい…。


 きっと、きっと、シガーがいい…。


 貴方達の名前は、シガーにしたの。


 どう?


 いい名前でしょう?


 現れては即消える、煙みたいだから。


 どう?


 いい名前でしょう?


 嬉しいの?


 嬉しいの?


 嗚呼、そうなの。

 

 名前を付けられた事が、無かったの。


 …、何か、とても、嬉しそう…。


 喜んでくれて、とても嬉しい…。


 何かね、格好いい名前にしてあげたかったから、シガーにしたの。

 

 煙は煙でも、イメージとしては、葉巻なの。


 ね?


 格好いいでしょう?



 もうそろそろ、いいかな…。


 もうそろそろ、いいかな…。


 もうそろそろ、働いてもいいかな…。


 もうそろそろ、働きたい…。


 もうそろそろ、働きたい…。


 私は、担当医に相談した。

 担当医は、念の為に、B型就労支援施設で働いてから、一般就労を目指す事を勧めた。

 でも、どうしても、働きたかった。

 なので、どうしても働きたいと、懇願した。

 私の中では、もう、精神的に働いても大丈夫なくらいに落ち着いていた。 

 ただ、人の目は怖かった。

 何処から、私を攻撃してくる人がいるのか分からなすぎて、外の世界へ出るのが、怖かった。

 皆に、じろじろ、みられている気がした。

 でも…。

 でも…。

 でも…。

 私は、焦っていた。

 長らく働いていなかったから、働きたかった。

 何でもいいから、働きたかった。

 働いて、生活費を家に入れたかった。

 私が働いていないせいで、家は、生活が苦しかった。

 両親は、その事を、1度も、咎めなかった。

 それに、結婚もしたかった。

 そして、子供が欲しかった。

 私は一人っ子なので、跡継ぎも産まなければならなないと思っていた。

 だから、とても、焦っていた。

 とても、とても、申し訳なかった。

 とても、とても、苦しかった。

 だから、とても、とても、焦っていた。

 担当医が、許可してくれた。

 即に、担当医が、病院内のケースワーカーさんに、

話しを回してくれた。

 その日に、私は、ハローワークに登録されているいくつかの官公庁や企業の資料を、プリントアウトしてもらった。

 詳しい事は、ハローワークに行く事になった。

 パソコンが出来ないと、就職先が無いということだったので、パソコンを習うことにした。

 そして、私は、職業訓練校を紹介してもらい、試験を受け、無事合格した。

 職業訓練校で、パソコンを習い、ワードとエクセルの試験に合格し、無事資格を取得した。

 卒業した私は、早速、就職先を探した。

 暫くすると、ハローワークさんから、封書が届いた。

 そこには、いくつか色々な官公庁や企業の資料があ入っていた。 

 私は、その中から、ある1つの企業を選び、応募した。

 無事、面接を終え、臨時員としての採用が決まった。

 嗚呼、働ける。

 私は、ほっとした。

 私は、引き籠もりから、抜けせた。


 ここから、地獄の、始まりだった。

 就職先の事は、就職先との約束で、誰にも口外してはいけない事になっているので、何も、書けません。

 担当医にも、話した事はないです。

 私は、一生、誰にも相談できないです。

 だから、この事は、私の胸に、しまっておく事にしています。

 とても、とても、とても…、苦しいの。

 話せる事を書きます。

 私は会社への往復を、バスと徒歩にしていました。

 その区間での出来事を書きます。

 人が、じろじろ、私の事を見ていました。

 私の事を見て、変な顔をしていました。

 私の事を見て、怖がっていました。

 そして、ある日です。

 帰宅している最中でした。

 職場のお客様様駐車に、白い車が停まっていました。

 少し、レトロな車でした。

 庶民的な感じの普通車でした。

 車のなかに、人がいるのが見えました。

 一人でした。

 私と目が合いました。

 すると、私を待ち伏せていたかの様に、即に、運転席から出てきました。

 私は、怖い…、と思いました。

 60代位の男の人が、私に話しかけてきました。

 茶色のサングラスか眼鏡をかけていました。

 髪の毛の色は分かりません。

 私から向かって、光のある方角に、その人は立っていました。

 なので、私の記憶の中のその人は、髪の毛が光を纏っていたので、良く分からないのです。

 髪の毛は、軽く緩めのパーマでした。

 長くも無く、短くも無く。

 白いトレンチコートを着ていました。

 トレンチコートの前を開けていました。

 襟を立てていました。

 新品ではないけれども、型崩れはしていなくて、着こなしている感じがして、目立った皺はありませんでした。

 リーズナブルなお値段の感じでした。

 タバコの香りはしませんでした。

 顔は、人当たり良さそうに見えたけれども、何らかの考えに取り憑かれた、切羽詰まった雰囲気を醸し出していました。

 明らかに、その会社のお客様ではありませんでした。

 何処からどう見ても、映画やドラマで見る、探偵みたいな人でした。

 

 ここで働いてる人ですか?

 

 私は、怖くなりました。

 咄嗟に、こう言いました。


 違います。


 確か、そう言いました。


 その男の人は、私に何も言わず、背を向け、携帯に向かって、何かを大きな声で話し出しました。

 私は、今でも、その男の人の声を、忘れられません。

 言葉は、訛っていませんでした。

 この地域の人では無いと思いました。

 それに、無理して、訛りを隠している様な声質ではありませんでした。

 淀みがありませんでした。

 その人が話していた内容は、分かりません。

 少し、横柄な人に感じました。

 その男の人は、私の答えに、気分を害した様子でした。

 私は、その場をあとにしました。

 そして、バスに乗り、目的地で降りました。

 徒歩で歩いていた時です。

 私の後ろから、白い大きな車が私を覗き込むように走っていきました。

 そして、右に角を曲がりました。

 私は、怖くなりました。

 中にいた人が、見えました。

 中学生位の男の子でした。

 私と目が合いました。

 そして、即、右の角から、先程の車がこちらに向かって走って来ました。

 私を舐めるように、即側を走っていきました。

 私は、怖くなり、家まで走りました。

 …と、こういう事がありました。

 その後、私は、契約期間を終え、退職しました。

 暫く経った時です。

 私は、極度のストレスから、統合失調症を発症しました。

 色々なケースがある様ですが、私のケースは、幻聴と幻視(医師は幻覚の事をこう言う様です)を、発症していました。

 始めは、近所の人達が、私の家の周辺で、私を包囲する言葉を投げかけている様な声が聞こえだしました。

 そして、その先鋒にいたのは、あの60代位の男の人の声(幻聴)でした。

 あの60代位の男の人の声が、近所中で響き渡っていました。

 私の噂話をしていました。

 近所の方を捕まえては、私の噂話をして、大声で笑っていました。

 すると、引き籠もっていた私は、ますます、外に出られなくなっていきました。

 人が、人が、怖かった。

 私の事を、大声で話す人達が怖かった。

 段々と、緊張していった。

 毎日、毎日、朝から晩まで、昼夜問わず、家の外の世界へ耳を傾けていた。

 聞き耳を立てるというレベルでは無かった。

 一言も漏らさないで聞くぐらいの、集中力を保っていた。

 始めは、幻聴の主は、私が聞こえているとは思っていなかった様だった。

 一ヶ月位経った頃から、気付き始めた。

 そして、話し掛けてくる様になった。

 きちんと対応しないと、頭中、響き渡る声の大きさで怒鳴り散らした。

 始めは、私は、幻聴だとは思っていなかった。

 …というか、幻聴だと、きちんと理解出来る様になったのは、大分先の事だった。

 事の始まりは、こうだった。

 天気のいい日だった。

 暑い、暑い日だった。

 私がいつもの様に、家の外の世界へと耳を傾けて少し経った時だった。

 私は私の部屋の柱の側にいた。

 私は全神経を耳へ集中させていた。

 私は憔悴しきっていたので、畳の上に横になってぐったりしていた。

 そうしたら、聞こえてきた。

 あの60代位の男の人の声が聞こえてきた。

 私は、この男の人の声に、とても敏感になっていた。

 一気に、怖くなっていった。

 


 我々はしくじった。4月27日の…。



 と、10分位話していた。

 何か、何かの怖い組織かと思った。

 声の大きさや抑揚の付け方が、軍事的な感じに聞こえた。

 日本語だった。

 しくじったって言った…。

 しくじったって言った…。

 しくじったって言った…。

 何をしくじったのだろう…。

 聞いてはいけないものを聞いてしまったのかもしれない…。

 どうしよう…。

 怖かった。

 でも、私の周辺で何が起こっているのか、確認しなければならなかった。

 私には、何かのテレビの音に聞こえた。

 電子音みたいだった。

 だから、テレビのチャンネルをあちらこちら回した。

 私は、それからは、私の部屋の柱の側で耳を傾ける様になった。

 それから暫くすると、その60代位の男の人が、また話し始めた。

 私は耳を傾けた。

 すると、機械がウイーン、ウイーンといってる音が聞こえてきた。

 そうしたら、それに気付かれてしまった。

 彼等の話が聞こえている事に、気付かれてしまった。

 

 よくやった!!!


 その60代位の男の人は言った。

 一緒にいたのは、20代位の男の人の様だった。


 はい!!!


 そう言った。

 その人達は、機械を何かすると、私の考える頭の中にコンタクト出来ると思った様だった。

 私の考えが、なんらかの方法で、筒抜けになっていた。

 機械が、ウイーン、ウイーン、と音を立てた。

 私は、考えが悟られている事への、恐怖が湧いてきた。

 私は、身を守る為に、その人達の話を一生懸命に聞き耳を立てた。

 そうして、分かった事は、私の頭の中にコンタクト出来るだけではなく、私の姿が見えているという事だった。

 私は、恐怖のあまり、色々な場所に逃げ隠れするようになった。

 その度に、あっちに行った、こっちに行ったと、話し出した。

 私は恐怖で、床に伏せたり、箪笥の後ろに隠れたり、襖を外して私を囲む様に配置したり、大きいラックの影に隠れようとしたり…、色々した。

 私の姿を見つけようと、必死に探し回っている声が、大勢、聞こえてきた。

 60代位の男の人は、叫びまくっていた。

 その内に、色々な年代の男の人の声が聞こえだした。

 その60代位の男の人に従って、私を追い詰めだした。

 更に、私を恐怖に陥れたのは、彼等が、それを楽しんでいる事だった。


 まるで、魔女狩りだ。


 そう、思った。

 もう、パニックだった。

 そういう日々が、1週間位は続いた。

 私は、何処からアクセスしてくるのか、何処から見られているのか分から無い恐怖に取り憑かれていた。

 1日中、部屋をうろうろしていた。

 部屋の電気も付けられなかった。

 外にいる60代位の男の人の仲間に見つかると困るからだった。

 私は、食事を、部屋で摂る様になっていった。

 おかしな世界に家族を巻き込みたくは無かったから。

 夜ご飯は、暗闇の中で食べた。

 食器は、台所の電気も付けないで、こっそり洗った。

 お手洗いも、大変だった。

 お風呂も、大変だった。

 全てが、全てが、見られている状態になっていた。

 1日中、ずっと頭の中を覗かれていた。

 全てが、全てが、筒抜けだった。

 何が起こっているのか、分からなかった。

 私が60代位の男の人にとって嫌な事を考えると、更に、段々と、私を包囲していった。

 でも、抜け出したかった。

 その60代位の男の人は、私の頭の中を、電気信号を使って、何を考えているのか分かると言いだした。

 私は、人間は、脳の中が、電気信号で、情報をやり取りしていると…、シナプスの事?と、思いながら、その考えを理解しようとしていた。

 60代位の男の人は、その頭の中の電気信号を解読して、言葉を理解出来ると言い出した。

 そして、その機械は、この間、ウイーン、ウイーンと言っていたあの機械の様だった。

 あの20代位の男の人は、それを発明したと、60代位の男の人に喜ばれていた様だった。

 なので、私の頭の中を、完全に覗かれていた様だった。

 私は、見えない監視に纏わりつかれた様だった。

 それは、それは、とてつもなく、恐ろしい事だった。

 そして、更に、私の姿まで見える機械も、私を追いつめた。

 家の壁をすり抜けて、私の事が見えると言い出した。

 もう、恐怖だった。

 私は、もう、へとへとだった。

 心も体も、憔悴しきっていた。

 よく分からなかったけれども、身体から電気や電波

の様なものが生みだされている感覚があった。

 疲れれば疲れるほど、身体の中から、電気や電波の様なものが、生みだされている様だった。

 私は、身体が、何故か、電気を纏っていると思った。

 

 大変だ。


 そう、思った。

 私は、彼等が、私に電波を遠くから当てて、私の身体を電気の受容体にしていると思った。


 私は、一生懸命に、振り払おうとした。

 電気は、ゴムで放電されるはずだから…。

 髪を結ぶゴムを持った。

 でも、全然、放電されなかった。

 次は、健康サンダルがゴムでできているから、それを履いてみた。

 これも、駄目だった。

 窓のサッシについているゴムを握った。

 結局、駄目だった。

 60代位の男の人達は、私の行動を、注視していた。

 一つ一つする事に、電気が抜けると騒ぎ出した。

 そして、ウィーン、ウィーンと、機械が音を立てて私の周りからいなくなったり、戻ってきたりした。

 そして、電気が抜けないと分かったら、笑っていた。

 私は、もう、決めた。

 もう、振り払うのは無理だと、思っていたので、決めた。

 自殺しようと思った。

 私は、引き籠もりの時に、運転免許証と、健康保険証と、病院の診察カード以外の紙を使っているものは、全て捨てていた。

 だから、即に、自殺をする行動に移った。

 真夜中に、自殺しようと思った。

 12時過ぎたら、自殺しようと、考えていた。

 それまでの間に、両親に手紙を書き、自殺の準備に取りかかった。

 その間も、やっぱり、私のことを監視していた。

 執拗な執拗な、監視だった。

 12時を回り、いよいよ、実行の時が来た。

 私の頭の中では、相変わらず、色々な人達が、私の居場所を特定するのに、騒ぎまくっていた。

 私は、姿を見られない様に、中身の沢山入ったラックを壁側に置いて、身体をその陰に隠した。

 そして、その頃には、私の居場所を特定する人達以外の人達も出てきていた。

 会話をしていた。

 私の事について、会話をしていた。

 もう、うんざりだった。

 私は、ジャージの腰の紐で、首を一気に絞めた。  

 きつく、きつく、締め上げていった。

 顔の中や頭の中が、締め上げられた圧力で、いっぱいいっぱいになっていた。

 力いっぱい、締め上げた。

  

 嗚呼、これで死ねる。

 

 そう、思った。

 でも、死ねなかった。

 私は、仕方ないので、また、同じ事をした。

 でも、死ねなかった。

 それを、何度も何度も繰り返した。

 私は、へとへとになっていた。

 私の側には、御守があった。

 私をや安らかに死ねるように守ってもらう為だった。

 死ねない焦りから、私は叫んだ。


 おばあちゃん、私を連れてって。


 私は、おばあちゃんに、おばあちゃんのいるあの世へ一緒に連れて行って欲しかった。

 何度も何度もお願いした。

 もう、泣きじゃくっていた。

 大声を出していた。

 そして、何度も何度も、首を絞め上げた。

 ジャージの紐では伸び切ってしまったので、電気式蚊取り線香のコードで、一気に、首を絞め上げた。

 その間、沢山の声が聞こえまくっていた。

 私が自殺している事を通報する人。

 何故死ねないのかとかと冷静に親子で話している女性と女の子。

 私がおばあちゃんにあの世に連れて行ってと言っていた事で、焦って霊的な事が分かる人に意見を聞きに行ったりする60代位の男の人。

 早く死ねとか言う男の子。

 私の好きな食べ物を買ってあげようと言う30代位の男の人。

 素粒子をどうのこうのとかいう人達。

 ILCがどうのこうのとかいう人達。

 あと、毎日、毎日、犬のうんちを私の家に捨てていく人を知っているとか…色々だった。

 私は、その内に、その声の主の会話に声を出す様になっていった。

 すると、暫くしたら、気が付いた。

 そうして、とうとう、私に話し掛けてきた。

 少しずつ、少しずつ、何か迷いながら、私に話し掛けてきた。

 確か、60代位の男の人が挨拶をしてくれた。

 私も挨拶した。

 頭の中で、挨拶した。

 私は、頭に心の声を送った。

 伝わった様だった。

 すると、その60代位の男の人が、とてつもなく、喜んだ。

 それから、色々な事を話した。

 色々な事を知っていた。

 私は、色々な情報を、面白く感じた。

 そして、私にも、色々な事を聞いてきた。

 とても紳士的な大人の話し方だった。

 けれども、その人の周りの空気を緊張させる様な感じのする丁寧な話し方だった。

 私は、目上の方に失礼してはいけないと思い、丁寧語で…、どちらかと言うと、尊敬語に近い話し方をした。

 その60代の男の人は、その言葉遣いを、とても気に入った様だった。

 その男の人は、テンションが高かった。

 沢山、沢山、話し掛けてきた。

 私は、全てに答えていった。

 そうして、私の自殺は、いつの間にかに終ってしまった。

 朝が来てしまったからだ。

 死ねなかった。

 絶望した。

 後には、沢山話し掛けてくる、訳の分からない人達が残った。

 朝になって、鏡を見て、自分の顔に、唖然とした。

 私は顔中が、紫色の細かい点のかさぶたが出来ていた。  

 1週間位、顔が、紫色だった。

 両親に顔を見せない様にしていた。

 下を、見ていた。

 髪も、下ろしていた。

 理由を聞かれるのが、怖かった。

 自殺したから、紫斑の様なものが、顔中に出来たなど、言えなかった。

 その訳の分からない人達と、毎日、毎日、昼夜問わず、朝から晩まで、話した。

 ある日、早朝、話していた。

 …というか、私は極度の睡眠障害を患っていて、その時は5年間寝ていなかった。

 でも、眠れなくても、横になっていれば、少しは疲れが取れていた。

 なので、ずつと起きている状態は、私をとても苦しめた。

 そして、話題は、天気の事になった。

 その日の天気の事を、話した。

 その男の人がテレビで見た天気の内容を、言っていた。

 私は教えてくれた事に礼を言った。

 そうしている内に、段々と、雰囲気的に、お話が区切りがいい所になった。 

 なので、お別れの挨拶をした。

 私は、お手洗いに行きたかった。

 長時間話していた。  

 ずっと、我慢していた。

 なので、とても、焦っていた。

 少し、丁寧に話す事が出来る頭がなくなっている位、とても、焦っていた。

 沢山話して、仲良くなった感じだったので、私は、もう長々と話していたから、ここら辺でお喋りは終わりでいいよねという感じで、軽く、お別れの挨拶をした。

 その男の人も、お別れの挨拶をしてくれた。

 長かった。

 長かった。

 そこからが、長かった。

 そこからが、超頭脳戦の纏わりつく監視のふんわりとしたものに入っていった。

 まだ、本戦ではない。

 ただの、軽い、紹介の様なものだった。

 前線と言えば、良いのかもしれない。

 でも、私にとって、この初めての超頭脳戦は、大変なものだった。

 ちょっと、ブレイク。

 この60代位の男の人の声の主(幻聴)は、後に、私がシガーと名付ける総大将です。

 私は、後に、この総大将に、たぬき、と、名付けました。

 なので、この男の人の事を、これからは、たぬき、と書きます。

 元に戻ります。

 急にだ。

 急に、大声で怒鳴りだした。

 たぬきが急に怒鳴りだした。


 俺を怒らせたらどうなるのか分からせてやる!!!


 私の頭の中が、たぬきの声で塞がれた。 

 私の頭の中は、大音量の電子音のたぬきの声で塞がれていた。

 私の頭の中に、一気にとてつもない怒涛の大音量の電子音のたぬきの声が入ってきて、頭の中全てを塞いだ。

 覚醒した。

 たぬきが覚醒した。

 たぬきが覚醒してしまった。

 私は、とてつもなく、怯えた。

 そして、即に、謝った。

 たぬきは、私に、邪険にされたと思っている様だった。

 たぬきは、私が丁寧に、対応しなかった事に、とても怒っていた。

 そして、また、天気の話に戻った。

 私は、本当に、お手洗いに行きたかった。

 天気の話が、一区切りついた。

 なので、今度は、丁寧に別れの挨拶をした。

 たぬきも、別れの挨拶をしてくれた。


 終った…。


 私は、即に、お手洗いに行こうとした。

 すると、また、大声で怒鳴りだした。

 なので、また、謝った。

 そうすると、また、天気の話をしだした。

 私は、とてつもなく、怖くなった。

 今度は、もっと、丁寧に話した。

 そして、また、天気の話が一区切りついた。

 だから、頑張って、頭をフル回転させて、丁寧に、丁寧に、尊敬語でお別れの挨拶をした。

 たぬきも、お別れの挨拶をしてくれた。

 そして、やっぱり、大声で怒鳴りだした。

 なので、また、謝った。

 そうすると、何事もなかったかの様に、天気の話をしだした。

 なので、丁寧語と尊敬語を沢山使って、話をした。

 そして、また、天気の話が一区切りついた。

 …、お別れの挨拶をした。

 …、お別れの挨拶をしてくれた。

 …、大声で怒鳴りだした。

 …、ひたすら謝った。

 …、天気の話をしだした。

 …、丁寧語と尊敬語を、沢山沢山使って話した。

 …、お別れの挨拶をした。

 …、お別れの挨拶をしてくれた。

 …、大声で怒鳴りだした。

 …、謝った。

 …、天気の話をしだした。

 …、おかしなくらい、尊敬語を使った。

 …、お別れの挨拶をした。

 …、お別れの挨拶をしてくれた。


 …、案の定、たぬきは、また、同じ事を、繰り返した。

 何回繰り返したか、忘れてしまった。

 精神的に疲れていた。

 MAXでお手洗いに行きたかった。

 限界だった。

 区切りのいい所で別れの挨拶をし、即に、お手洗いに行った。

 不思議と、たぬきの声が、しなかった。

 声が、アクセスされていた世界が、ぷつんと、切れた。

 穏やかな世界になった。

 でも、怯えていた。

 お手洗いから、部屋に戻ってきた時だった。

 急に、たぬきが、また、怒鳴りだした。

 そして、また、謝って、天気の話と、お別れの挨拶を永遠に繰り返した。

 いつ、終わったのか、覚えていない。

 泣きたかったけれども、何故か、泣かなかった。

 顔は、泣きそうな顔に歪んでいたかもしれない。

 必死だった。

 必死だった。

 本当に、必死だった。

 たぬきの怒りを止めることに、本当に、必死だった。

 そして、また、たぬきと、沢山、沢山話した。

 私は、丁寧語と尊敬語を使って、話し続けた。

 別に、丁寧語と尊敬語を使って話す事は、苦ではなかった。

 ただ、話疲れてしまった。

 くたくただった。

 自由になりたかった。

 たぬきは、満足した様だった。

 お別れの挨拶をしだした。

 私は、確認しなければならない事に気付いた。

 何故、私の事を、ある事ない事噂するのかと言う事だった。

 必死だった。

 私は、その人に会って、直接話がしたいと言った。

 私は、その噂を流した人の、誤解を解きたかった。

 一刻でも早く、解きたかった。

 そして、この、包囲されている現状から、解き放たれたかった。

 私は、そんな事してない。

 噂が、怖かった。

 たぬきは、誰だか知っている様だった。

 言葉を濁していた。

 誰なのか、教えて欲しいと、何回も何回も頼み続けた。

 でも、教えてれなかった。

 そして、お別れの挨拶をしだした。

 私は、最上級の尊敬語以上の様な、日本語にあるのか分からないくらいの尊敬語を使って、お別れの挨拶をした。

 そして、たぬきは、去っていった。

 去って行く時は、必ず、機械のウイーン、ウイーン

という音がした。

 車に乗って、その場を離れていくという事を表していたみたいだった。


 嗚呼、誰だか分からなかった…。

 行ってしまった…。


 …、筈だった。

 その後、また、その事の、ループが始まった。

 いつしか、終わった。

 くたくただった。

 そして、段々と、たぬきの理由の分から無い要求は、エスカレートしていった。

 そして、それは、たぬきだけではなくなっていった。

 たぬき達になっていった。

 この、たぬき達は、後のシガーとなります。


 そして、ある夜。

 私は動き出した。

 私の頭の中から、その得体のしれないシガーを追い払おうとした。

 シガーは、余裕だった。

 でも、私も負けてられなかった。

 私の頭の中とシガーの機械は繋がっていないのだから、私の頭の中の電気信号は、たぬき達の機械から何らかの電波みたいのをを飛ばして、私の頭の中のシナプスにアクセスして、それをあの機械で解読して、それを元にシガーが、色々と話しかけてくるのだと思った。

 それに、シガーの声は、真空管の中で反響する電波みたいな電子音だった。

 波長の合う電波同士をぶつければ、音は消えると思った。

 頭の中は覗かれるけれども、話し掛けてくる声は、ブロックできると思った。

 だから、私は、私の部屋にある、電波の出る機械を使うことにした。

 …テレビだった。

 それしか思いつかなかった。

 シガーはどんどん話し掛けてきた。

 もう、たまらなかった。 

 なので、私は、テレビを付けた。

 シガーの声と同じ波長のするテレビを探し出した。

 ある、ニュース番組だった。

 男のアナウンサーの声は、シガーの声と波長が合った。

 シガーの声が、聞こえなくなった。  

 30分位あった。

 久々の静寂だった。

 私は、少し、落ち着いた。

 でも…。

 でも…。

 でも、暫くすると、声が聞こえだした。

 シガーが、驚きの声をあげていた。

 そして、それからは、違う展開になっていった。

 私をシガーの仲間にしようと、たぬきが言い出した。

 賛成する人達と、反対する人達とどちらでもいい人達が出てきた。

 また、永遠と、話し掛けてきた。

 私は、その話をする人達の声質に合わせて、テレビのチャンネルを変えた。

 でも、シガーは、それを調整して、また、アクセス出来る様になっていった。

 シガーは光を照射して、私の姿が見えると言い出した。

 そして、良く分からなかったけれども、素粒子とか放射能とか言い出した。

 光を照射して、部屋の壁をすり抜け、私の姿やその周辺が分かると言い出した。

 光の波長を合わせるとか言い出した。

 なので、私は、光を屈折すれば、波長が合わなくなり、私の姿が見えなくなるのではないかと、思った。

 私の部屋にあった、昔、水晶の採掘場で買った、お土産の細い水晶を、私の身体に置いてみた。

 始め、シガーは、戸惑っていた。

 それで本当にブロック出来るのかと、観察している声が聞こえた。

 そうして、効果が無いと分かるやいなや、失笑に変わっていった。

 大っぴらに笑われなかったけれども、私は、笑われた。

 確かに、今の私が振り返ると、笑ってしまうかもしれない。

 でも、あの時は、本当に、その間しか思いつかなかった。

 私は、よく、天然と言われていたけれども、私は理解出来ていなかった。

 でも、今の私が振り返ると、これは、自分が天然だったのだと、認めなければならないと、思い出した。

 

 恥ずかしい。

 恥ずかしい。

 本当に、恥ずかしい。

 嗚呼、書くの、やめようかなぁ…(泣)

 …、頑張ってみよう…(笑)


 私は、ネガティブでナイーブで神経質だけれども、かなり大雑把で呑気です。

 書いてみると、よく、自分が分かりません。

 私は、結構、困ったちゃんの様です。

 元に戻ります。

 大勢の失笑の元、私は、色々と考え出した。 

 そうして、やっと、病院へ行こうと思いだした。

 次の朝、私は母に病院へ行くと告げた。

 土曜日だった。

 急患になるという事だった。

 確か、入院するとかしないとか、言ったのか覚えていません。

 母は、驚いて父に連絡した。

 慌てて父が出先から帰ってきた。

 そして、病院へ連れて行ってくれた。

 病院へ向かう車の中で、シガーが纏わりついてきた。

 もう、沢山だった。

 私は、後部座席で横になりながら、シガーと会話し続けた。

 シガーは、その時には、警察官と公安と病院の関係者を名乗っていた。

 

 警察です!!!何処へ行くのか、教えて下さい!!!


 公安です!!!どうしたのですか?


 病院に入ったら、急患通路に車を回して下さい!!! 

 そこから入って下さい!!!


 …。

 書いてみると、ただの質問です。

 何も、怖がる事がないじゃないか。

 普通に、お巡りさん達に、病院へ行くって言えばいいだけじゃないか。

 病院の関係者に、有難うって、言えばいいだけの話じゃないか。

 …。

 そう、思われるかと思います。

 でも、相手は、シガーです。

 ここから、ループが始まりました。

 ループが始まっちゃった。

 ループが複雑に絡まり出しちゃった。

 3人以上から質問がくる様になっていった。

 丁寧に丁寧に質問に答えていった。

 

 嗚呼、どうしよう…。


 病院に到着した。

 受付には話が通っていたかどうだったのか、もう、覚えていません。

 ごめんなさい。

 私は…。


          つづく

 

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こんにちは。 今回の作品は切迫感が感じられました。幻聴や幻視に追い詰められる状況が伝わって来ました。 私は統合失調症ではないのでこの幻聴や幻視の感覚が分かりませんが、統合失調症の患者さんにはこの症状…
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