みんなで魔力測定
「それじゃ今日の授業は魔法が使える人と使えない人と分かれてもらう。と言っても大した事じゃないけどね」
そう担任は言って今日は共同授業となった。
他のクラスの人達と一緒に魔法の授業、というのはありえない。
何せ魔法は才能頼み、適性などもあるため勉強すれば誰でも使えるものではない。
だから魔法の勉強は塾の様に適性があった相手に教えてもらうのが最も効率が良く、全体で鍛えても意味がない。
では一体何のために魔法が使える者とそうでない者と分かれたのだろうか?
「それでは今日は全員に魔力量を測定させてもらうよ」
あ~なるほど。魔力量の測定だけなら一気にやった方が効率がいいか。
一般的には魔力量を計る道具はないがこういった場所ではあったりする。
そしておそらく俺の魔力量を知りたい誰かがいるのではないだろうか。
また陛下がちょっかい出してきたのかな?
魔力100込めて止めればそれでいいだろ。
「この魔力測定器は最新型で、本人の潜在魔力を測定してくれる優れものなんだ。触れるだけでいいから呼ばれたら水晶の前に来てね」
あ~……これもしかして誤魔化し効かないタイプ?
下手すれば母親が作ってるのも考慮すべきか?
母は魔法の研究と同時に魔法使いにとって便利な魔道具を作っている。
元々は魔法が使えない人でも魔法を使って戦う事が出来るようにするための兵器的考えだったが、魔法使いだって魔道具を使って良いじゃないかと作っている。
まさかこんな形で母親の発明品と思われる物に邪魔されるとは思ってもみなかった。
次々と測定されていく中で魔力の低い者だと20前後、多くても40前後と言う感じで俺から見ると滅茶苦茶少ない。
もしかして今まで精霊の類を召喚出来なかったのは魔力量の少なさも原因だったのではないだろうか?
シルフィードは風の魔力も感じて召喚に応じたような感じだったが、レムルシャールは魔力その物を求めていた感じだし、そもそも魔力が少なすぎて召喚する最低ラインも確保できていない。
こんな状態じゃ召喚する以前の問題だ。
精霊が見向きもしないのも納得だ。
だが母親に魔力の増やし方を教えてもらったのだから魔力を増やすという行為そのものは知られているはず。
何故誰も魔力を増やそうとしないんだ??
目立ちたくないから努力しようとしなかった?
それとも魔力を増やす必要が無かった??
一体なぜだろう……
「次、ヘルダイム・フォン・ディクト・ゼレン様」
あ、殿下の番だ。
一体どんな数値だろうと思っていると、まさかの102という数字が出てきた。
潜在魔力102って結構使え…………ないのかまさか。
潜在魔力と言うのは簡単に言えば使ってはいけない魔力を含めての魔力量。俺を基準に魔石1個分、魔力10を残しておかないと考えると全員使えるのは潜在魔力から最低10引いた数値となる。
え、それが魔力が低い人は魔力10しか使えないし、多くても30しか使っちゃダメって事?
次に出てきた殿下の従者2人は大体60前後、大体50しか魔力を使えない。
召喚士がボロクソ言われてた理由の1つが魔力量を少ないままにしてた可能性が浮上して来たな……
ぶっちゃけ生活魔法しか使えない俺にとって攻撃魔法1発分がどれだけの魔力を消費するのか分からない。
それこそゲームのようにMP消費数が書かれている訳じゃないし、おそらく感覚だろう。
これ魔法の消費量を数値化させる方が良いんじゃないか?それこそゲームのように初級魔法はMP○○消費みたいな。
「次、アレックス・ヘキサグラム」
あ、呼ばれちった。
色々考えてたせいで誤魔化し方考えてなかった。
壇上に上がりながらどうするか考えているとブレイドが不安そうにこちらを見ている。
…………もしかしてあれでごまかせるか?
そう思い俺はすぐに魔石を動かした。
「それじゃその水晶に手を置いて」
恐る恐る水晶を手に置いてみると、出てきた数字は100。よっしゃ予想通り!!
俺が行った誤魔化しはリザーブの魔石をブレイドに置く事。
リザーブの魔石0だと魔力0になって矛盾が生じてしまうため、殿下を基準に10個魔石を残しておいた。
魔石6個分で多いと言われるのだから10個残しておけば周りから見れば十分多いだろう。
それにしても咄嗟だったから焦ったー。
というのもリザーブの魔石だけでなく、ブレイドやシルフィード達に乗せている魔石もすべてまとめて測定されるようであればこの誤魔化しは効かない。
フィールドの魔石を含めて28個分、280と数値が出てしまう可能性があった。
リザーブの魔石を0にした場合フィールドの魔石をカウントされてしまうのではないかと思ってリザーブに残したというのもある。
良かった~誤魔化せて。
そして魔力100と言う数字は殿下よりは低い。
これでまた悪目立ちする事はないだろう。
「ずいぶん魔力があるね。それが召喚の鍵かな?」
「え、ええまぁそんな感じです」
担任に聞かれたのでそう答えておく。
カードの事は俺の方からは決して口に出すつもりはない。
下手すれば俺のカードを無理矢理奪って召喚しようとする連中も出てくるかもしれないし、そうしたらマジで殺す。
スピリット達がこの世界にとって非常に強力な存在である事は十分分かっているから。
もしみんなで召喚して他国を侵略しましょうなんて案が出たら困る。
とにかく一斉魔力測定はこうして終わった。
授業と言うよりは健康診断に並んでいたような感覚。
今日はこれで終わりだと思って帰ろうと思っていると、また殿下が声をかけてきた。
「アレックス。1つ聞く」
「……何でしょう殿下」
「召喚において最も大切なのは大量の魔力と言うのは本当か」
何で召喚の事を聞いてくるんだ?
「え、ええそうですね。その認識で間違いありません」
嘘ではないが全部も言わない。
あくまでも大量の魔力を必要とするのは召喚コストのためだし、その後の持続するための魔力に関しては知らない。
うちの母親ですら苦戦していたし、そう簡単にはいかないだろう。
まぁ契約するだけっという意味では十分かもしれないが。
「そうか」
それだけ言って殿下は従者を引き連れて帰っていった。
ありゃ自力で召喚する気だな。
俺にできたんだから殿下にもできるという自信なのかもしれないが、そんな簡単にできるのであればそこら辺精霊まみれだし、召喚士が魔法使いとしてハズレ扱いもされていないだろう。
真似して強くなろうとしているのか、王族のプライドなのかは分からないが口出す事でもないな。
でも将来リリアが殿下のとこに嫁ぐと思うと……やっぱ不安だな~。




