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目立ち過ぎたみたい

「……混乱は収まったか」

「は。ようやく収まりました」

「……そうか……」

「陛下、恐れながら進言いたします。あの小僧、アレックス・ヘキサグラムは危険すぎるのではないでしょうか。あのようなドラゴンを召喚し、使役するなど前代未聞です。しかも白昼堂々その姿を見せるなど、非常式にもほどがあります!!」

「待て騎士団長。しかし被害は混乱のみであれは一応本当に魔道具を運んできただけなのは言質が取れている。それに非常識なのはその通りだが、その後ろに居るのはエムリアール侯爵だぞ」

「それが何だ!!魔術師団長はあれを陛下に向けられてみろ!!国家反逆罪と捉えてもおかしくはないぞ!!」

「しかし魔道具を運んでいただけというのも事実。すぐにあのドラゴンも送還され、混乱は続いたが何か壊した訳でもない。あれを法で裁くには――」

「そんな事を言っている暇があるか!!あのようなドラゴンを次々出されもしたらこの国は――」

「そこまでだ、騎士団長、魔術師団長。もう混乱は収まったのだな」

「民達は落ち着きましたが貴族達はこれから先どうなるか分かりませんが……」

「よい。それはこちらの領分だ。お前達は休むといい」

「しかし陛下!このまま何もしない訳にも――」

「アレックス・ヘキサグラムには二度と王都を混乱させるような事はするなと通告しておく。またした時にでも罰せばよい。今日はお前達も疲れたろ、明日のために休め」

「ありがたきお言葉、頂戴いたしました」

「……何かあればすぐお呼びください。私は陛下の剣ですので」


「………………行ったか」

「陛下。本当にアレックス・ヘキサグラムには注意勧告のみでよいのですか?騎士団長ほど過激な事を言うつもりはありませんが、それでも注意勧告だけで落ち着くでしょうか?」

「…………落ち着きはしまい。あれは玩具で遊ぶ子供だ。神からの贈り物を使って何が悪いっというだろうな」

「神からの贈り物を持ち歩くのは構わないでしょう。しかし常に抜身の刃を町中にさらしていい訳でもありません。せめて厳重注意の方が良いのではありませんか?」

「………………ふふふ、くくく」

「陛下?どうなさいました?」

「ふははははは!!これほどまでに余が無力だとは思わなかった!!」

「へ、陛下?」

「あのアレックス・ヘキサグラムは私の読みを正確に読み取ったうえであの行動をしたと考えるべきだろう。息子にけしかけさせた際に余がアレックス・ヘキサグラムの力を読み取ろうとしていた事は分かっていたようだ。その結果あの大混乱!あの巨大すぎるドラゴン!!余の目は節穴であった!!」

「陛下、どれだけの大きな力を持っているか分からない者の力を計るのは当然です。決して節穴などではございません。誰もがあの危険な力がどれほどの物か、気になっていた者は非常に多いでしょう」

「ふふふ、召喚士をか?魔法使いの底辺と言われた召喚士を?余以外誰も考えていなかったであろう。あの小僧がシルフィードに手紙を渡させるなどと言う奇行をしなければな」

「それは……」

「そして最も恐ろしいのはそれだけの力を有していながら自ら配下に下っている事。文字通りドラゴンを飼っているような気分だ。首輪をつけたつもりでありながら、些細な事で飼い主を気取った愚か者に炎を吐き、勝手に野生に戻っていく。そんな光景しか目に浮かばん」

「陛下……」

「故に細心の注意を向けろ。気まぐれで暴れられてはならん。学園の教師達に通達し、アレックス・ヘキサグラムの監視を強めよ。決して勝手にどこかに飛び立つような真似はさせるな。言明させよ」

「は!」


 ――


 次の日、俺は完全に学校から孤立してしまった。

 授業などには出ているがクラスメイト全員俺に挨拶をするだけで関わろうとは全くしない。

 以前まで感じていた殿下への態度など、細かい事を言ってくる連中もみんな逃げている。


 相変わらず話しかけてくるのはエムリアール嬢と担任の先生だけ。

 それ以外だと先生ですら俺の事を怯えた視線を向ける。

 俺自身は大して強くもないんだけどな。


 そしてあの決闘で下に見られがちになってしまった体格のいい側近君は最近勇者っぽい立ち位置にいる。

 あ、ファンタジーやゲームであよくある勇者じゃなくて、普通に勇気のある奴と言う意味で勇者と言われるようになった。

 今更だがあの決闘で本当に全力を出していたら王都を大混乱に陥らせたドラゴンを召喚していたのではないか、なんて噂が勝手に広まり勇者君となった。


 だがそんな状況を喜ぶ者もやっぱりいて……


「アレックス君。君もこちら側にならないかな」


 なんか偉そうにしている奴らがいる。

 帰ろうと思っていた時に学園の生徒達に人気のない場所に連れていかれた。

 校舎裏とか体育館裏に連れていかれる感じだ。


「えっとあなたは……」

「私は貴族派の者だ。あのような力を王家にひけらかすとは、王家に何かしらの不満があるのだろう。どうだ、我々と手を組まないか」

「お断りします」


 はっきりと言うとそれらは黙った。


「……何故と聞いても?」

「確かに王家に不満はありましたが先日解消されました。それこそみなさんが知っているドラゴンの件です。陛下は私の召喚士としての力に興味があったらしく、力を見せろと圧をかけてきたので見せつけただけです。なので不満は解消されましたのでお引き取りください」

「しかしあれだけの力を持っているだけというのも勿体ない。どうだね?その力を我々とも共有を――」

「出来る訳がないでしょう。そもそもあなたは魔法使いなのですか?召喚は魔法の一種、魔力のない者に教えたところで無駄です。改めて聞きますがあなたは魔法使いですか」

「私達は魔法使いです」


 そう聞くと数人が前に出た。


「彼は魔法使いではありませんが我々は魔法使いです。召喚士ではありませんが魔法使いである事が条件なら満たしていると思いますが」

「ではお聞きしますが、あなた方の魔力はどれくらいでしょう?」


 そう言って聞こえてくる30~40の数字。

 普通にダメだな。

 あと適当な数字を吹っ掛けておこう。


「少なすぎます。最低でも100を超えないと無駄です」

「………………は?そ、そんな魔力量持っている訳が――」

「ならお話はそれまでです。先日見たドラゴンをその程度の魔力で召喚できる本当にお思いで?あなた方の場合召喚するだけで死んでしまうのではありませんか?もし本当に召喚する気があるのなら――最低でもそれくらいの魔力が無ければお話になりません。では失礼します」


 そう言って穏便に済ませようとしているのに魔法の詠唱の様な物が聞こえた。

 ブレイド、顔に炎浴びせてやれ。

 そう心で指示するとブレイドは即座に相手の顔に炎を浴びせて詠唱を強制的に中断させる。

 これが魔法使いの弱点だ。

 魔法と言ういつでも使える武器を持っているが、詠唱しなければ使えない。

 魔導書を持っている可能性もあるが、そんな高価な物を学校に持ち込んだりするだろうか?


「次は死を確保するように。あなた方の家族と共に」


 完全に悪役だな~っと思いつつそう脅しておいた。

 少しは効果があったようなのでそのまま冷たい視線を浴びせてから堂々と屋敷に帰る。


「ただいま~」

「お帰りなさいアレックス。材料届いたみたいよ」

「お、ありがとさん。これで故障してもある程度は直せるな」


 パンサーに頼んでいた修理用のパーツが届いたようだ。

 まだ何か壊れた訳ではないが、壊れてから用意しては遅すぎる。

 なので輸送後でいいのでコピー機のパーツを送るよう頼んでおいた。


「それからこっちは一応出ている複写機の感想。まだこれと言った不満は出てないみたい」

「それは何より。インクの補充とか大丈夫か?」

「従業員たちが教えているからもう自分達でインクの補充は出来てるみたい。でもやっぱりインクを補充するときに手が汚れるのが気になるみたいね」

「そっちも要改良か。本当にそこだけ?」

「今の所は今は模写し続ける作業が減っただけでも天国にいるみたい」

「単純作業ほど機械化させたい物はないからな。あとちゃんと複写できてる?紙質の違いとかで滲んだり変な動作起きてたりしない?」

「起きてないわよ。少し仕事の事から離れたら?」

「でも稼働したばっかりだし、ドラゴンの背に乗せて持ってきたからやっぱりちょっと壊れてたりしないか不安なんだよ。持って行って早々に壊れました~じゃ格好がつかない」

「そういう考え方、本当にアレックスだけの考え方よね。でも大丈夫。みんなを信じて」


 そう言って抱きしめてくれる。

 何と言うか、こういう行為が落ち着くようになったな……

 最初は気恥ずかしさの方が強かったのに。


「うん分かった。ありがとうな」


 そう言って抱きしめ返すとノアも少し嬉しそうだ。

 そんな俺達の様子をなぜか物陰から見ているリリアとメイド、そして執事達。


「……何してんの?」

「お兄様、お姉さまとイチャイチャしてる」

「夫婦なんだから別に良いだろ。仲悪いよかよっぽどマシだ」

「お姉さまばっかり構わないで私とも遊んでよ。カードしよう」

「はいはい。ノアもやるか?」

「ええ。みんなでゆっくりするのも必要だから」


 こうして俺達は普通に遊ぶ。

 やっぱり平和が一番だな~。

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