なんか決闘挑まれた
貴族の入学式と言っても内容はほぼ変わらない。
校長が挨拶して、殿下が新入生代表のあいさつをして、陛下が頑張れよ~っと言う。
欠伸をかみ殺して耐え抜きクラスに戻って担任とあいさつ。
そして教科書をもらって帰る。
「貴様。少し待ってもらおうか」
帰ろうとすると何故か殿下の側近、体格がいい方に止められた。
「どうしましたか?」
「殿下がクラスの者達にお言葉だ」
もう王様気分なのか?
言われるがままに殿下に視線を向けるとちょうど話し始めた。
「みなと友好を深めるために会を開きたい。社交界の様な固いものではなく、ただお互いの事を知る祝会と思ってくれていい。ぜひ来てほしい」
っとの事。
でも俺この後ノア達と約束があるから行けないんだよね。
「申し訳ありませんがノア達と約束があるので失礼いたします」
そう断ってから教室を出た。
多分この後はぶられるんだろうな~
殿下の誘いを断ったんだから多分そうなる。
あるいは妹が殿下の側室だから大丈夫だと思われるかもしれない。
貴族が横のつながりを大切にしているのは分かるが、それよりも家族の方が大事だ。
家族を守るために付き合うって言うのも分からなくはないが……本末転倒な気がする。
それにあのクラスにはどれだけ長くいても馴染む気がしない。
だからと言って関係を断つ事は出来ないんだけど。
「お兄様お帰り!」
学園を出るとリリアが出迎えてくれた。
ノアはわざと一歩遅れた感じで出迎えてくれる。
「アレックス様お帰りなさい。何事もありませんでした?」
「あ~、多分入学そうそうやらかした。すまん」
「分かりました。では屋敷に戻ってその理由と原因についてお話ししていただきます」
ため息混じりに言われてしまった。
なのですぐに屋敷帰って飯を食いながら事情を説明。
すると予想通り何やってんだよっという表情を全員がした。
「あなた……それ明日から仲間に入れさせてもらえないわよ。しかもよりにもよって殿下の……」
「かもな。まぁ同じ辺境伯とかいなかったし、直接の上司はいなかった。王家と揉め事を起こすつもりはないがやっぱり印象は悪いか」
「当然じゃない。相手は最上位の地位にいる存在からの命令を断ったんだから。殿下は何とも思ってなかったとしても周りはどうだか分からないわよ」
「その場合相手はどう出るかね?特にあのガタイがいいの血の気も多そうだ」
殿下の従者を思い出しながら言う。
食ってかかってきそうなのはあいつだろうな。
「……決闘を申し込まれるかもしれないわね」
「決闘?決闘でマジで殺してもいいよね?って奴だったよな。そこまでするか?」
「あくまでも最悪の事を想定して言うとこれも予想しておいた方が良いかもしれない。本当に、最悪の状況だけど」
まぁ殺しOKの喧嘩なんてやりたくないわな。
「でもそれ相手も相当のリスクを払うはずだよな?」
「そうは考えていないでしょうね。向こうから見ればたかが召喚士、接近戦であっさり勝てるとでも思っているんじゃない」
「あ~、それはあるかも」
召喚する前に倒せばいいと言われればそれまでだ。
だが俺は既にブレイドがいるし、呼ぼうと思えばシルフィードもレムルシャールも呼べる。まぁそこまで必要な相手には全く見えないが。
「お兄様……」
リリアが不安そうに見るが死ぬつもりどころか負けるつもりもない。
「ノア。確認したいんだけどいいか?」
「何を確認するつもり?」
「相手の地位が高くても勝っていいんだよな」
俺がそう言うと呆れながらもなんとかできそうだという雰囲気がノアから感じた。
――
「アレックス・ヘキサグラム。貴様に決闘を申し込む」
クラスに入っていの一番にそんなこと言われた。
言ってきたのは予想通り殿下の従者のガタイの良い奴。
俺は呆れながらまさか本当に予想通りになるとは……っと思いながらも聞く。
「一応お聞きしますが、何故決闘を?」
「当然。昨日殿下の誘いに乗らなかったからだ。貴様に拒否権などないのに勝手に帰った。これを罪と言わずに何という」
「この程度で罪と言うのは大袈裟ではありませんか?」
「大袈裟などではない。殿下に逆らったのだから不敬罪として罰せられてもおかしくない」
マジでこういう言い訳が通る国だから面倒なんだよな……
「なるほど、不敬罪ですか。それにしては騎士団の方々がお見えになってないようですが」
「何?」
「罪を犯したというのであれば騎士団の方々が私を捕らえに来るものではないでしょうか?その際罪状など事細かに言われると思うのですが……見当たりませんね」
とりあえず最初は回避だ。
現状を見て不自然な点をついて俺は本当に罪を犯したのかどうか確認しなければならない。
それでも決闘をしたいというのであれば……
「まだ騎士団の方々には来ないよう言ってある。もし私と決闘に勝ったら今回の事は不問にしても良いと殿下は仰っている」
「殿下と戦う訳ではないのですね」
「当然だ。貴様ごとき殿下が直接罰する必要もない」
あまりにもスムーズで話しやすい。
こりゃ決闘するのが目的か?
本当に不敬罪で罰するというのであれば王族の権限で昨日の内に捕まえる事なんてできたはずだ。それなのにしていないのはこの状況を作り出す事そのものが目的。
な~んて考えてみる。
普通は召喚士の実力を計るなんてありえないんだが……どうしても決闘したいのであればちょっと力で脅してやろう。
「分かりました。ところで決闘に勝ったら本当に不問とさせてくださるのですよね?」
「当然だ。誓約書が必要か」
「ぜひ」
っという事で誓約書を読んでからサインする。
この時点で不敬罪を犯しましたと認めるような形になってしまうのだが、どうせ勝つので目をつむってやろう。
何故だかこいつに負ける感じが全くしない。
ブレイドがいる事の他にデッキをしっかりと組んである自信だろうか?
ブレイドもやる気満々でいつでも戦えると後ろ脚で砂を蹴り上げる動作をする。
「それでは決闘場に行くぞ」
貴族の学校と言うだけあって無駄に広い。
貴族として情報収集と交友関係を広げるためだけの施設のはずなのに無駄に広い。
何で決闘場なんてあんの??
「この国実は結構平和なのかな?」
ブレイドに聞いてみるが首をかしげるだけ。
何と言うかコロッセオみたいな感じで丸い闘技場であり、すでにうちのクラスの連中が観客席に座っている。
完全に見世物としか見てないなと思っていると担任が現れた。
「仕方ないから見届け人と指定させてもらうよ」
「仕方ないって言っちゃった」
「それでえ~っと、君は決闘のルールをしているかな?」
「殺してでも勝て」
「そこまで野蛮じゃないから。むしろ生徒同士なんだから殺さないで欲しい」
「喧嘩売られたの俺なんですけど……」
「正確に言うと愚かな国が、だけどね」
そう言って殿下の方を見たので本当に殿下が何か仕掛けたんだろう。
面倒くさいなと思っていると担任がルールとやらを説明してくれる。
「使っていいのは贈り物のみ。あとできれば殺さないで。以上」
「この子は俺が召喚した子なので使っていいですよね」
「いいよ。でも強いの?」
「普通の人間相手には」
「なるほど。彼も準備が出来たようだ」
担任が見る方を見ると全身鎧の姿があった。
「待たせたな」
「あ~……誰?」
「この状況で分からない訳がないだろう」
「とりあえずこいつに勝てば無罪放免って事で良いんですよね」
「そうだね。出来るだけ早く終わらせてよ。一応授業があるから」
そう言って担任は離れると「始め~」っと気の抜けた声で開始の合図を行った。




