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15歳になりました。そして貴族の学校に通う事になりました。

 それからは比較的平和だったと言える。

 特にこれと言った問題はなく、魔石の数を増やしながら日常を過ごしていく。

 そして来年で15歳なるというタイミングで父親から言われた。


「アレックス。そろそろ貴族学園に入学する準備を始めなければならない。住む場所は王都の屋敷だ」

「ああ、もうそんな時期ですか」


 貴族学園とは15歳から18歳までの3年間を同年代の貴族同士で過ごすためだけの施設だ。

 一応勉強もするが普通の勉強ではなく主に貴族同士の付き合いを強化するための意味合いが大きく、ほとんど勉強らしい勉強はしない。

 上下関係を見直したり、派閥を組んだり、将来仕事で協力するであろう同年代の貴族達とより親密になろうくらいな感じ。

 ネットどころか通信網も不確定なこの文明ではそういう繋がりはどうしても必要不可欠だ。

 だから学園で横のつながりやお偉いさんになる予定の子と今のうちに仲良くなっとけって感じでもある。

 その学園は王都にあるのでどうしても王都から通う事になる。


「となると一人暮らしですか?」

「そんな訳なかろう。従者はつけるし料理人も用意する。お前は人気だからな、下手をすればこの屋敷から人が消える」

「大袈裟ですね」

「……天然たらしめ」


 天然たらしの要素どこにあるんだよ。

 精々屋敷のみんなや騎士達に挨拶する程度だぞ。

 あとたまに一緒に森に狩りに行く程度だ。


「それにお前1人ではない。ノアとリリアも王都に行くからな」

「え?何でです?」


 貴族学園は必ず15歳になる貴族だけが通う学校。リリアとノアは来年のはずだ。


「リリアには陛下から側室にふさわしい立ち振る舞いが出来るようになったかどうか直接見たいという。それに殿下もリリアに会いたいと手紙にあったしな。ノアはお前の監視だ」

「監視って。何も悪い事してないでしょ」

「何も、だと。森の魔物が異常発生しそうになった時にお前のスピリット達が蹂躙じゅうりんしたあの事件を何もないとは言わせないぞ!!」


 あ~それね。

 貴族や冒険者が大慌てになったあの事件ね。


「ですがお父様。そのおかげで人的被害はなかったのですから良かったではないですか」

「確かにそれは良かったことだが、それでもスピリット達のあの戦闘能力は何だ?肝が冷えたぞ」

「ですが魔物の大量発生を事前に潰せたことは非常によい事ではないかと」

「ああその通りだが!あの力を王都では決して使うな!王家にバレれば侵略戦争を引き起こしかねん!それだけは絶対に守れ。良いな」

「承知していますよ、お父様」


 俺だってそこまで力をさらけ出すつもりはない。

 戦争なんて面倒臭そうな事やってたまるか。

 だがリリアとノアが付いてくるのはマジで意外。てっきり領地に残るものだとばかり思ってた。

 殿下君は本当にリリアの事しか興味ないのかね~?他にも可愛い女の子とか、結婚したい放題だろうに。


「でも本当に意外。殿下がここまでリリアに拘るなんて」

「私も意外です。いったい何がそんなに拘るのでしょう?」


 晩飯後ノアとリリアも俺の部屋でカードをしながらそんな事を口に出した。

 ノアはかなり身長も伸び、モデル体型になった。下品なほど胸が大きくなった訳ではないがまったくない訳でもない。

 綺麗な姿勢と堂々とした態度からか女性にモテる女性のような感じ。


 そしてリリアは男受けのいい感じの女性に成長してしまった。

 身長はノアよりも低いが胸はデカい。童顔なせいでより幼さが強調されているのに首から下は女性らしく成長したせいかちょっとアンバランス。

 そして若い騎士の男性と下世話な話をすると、リリアは保護欲が出てくるというか、守ってあげたくなる感じらしい。


 見た目に関しては2人もと正反対と言う感じだが、中身はよく似た。いや、リリアがノアに似てきたと言った方が正しいかもしれない。

 リリアはノアの事をお姉さまと言っているように憧れとして見ているし、積極的に良い所は吸収しようとしてきた結果と言える。

 そして周りから可愛いと言われるのであればそれを利用しようとする狡猾さも身に付いた。

 簡単に誰かに騙されるような娘でなくなった事に関しては安心材料だが、下手をすると傾国の姫になりそうなポテンシャルを持っていそうで怖い。

 これは学校に行くようになったらちょっと気を付けておかないといけないかもしれない。


 リリアは殿下の婚約者の1人なので浮気をしているような噂が出たら王族への反逆行為に等しい。

 大袈裟かもしれないがマジでそれくらいのポテンシャルはある。

 だからそんな誤解が生まれないようにしなければならない。

 それはリリア自身も分かっているから不用意に見知らぬ男性と一緒に居る事はないだろうが、それでも不安だな。


「しかも王都の生活になれるために半年前には引っ越しって気が早いというかなんというか、1か月前とかじゃダメかね?」

「おそらく冬の事も気にしているんでしょう。冬のせいで悪路になり、間に合いませんでした~動けませんでした~ってなったら笑いものよ」

「それにお兄様。少しでも早く行って王族のご機嫌取りもしておかないとダメですよ。特に私は夢のために色々根回ししないといけないんですから」

「あ、ああ。本当にたくましくなったな」

「ええ本当に。それにしても私も驚いたわ。この国の識字率が想像以上に低くて」


 そう。王族に頼んで行った識字率の調査をした時、貴族内でも識字率は60%と思っていた以上に低かったのだ。

 特に伯爵よりも下の階級の者達は執事や帳簿を付ける人達が読めればそれでいいだろう、という感じでろくに読み書きができない事が発覚した。

 てっきり貴族は全員文字が読めるとばかり思いこんでいたのでこれは驚愕。

 これじゃ帳簿とか悪い奴が関わったら好き勝手されてしまうと思わないのだろうか?


 更に悪循環と言うか、そういう貴族達は大抵貴族である事を持ち出して色々問題を起こす。

 分かりやすいのが弾圧だ。

 頭が悪い事を分かっているからか、逆らおうと思わせないようにするため威圧的な態度をとったり、何かと貴族である事を強調する。

 そうやって我々は偉いんだぞとアピールする事で身を守っているのだ。


 何とも言えない悪循環。

 頭が悪いなら悪いなりに文字の読み書きくらいは出来るようになって欲しいものだ。

 だがそんな単純な手段が同じ読み書きができない平民には分かりやすく支配者だと刷り込ませる事が出来る手段なので領地経営は成功してしまっている。


「はぁ~あ。まさか同じ貴族でも文字が読める人と読めない人が居るなんて思わなかった」

「それに関しては俺も同じ。もうこれ貴族をやるのに文字の読み書きを必須条件にした方が良いんじゃないか?」

「それ難しいわ。そうしたら残りの4割の貴族を強制的にクビにする事になるし、そうなったら国の運営どころじゃ済まない。ここはリリアの様に識字率を上げていくしかないわね」

「結局地道な努力か。堅実に歩くのが面倒だから悪い事をして楽に稼ごうと思っちまうのかね~……」


 何て言いながらデッキをいじる。

 これから学校に通うため、またデッキの内容を確認していた。

 どんな学生活になるのかは分からないが、前世のようにただなんとなく日々が過ぎていくという事はないだろう。

 それが良い事なのか悪い事なのかは分からないが、ろくでもない事になっては欲しくない。


「あ、そうだ。リリア、王都に着いたらシルフィード貸そうか?お前ら仲いいし」

「ありがとうございますお兄様。シルフィードが居れば殿下も簡単に手を出すとは思いませんし」

「しかしマスター。よろしいのですか?その場合マスターの護衛が居なくなってしまう事になってしまいますが」


 名前を呼ばれたからか、あるいは最初からそこに居たのか、シルフィードが聞いてくる。


「問題ない。それなら昔のように頼めばいいだけだ」


 そう言いながら俺はあいつを召喚する。


「召喚。ブレイドドラゴン」


 ブレイドは久しぶりに召喚されると、体を振るわせた後に久しぶり!とでもいうように鳴いた。


「久しぶり。また俺の護衛をしてくれ。今度から学校に行くからついてきてくれ」

「キュ!」

「うわー!ブレイド久しぶり!!」


 何て話しているとリリアがたまらずブレイドを抱きしめた。

 ただ昔よりも女性らしくなったリリア。ブレイドが胸に埋もれて苦しそうにじたばたする。


「……やっぱり私もあれくらい胸が大きい方が良かったかしら」

「ノアは気にするな。俺は気にしてない」


 ノアがリリアの胸を見ながら言うのでそう言っておいた。

 それにノアも胸が全くない訳ではない。リリアの胸がデカすぎるだけだ。


「それでも……むぅ」


 女の胸はデカさは男の身長みたいなものだろうか?

 小さいよりは大きい方が良い、低いよりも高い方が良いみたいな。

 でもこの話題は地雷原たっぷりなので深くは言わない。

 後が怖いからな。

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