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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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69/311

69:どうする、どうする、どうする……!?

スノーには、見張りの役割を、果たしてもらうことになっている。


少し早足で、アルベルトの部屋へと向かう。

部屋の前に、ミゲルと二人の騎士がいる。

少し離れた場所で、三人の様子を伺う。

ミゲルはまだ眠そうにしていないが、眠りの香の効果は一気にくる。


懐中時計で、時間を確認する。

眠りの香を焚いてから、ピッタリ1時間まで、あと3分だ。

スノーに声をかけ、ミゲルたちの元へと向かう。


当然、ミゲルは驚くが、私は「一度部屋に戻ったのですが……。警備中も危険であることに、変わりはありません。皆さまのことが心配で、魔除けのお守りを届けに来ました」と伝える。


「それはわざわざ、ありがとうございます」


ミゲルが微笑み、その左右にいた騎士も、感動で目を潤ませている。魔除けの効果はあるが、実際は、即効性のある眠りの香の欠片が入ったお守りだ。だから少し申し訳ない気持ちになる。「ごめんなさい」と心の中で思いながら、二人の騎士にお守りを渡し、「魔除けの効果もありますが、いい香りもするのですよ」といい、眠りを促す香りをかがせる。すると……。


それは同時に起きた。

ミゲルの脚から力が抜け、倒れそうになるのを全身で抱きとめる。


二人の騎士は、スノーが両手で背中を扉にもたせかけ、ずるずるとすべるように崩れさせた。ミゲルが腰につけていた鍵束から、アルベルトの部屋の鍵を見つけ出す。素早くドアを開け、三人を引きずって部屋の中に入れ、そのまま横にする。


呼吸を整え、寝室へと向かう。

スノーに目で、合図をする。

ゆっくり、寝室のドアを開け、中へと身を滑り込ませた。

スノーが静かに、扉を閉める。

いよいよだ。


気持ちを落ち着かせるため、もう一度深呼吸をする。

首に掛けた十字架のペンダントに触れ、その表面をこすった。

蛍の光のような、淡い光が灯る。

ゆっくり、事前に確認した歩数分歩みをすすめ、アルベルトが眠るベッドに辿り着く。


その姿勢を確認すると、きちんと仰向けで眠ってくれている。

ホッとしながら、青いお守りを取り出す。

慎重にアルベルトの鼻の近くへ、持っていく。

心の中でカウントし、ゆっくりお守りを遠ざけ、再びワンピースのポケットへとしまう。


大丈夫。アルベルトは深い眠りについたはず。


再度深呼吸し、ガーターベルトでとめられた短剣スティレットを、顕現させる。小声で唱えた呪文により、おへその下の紋章に、熱を感じた。正しく魔力が作動したことを、確認する。


いよいよだ。

もう、本当に後戻りはできない。


静かにベッドに乗り、アルベルトに跨る。

その姿勢のまま裾を持ち上げ、短剣スティレットを鞘ごと手にとった。


目は既に暗闇に慣れており、心臓の位置も確認できている。

左手で鞘を持ち、右手で柄を掴み、ゆっくり剣を引き抜く。

同時におへその下の紋章が一気に熱を帯び、全身の魔力が、剣に向かっているのが分かる。


左手から鞘を離し、両手で柄を握りしめる。

一瞬、アズレークの顔が脳裏に浮かぶ。

その唇が「オリビア、今だ」と告げている。


剣を振り上げ、振り下ろそうと構えた時。


「どうして……」


甘みのあるアルベルトの声に、動きが止まる。


長い睫毛の下の紺碧色の瞳が、衝撃で大きく見開かれていた。

問われても、返す言葉などない。

それどころか、既に魔力が発動し、既に全身が火照るように熱くなってきている。


私は聖女だ。


それなのに真夜中の寝室で、この国の王太子アルベルトに跨っている。


心臓の鼓動も早くなっている。

頬も高揚しているのが分かる。

まさか目覚めるとは思わなかった。


どうする、どうする、どうする……!?


でも、もう、私には止められない。


その瞬間、私が両手で握りしめる短剣スティレットは、アルベルトの胸に振り下ろされていた。

お読みいただき、ありがとうございます!

引き続きお楽しみください☆

このあともう1話公開します!

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