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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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33/311

33:信じるしかない

そういう練習はいずれすると分かっていたが……。

急激に緊張が走る。


「令嬢であり、修道院にいた君に失礼なことになるが……。これも必要なことだ。私に跨って、さっきと同じように動いて欲しい」


ここでアズレークが頬を赤くでもしたら、私は絶対に動けなかっただろう。


でも彼の表情は、落ち着いている。

これからの動作を、アズレークは全く意識していない。

それが分かったので。

今からとる行動は、廃太子計画を遂行するためだと、自分に言い聞かせる。


ゆっくりベッドに乗り、アズレークに跨った。


「では、オリビア。剣を鞘から抜いて。先ほどと同じように、穿つ直前で強制的に止めるから、思いっきり動いて構わない。もし本当に穿つことがあっても、魔力が込められている。以前見た通り、傷は一つもつかない。安心して練習してほしい」


「……分かりました」


冷静に返事をしているが……。

心臓はドクドクと大きな音を立て、手はもちろん、全身が震えている。


さっきはただベッドに向け、短剣スティレットを振り下ろした。でも、今は目の前に、生きている人間がいる。しかもそれは、アズレークなのだ。


直前で止めると言われている。

それに万一があっても……それは前回見せてもらったから、分かっている。


傷はつかない。


そう、そもそもこの行為は、人を殺すためではない。

王太子の魔力の核を、破壊するための行為。

短剣スティレットに込められた、魔力によって。


それは分かっているのだが……。


「さあ、オリビア。剣を鞘から抜いて」


再度促され、深呼吸をする。

まだ迷いがある。

でもここまできたなら、やるしかない。

もう一度だけ深呼吸し、鞘から剣を抜く。

おへその下の紋章に、熱を感じる。

先ほどと同じように、魔力が剣へと向かって行くのが分かる。


短剣スティレットを両手で持ち、振り上げる。


アズレークの目は短剣に向けられ、その黒曜石のような瞳に、剣を構える私の姿が映っていた。


「オリビア、動けるだろう?」


動ける。けれど、動けない。


そう思った瞬間。


「……!」


自分の意志とは無関係に、体が動いていた。

短剣スティレットは、アズレークの胸の上ギリギリで止まっている。


「道具と魔法が作用し、君の意志とは関係なく計画を遂行してくれる――そう言ったはずだ。君が動かなくても、計画は遂行される」


そうだった。

確かにアズレークは、私と取引について話した時、そう言っていた。


「……私の意志と関係なく、短剣スティレットと魔法が作用するなら、この練習は必要ですか?」


「必要だ。最後の最後に君が迷った時、短剣と魔法が作用するに過ぎない。鞘から剣を抜くところまではオリビア、君が行わなければならない。だから練習は必要だ。さっきはマットレスが相手だった。でも私を見た君は、鞘から剣を抜くことを躊躇った」


「……確かに、躊躇いました」


アズレークの指が、私のおでこに触れた。

その瞬間、体が前かがみの姿勢から、アズレークに跨った状態に戻っている。

今のも魔法……? 

一瞬、唇が動いていた。これも魔法だ。


「私が懸念していたのは、鞘から短剣スティレットを抜くところまで君ができるか、だった。でも君は、そこはクリアしていた。だからきっとうまくいく」


アズレークは、ベッドから降りるように言った。

私が降りると、再度ベッドに乗り、短剣を構えるところから練習しようと指示を出す。


その後、午前中いっぱいは、この練習を繰り返した。


12時になり、アズレークが「お昼にしよう」と言った時、私は尋ねていた。「任務を遂行し、成功した後は、どうすればいいのですか?」と。するとアズレークは……。


「計画が成功すれば、後は私に任せてくれていい。その場で待機する。それで問題ない」


ただ待機する――それだけ?


計画遂行までは念入りなのに、終わった後があまりにもざっくりしている。

その不安は……顔に出てしまったようだ。


「大丈夫。私はちゃんと約束を守る。君が辛い目にあうことはないから」


真っ直ぐに私を見るその瞳には、誠実さが見て取れた。

信じても大丈夫。それに信じるしかない。


アズレークの言葉に「分かりました」と頷いた。

お読みいただき、ありがとうございます!

引き続きお楽しみください☆

このあともう1話公開します!

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