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 アルタールside.


 最近、エリザベスとは月に二回ぐらいしか会えず、しかも、さぼってる時はいっさい会えなくなってしまった。きっとお妃教育が厳しいのだろうが、私みたいにさぼってしまえば良いのにと思う。

 いや、そもそもお妃教育を簡単にして、早く終わるようにすればいいのではないだろうか。そうすればエリザベスに会える時間も増え、私を労ってくれる時間も増やせるわけだ。

 我ながら良い考えを思いついたので父上に話に行ったらとても褒められ、今度、母上に話をしてみると言ってくれたのだが、数日後には真っ青になった顔でお妃教育は大事だと言われてしまった。

 きっと母上に怒られたのだろうと思い、今度は直接、私が母上に言いに行く事にした。


「母上、エリザベスのお妃教育をもっと簡単にできないのですか? これではエリザベスと全然会えません」

「……これでもかなり簡単にしているのよ」

「それでも、きついと私は思います」


 私は確信をもってそう言う。母上は目を瞑り、しばらくするとゆっくりと開き私を見つめる。


「二ヶ月後にあなたとレイダー伯爵令嬢の婚約発表パーティーをするのは知ってるわね?」

「はい、もちろんですよ」

「その時にあなた達二人だけで客人の対応ができたらお妃教育に王太子教育は終了するわ。そうしたら好きな時間を二人でいられるわよ」

「……なるほど、最終試験ですね。任せて下さい」

「ただし、客人の対応ができなかったり問題を起こしたらそれなりの責任を取らせるわよ」


 母上はそう言ってきたので私は多少ビクついてしまう。だが、よくよく考えたら人と話すぐらいたいした事はないと思ったのだ。


 そうだ、話すぐらいなら私だってできるしな。なんで、こんな簡単な事で怯えなければないないんだ。母上は本当に人を怯えさせるのが得意だな。


 私は内心苦笑しながらも母上に頷く。


「わかりました」


 私がそう言うと母上はもう何も言ってこなくなったので、私は意気揚々と自分の部屋に戻ったのだった。



二ヵ月後


 婚約発表パーティーの日になった。なったのだが、私は目の前にいる変わった帽子をかぶっている人物に困惑する。何を言っているかわからなかったからだ。

 そのため、隣にいたエリザベスに小声で聞いたら、挨拶をしていると言われほっとする。それなら笑って頷いてれば大丈夫だと思ったからだ。

 案の定、すぐにその人物は微笑んで離れていった。


 ふっ、たいした事ないな。わからなければエリザベスに聞けば良いんだ。父上だってそんな感じでやっているしね。問題なんて絶対に起きやしない。


 そう思いながら挨拶回りを終え、気晴らしにバルコニーで一人で休んでいると、先ほどの変わった帽子をかぶっている人物にまた話しかけられてしまったのだ。

 もちろん、何を言ってるのかさっぱりわからないのですぐにエリザベスを探す。しかし、エリザベスは離れた場所で母上と話をしていて来れる感じではなかった。


 ま、まずいぞ! ど、どうすれば良い⁉︎ 何を言っているかさっぱりわからないぞ⁉︎


 かなり焦ってしまうが、目の前の人物は次々と何か身振り手振りをしながら話しかけてくる。しまいには笑いだしたのだ。


 いったい、何を笑っているのだ⁉︎


 私は若干、腹が立ちながらも笑顔で頷いているとリリーナの兄であるルシアン・レンブラント公爵令息が会話に入ってきたのだ。そしてあっという間に会話を終わらせるとルシアンが私に頭を下げてきたのである。


「今後は次期宰相になります私が殿下のサポートをしますのでよろしくお願いします」

「そ、そうか。助かるぞ」


 私は心の底からほっとする。


 ほら、見ろ。問題なんか起きなかった。これで、母上も私には何も言えまい。


 案の定、母上はその後、何も言ってこなかった。なにせルシアンが優秀で私はただ頷いていればルシアンがほとんどやってくれるからだ。そして、約束通り問題を起こさなかった私は王太子教育を終了した。

 だが、お妃教育は続いているようだった。どうやら、エリザベスが自ら進んでお妃教育を受けているらしい。まあ、それに関しては仕方ないと最近は思っている。


 なんせ、愛する私をサポートするためだからな。全く、愛されているという事は中々の罪だな。


 私は毎日の日課である、王宮の中庭を散歩しながらそう思うのであった。



「殿下、そこは頷けば良いのです」

「アルタール様、手を振ってあげてください」


 私はルシアンとエリザベスの言う通りに行動する。これで問題なく公務が終わるのだ。正直、楽すぎてもっと沢山やっても良いと思ってしまう。

 そう思いながら、隣にいるエリザベスを見て内心溜め息を吐く。最近のエリザベスはたまにしか笑わなくなってしまったのだ。


 まあ、母上やリリーナよりはましだが……


 私はそんな事を思いながら、ルシアンに言われるまま印鑑を押していると、エリザベスが私を見つめて言ってきた。


「アルタール様はだいぶ威厳が備わってきて私は嬉しく思います」


 そう言ってエリザベスは微笑む。その瞬間、私はニヤニヤしてしまった。こうやって公務を終えた後、必ずエリザベスが私を褒めて微笑んでくれるのだ。

 だから、最近は公務をするのが楽しくてしょうがない。そんな事を考えていたらルシアンが声をかけてきた。


「後はこちらでやっておきますから、お二人はゆっくり休憩をしてきて下さい」

「わかった。では、行こうかエリザベス」

「……はい」


 私達は執務室を出て中庭に向かう。しかし、エリザベスは一瞬、不安そうに執務室の方を振り返る。だから私はエリザベスに声をかけた。


「どうしたんだい?」

「……いえ。なんでもありませんわ」


 エリザベスは私に微笑む。そんなエリザベスを見て思う。リリーナじゃなくエリザベスを婚約者にして正解だった事を。

 きっとエリザベスも私の婚約者になれた事を幸せに思っているのだろう。なにせ、こんな見惚れるような笑顔ができるのだから。私はそう思いながらエリザベスを見つめるのだった。


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