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後夜祭が本番です

 

「健君?」


 こちらを向いた健君が目を開く。


「…莉乃先輩?」

「はい莉乃です。…隣いい?」


 首が縦に動いてから健君の隣へと移動する。グランドの喧騒が遠く聞こえる。目の前には私の写真。


「見に来てくれたの?」

「うん、日中は来れなかったから」

「そっか、ありがとう」


 少し恥ずかしくて窓際に置かれた、当番用の椅子に座る。少し話して向かい合わせに健君も座る。空がよく見える。


「健君はいつから教室にいたの?」

「後夜祭すぐから、人が騒がしくて」

「確かにみんな元気だよね」

「本当に」

「元気とえばお兄ちゃん今日風邪引いてお休みなんだ」

「え?りひ兄風邪?」

「うん、すっごく悔しそうに唸っていた」

「りひ兄楽しみにしてたから…」

「ほんとにタイミングがね」


 他愛ない会話の中笑い合う。子供の頃もあったなこんなこと。そしてふと思い出す。


「そういえば昔私達が「お兄ちゃん」って呼ぶ度にお兄ちゃん達どっちが呼ばれたのか分からなくてどっちも反応していたよね」

「ああ、昔は僕もどっちも「お兄ちゃん」呼んでたからさらに」


 両方お兄ちゃん呼びから今の呼び方へと変わっていた。まだ小さかった健君に「とおるおにいちゃん」「りひとおにいちゃん」は言いづらかったのか「とーにーちゃん」「りーにーちゃん」から今の「とお兄」「りひ兄」へと変わっていった。


「そういえば健君、昔は私の事「りのちゃん」って呼んでくれてたよね」

「…そうだっけ」

「そうだったよーなのに今は先輩呼びだもん」

「いやだって先輩だし」

「それならお兄ちゃんもそうだよー差別だー」

「いや今更ちゃん付けは…」


 他愛ない会話をしている視界の端で空が映る。光が、流れた。


「あ…」


 時間だ。


 私につられて健君が顔を上げる。そして、始まった。流れ星、流星群が。


 次々と流れ、消える光を見ながら私の思考は動いた。


 流星群は一番好感度が高い人と見る条件となっている。隣には健君。健君が一番好感度が高い?好感度、つまり好意がある?健君が?私に?

 確かに一番関わりがあった相手だ。一番近く、一緒にいてくれた相手。なら、私は…どう思う?


「……」

「え?」


 とても小さな声に顔を向ける。健君の顔、暗い中でもわかる程真っ赤だ。


「莉乃」


 あ、これは、マズい。見なくても分かる、私も真っ赤だ。


 たった1つの呼び方で。パズルがはまるみたいに、すこんと落ちた感情。


「……まだ色々…言えない…けど」


 星が落ちる。いつの間にか、重なった手。


「ちゃんと…向き合えたら……伝えたい事が、あるから」

「うん」

「だから…えっと」

「うん」


 胸が、あたたかい。私は。


「まだ…待っていて、ほしい」

「うん、待っているよ」


 健君が好き。




ようやくここまで来ました!莉乃の鈍感スキルが高くて色々苦戦しました。

遅筆ですが最後までお付き合いいただけると嬉しいです。m(_ _)m

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