↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異元来訪者  作者: 義侠義人
PR
4/4

その4

 雀が鳴いている。朝だとわかった悠一は、固い床に寝転がる身体を起こした。その際、額(ひたい)にゴンと強くぶつける。不意の痛みに、彼はまた床に寝転がって声にならない悲鳴を漏らした。


 大変なことになったぞ悠一、早く起きろ、というエヅナの声を聞くまでは。信じられない悠一は、今度こそ身体を起こして、彼女を見た。間違いなくエヅナだ。凛とした端整(たんせい)な顔付き、何を考えているのか微塵(みじん)も読むことのできない無表情。額が少しだけ赤く腫れていること以外は丸っきり完全に悠一が知る彼女そのものだった。


 私を庇って、一体どういうつもりだ。悠一のせいで私の計画が滅茶苦茶だぞ。お前という不純物のせいで座標が狂ってしまって、次元肉腫を取り逃がしてしまったではないか、と彼女は激しく憤(いきどお)っている。いや、語調は平坦なので分かりにくいが、ともかく悠一にはそれが十二分に伝わった。故に、はあ、と当たり障(さわ)りのない返事しか悠一にはできなかった。


 結局……、とエヅナはまだ続ける。


 結局、私はまたここに戻ってきてしまった。しばらくは帰れないぞ。お前の霧散した魂をかき集めるのに、随分とエネルギーを使ってしまったからな、この愚か者め。なぜ人間は合理的に物事を考えられないのか、理解に苦しむ。お前のせいだ。全部お前の責任だ。お前は責任を取らなければない。わかったか、この三流詐欺師が。


 というようなことを悠一は長々と聞かされた。憤慨(ふんがい)するその声色はやはりいつも通りだったが、悠一にはそれが以前より幾分(いくぶん)か人間じみて聞こえた。


 解き放たれればきっと私は……。


 そこで途切れた台詞を、悠一はまだ覚えている。何ともまあらしくないことを言うようになったものだな、と悠一は煙草を、にやける口元を隠すように吸って、彼女の言葉に耳を傾(かたむ)けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白かったです。 SFはあまり得意ではないですが、最後まで楽しく読めました。 起承転結が分かりやすくて4話でサクッと読める様な構成でした。 描写が細かくて想像しやすい所が読み進めるにあたって気持ち良か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。