闘病履歴98
憑依され、真華が倒れた。
突如、動物霊の憑依が始まった。
生き霊を追跡して来た動物霊は、白、黒、第三の目、生き霊に素早く獰猛な牙を剥き、抵抗もままならない内に、四人は次々と倒されてしまい、真華の本体である肉体も、高熱にうなされ、卒倒してしまった。
その直後真華を倒した動物霊は憑依を解き、目にも止まらぬ速さで離脱して行き、その動物の名称さえも真華は分からないまま、動物霊と呻くように口走っただけで、救急病院に救急車で搬送される運びとなった。
真華に付き添い、救急病院に足を踏み入れた拓郎君が霊媒師に急を告げる。
霊媒師が尋ねて来る。
「マカロンさんの病名は?」
電話口に向かって拓郎君が答える。
「いえ、まだ分かりません!」
霊媒師が己を落ち着けるように息を吐き出してから、おもむろに言った。
「それじゃ、その動物霊が何の動物だったのかも、特定出来ていないのですね?」
拓郎君が答える。
「マカロンは突然倒れた後、高熱にうなされながら動物と呻くように言っただけで、その動物が何だったのかはマカロンがこんな状況なので、分かりかねますね」
落ち着いた口調で霊媒師が尋ねる。
「その動物霊はまだマカロンさんに憑依していますか、それとも離脱して行っていますか?」
拓郎君が答える。
「いえ、それは僕には分かりかねますね。すいません」
霊媒師が言う。
「分かりました。病院の名称を教えて下さい。私が今から行きます」




