闘病履歴96
動物霊との遭遇を避けるやり方は駄目?
真華が言う。
「逆に言えば、人間は時間則に縛られていないから、悪霊がはびこる時間帯を避ければ、夢の構築は容易いじゃない?」
拓郎君が否定する。
「それは彼女がいつでも寝ているという前提が必要になるから使えないね」
真華が頷いた。
「ああ、そうか」
拓郎君が言う。
「ただ個人的な意見を言えば、夢見術は己の夢の操作術でもあるわけなんだ。例えば悪夢をいい夢に変える事は意志の力で実際問題可能だからね。それを彼女の夢に応用しているのが今回の顛末となるのだけれども、自分の夢ではないから、一筋縄ではいかないね」
真華が言う。
「彼女に直接会ってその夢見術を伝授出来れば一番いいのだけれども、それは出来ないわけだから、どうしてもこんな風に外堀から埋めるやり方をしなければならないんだね」
拓郎君が頷いた。
「ただ夢見で冥界の時間則を変換するのは無理だけど彼女に催眠を促せば、悪霊が出現する前に彼女の夢の構築は出来ると思うんだよ」
真華が言う。
「それ行こうよ。悪霊が現れない時間帯に幽体離脱して行って彼女を眠らし、ちゃっちゃか動物霊、子供の登場項目をこなせば、早く鈴の音にたどり着くじゃない?」
拓郎君が否定する。
「でもそのやり方だと、動物霊との遭遇は避けるやり方だから、駄目だよね?」
真華が顔をしかめ言った。
「そうだよね」




