25.ビスからの手紙
親愛なるクルトンへ
怪我は治りましたか?
昨日、壊れた塔から降りるときに、君の足がすごく傷だらけになっていてすごく心配しました。ボクもまた傷だらけで同じような感じだったけれど、ボクはすっかり大丈夫です。いえ、大丈夫って胸張って言えるほど大丈夫でもないんだけれど、ともかく、心配はいらないくらいになっているので、もし少しでも心配していたら、安心してください。
君も花の町の様子を見てきたと思う。ねぼすけな君だけど、昨日あんなに寝たんだから今日くらいは早起きして町の様子でも見て来たんじゃないかなって思ってたんだ。何故なら、ボクも見てきたからね。キャンディちゃんと一緒にだよ。君も誘おうと思ってお家に訊ねたんだけれど、あいにく君は外出していたんだ。さてと、そろそろ本題に入らせてもらおうかな。あのあと、キャンディちゃんとも話して、町の人達にいろいろ話を聞いて感じたことなんだけれど、ボクとキャンディちゃんが覚えている事と、町の人達が覚えていることがちょっと違うんだ。そうそう、フレイズ・ベリーっていう女の人がいたじゃない。あの人は、用心棒だって。警察ってあった気がしたんだけれど、ボクとキャンディちゃんの覚え違いなのかな? もしかして、君もこの手紙を読んで奇妙に思っていたりするのかな? そうだったら、すごく心細いな。
ねえ、クルトン、親愛なるクルトン、君は覚えていますよね?
今日の朝、キャンディちゃんと合流する前に、コスモス爺さんのところに行ったんだけれど、自分がつけたメドサって星のことすら忘れちゃってるんだ。他の人も……そうそう、《歌姫》のリィも、あの曲ばかりを歌っていたことをすっかり忘れちゃっているんだよ。昨日の夜の事を覚えているのは、ボクとキャンディちゃんだけなんだ。キャンディちゃんすら、夢だったのかしらって言い始めちゃうくらいだし。
ねえ、クルトン、親愛なるクルトン、君は覚えていますよね?
不思議な旅人のこと。ただの風来坊だとしかボク達は思っていなかったけれど、キャンディちゃんによると、剣とか抜いていてすごくかっこよかったんだって。その彼のこと覚えているよね? 町の人はみんな忘れているんだ。あんなに人懐こい旅人だったのに、話しても全然通じないんだ。
おかしいよ。なんか、変だよ。おかしいくらい、今日の花の町は活気溢れているし、おかしいくらい今日の花の町は綺麗なんだ。
ねえ、クルトン、本当に君は、覚えていますよね?
もし、覚えていたら、覚えていなくても、この手紙にお返事をくれたらすごく嬉しいです。最後になったけれど、読んでくれてありがとう。
あなたの大親友 ビス=ケット
追伸・花の町って本当に素敵だね。




