化物
ものすごく雑な出来になりました。
シリアスな回想は書くのが辛いです。
和也が自分の力に気づいたのは和也が九歳のときだった。
昔から和也は転んで怪我をしたとき、傷の治りがに早かった。
始めはあまり深く考えてはいなかったのだが、和也が同じ学校に通う同級生と遊んでいる時に事件は起きる。
当時小学生だけを狙った連続通り魔殺傷事件。
一人の小学生が襲われる現場に、公園で友達と遊んでいた和也はでくわした。
通り魔がナイフを突きつけ、狂気に満ちた顔で小学生に襲いかかろうとする。
それに割って入った和也は胸部に深くナイフが刺さり、致命傷をおうこととなる。
普通の場合、出血多量によるショック死が当たり前なのだが、和也の意識は飛ぶ事は無く、それどころか鬼の様な形相で通り魔を睨みつけた。
そして自分の胸に深々と刺さったナイフをおもっきり────引き抜く。
和也の胸から血の飛沫が溢れるように飛び散り、その返り血が通り魔の顔に付着する。
だが傷口は和也から溢れ出した青白い光に包まれ、次第に塞がっていった。
あまりの出来事に通り魔は、絶叫の声を上げながら顔面蒼白にして逃げていった。
そして叫んだ────『化物』────と。
通り魔はその時の現場を見ていた大人が、警察に通報し間もなく捕まる事となる。
その事件はテレビで大々的に取り上げられ、『巷を騒がす通り魔事件、犯人を撃退したスーパー小学生』やら、『通り魔小学生に捕まる』とだいぶ脚色があったがテレビの報道で流された。
当時小学生だった和也にとって、それはとても喜ばしい事だった。
しかしその日から和也の人生が歪み出す。
いつもの様に学校に行くとクラスの様子がおかしい、そう思った和也は、『どうしたの?』と友達にたずねた。
だがその友達は和也から逃げ出す様に和也から離れて行く。
その友達だけではなく、クラス中がそうだった。
話かければ無視され、遊ぼうと思えば煙たがれる。
担任の先生ですら和也が話しかけると顔を引きつらせた。
気づいた時にはそこには和也の居場所は無かった。
『化物』
『怖い』
『何であんな奴がクラスにいるんだ』
『お母さんがあの子には近づいたら駄目だって』
『死ね』
影で噂をするクラスメイト達、教師のさげずむ様な視線、クラス中に流れる嫌な空気、それらが和也が今まで持っていた物を狂わし、破綻させる。
それを痛ましく思っためぐみは、住み慣れた土地を離れ別の地に移り住む事を思いたった。
心に深い傷をおった和也はある日を境に決意する。
この力はあっちゃいけない物だ、つかえば皆俺から離れて行ってしまう、だからもうこの力は使わない。俺は普通に生きたい、普通に生きて、普通に死にたい。
幼き時和也が激しい絶望の中に見つけた答え、それが和也の中の全てであり、不変の決意だった────────────
────────、(の……筈だったんだけどな、バカだなぁ俺……、本当にバカだ……)
激しい痛みにたえかね地面に倒れ込んだ和也は、過去の自分を思い出していた。
砕けた両拳が麻痺して感覚がない。激しい脱力感と達成感が和也の体を浸食して行く。
(結局、結局自分で作ったルールを自分で破っちゃ世話がないぜ……)
自問しながら、和也は自分に飽きれていた。
でもくいは無い、和也はそう思う。自分の気持ちに素直に生きたい、嘘はつきたくない。
だからもう一度立ち上がろう。
やがて和也の拳は再び激しい閃光を放ち再生していく。
体に流れるヘモグロビンが酸素を運ぶ、そして和也を覚醒させる。
女も再び立ち上がり和也を見据える。
女にはもう和也に対する油断や奢りといった感情は微塵も無かった。
ここからが本番だ。
二人の化物は、お互いに視線を交差させる。
特に考えていなかった設定を後付けで作る、それがこの小説。