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前世勇者の俺が転生した結果!?  作者: Re:Ei


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第六十五話 強欲の能力者

やがて、学校裁判が始まった

ルルが議長となり仕切る

ルル「では、投票に移る」

ルル「事前に全校生徒に紙を渡している」

ルル「その紙に神谷の在学に賛成か反対かを書いて、学級委員長に渡してください」

ルル「学級委員長はクラス全員分集まった事が確認できたら、生徒会役員に紙を渡してください」

ルルがそう言うと体育館に動きが見られた

各クラスの学級委員長もちらほらと動き出していて...

ルル「........」

ルル「全校生徒、投票を終えたためこれより集計に移ります」

ルル「もう少々、お待ちください」

十数分後....

ルル「........」

ルル「集計が完了しました」

ルル「では、これより開票に移りたいと思います」

ルル「賛成票———」


そして、零の処分は決まった

零は...

退学

奇跡なんてものは起こり得なかった

俺達はせめてお別れの挨拶をしたいとの事で

生徒が全員帰った後

俺達生徒会五人は一列になって校門へと続く紅葉並木を歩いていた

ルル「....悪いな、神谷」

ルル「私はお前がいい奴だと知ってるから、お前には学校に残って欲しかった」

ルル「最後の希望にかけて学校裁判をしたんだがな...」

ルル「奇跡なんかものは起こらず、お前は退学になってしまった」

ルル「本当にすまなかった」

ルルは申し訳なさそうな顔をしていた

零「....別に、ルルさんのせいじゃないですよ」

零「僕は元々結果が分かりきっていたので」

零「あんまりショックとかはありません」

ルル「.....そうか」

そんな会話をしていると

やがて俺達は校門に着いてしまった

これをくぐれば、零がここの敷居を跨ぐ事は二度とない

俺達は最後零に向けて一人一言言う事になっていた

ユノが前に出る

しかし

その顔は俯いていて、上がる事はなかった

ユノ「いつも優しくて...何でもできて...そんな零がずっと大好きだったよっ!!」

ユノ「これから大変な事もあるだろうけど頑張って...応援してる...」

結局ユノの顔が上がる事はなく、ユノのスピーチは終わる

ひよりが一歩前にでる

ひより「いやーほんとに...お姉さん寂しいなぁ...」

口調はいつものひよりだったが

そこにはいつもの元気さなんて欠片もなかった

ひより「なんでこうなっちゃったんだろうね...」

ひより「神谷君....社会が君を許さなくても...」

ひより「ここに君が大好きな四人がいるって事...忘れないでほしいな...」

声は震えていた

体だって小刻みに震えている

それでもなんとかスピーチを終え、一歩下がる

ルル「私、か」

ルル「言いたい事はさっき言ったつもりだが...」

ルル「まぁ、改めて言うとしたら2点だ」

ルル「まずは本当にすまない」

ルル「あんな賭けをしておいて、私は結局何もできなかった」

ルル「本当にすまない」

ルルは頭を下げた

零「......」

ルル「二つ目は、ありがとうだな」

ルル「生徒会に入ってくれて...」

ルル「ネルと友達になってくれて...」

ルル「本当にありがとうっ!」

ルル「お前には感謝してもしきれない」

ルル「これから頑張って生きろよ」

ルルはそうして言葉を締め括る

やがて俺の番が来てしまい...

司希「お前にとって俺はいい先輩でいれたか?」

俺はそんな質問をしていた

あっちでは兄貴として、こっちでは先輩として

俺は零に何かを残してやれただろうか

零「はい....!司希さんは本当に頼もしくて...」

零「まるでお兄さんみたいでした!」

司希「っ!!」

零のその言葉に俺は数秒固まる

司希「ハハッ、そうかよ」

司希「そうであれたなら、俺はもう後悔なんてない」

俺はスピーチを締め括る

零は最後まで俺の言葉に首を傾げていた

ネル「......」

最後はネルの番だ

しかし...

ネルは一向に喋ろうとしなかった

ルル「ネル、お前の番だぞ」

ルルがそう言った瞬間...

ネルは走り出し、零に思いきり抱きついていた

ネル「嫌なんだよっ!!」

ネル「私が零に言葉を言ったら...零はどっかに行っちゃうもんっ!!」

ネル「離れたくないんだよ...!!」

ネルは大粒の涙を流しながら、自分の心情を吐露する

ネル「ねぇ...やめようって言ってよ...」

ネル「自主退学を取り消しにするって言ってよっ!」

零「......」

零はただネルを抱きしめ返すだけで返事をしようとしなかった

ルル「.....やめろ、ネル」

ルル「零がどれだけこの決断をするのに勇気を出したと思ってるんだ」

ルル「お前がそんな事をしてたら、零の覚悟が無駄になる」

ネル「じゃあお姉ちゃんは...!!」

ネル「お姉ちゃんは零が退学で良かったの!?」

ネル「このまま一生のお別れなんて...それでも納得できるのっ!?」

ネルは叫ぶ

もう止める事なんてできない

そんなネルの質問に...

ルル「....だろ」

ルル「できるわけないだろっ!!」

ルルも声を荒げ叫んだ

俺は驚き、そちらに視線をやる

すると...

司希「....!!」

驚いた

そこには涙を流すユノ・ひより・ルルの姿があったからだ

ルル「私はまだ神谷といたかったっ!!」

ルル「いや...私だけじゃない...」

ルル「ここにいるみんな神谷と離れたくないんだよ...」

ネル「だったらっ!」

ルル「それでも!」

ルル「この世界には、諦めないといけない瞬間ってのはあるんだ...」

ネル「......」

ネルはもう零を救えない事を悟ったのか、黙り込んだ

場に静寂だけが満ちる

そんな中

俺は零に向かって歩き出すのだった

俺は零の頭を撫でる

司希「お前は愛されてんな」

零「.....ありがたい事に、ですね」

司希「神谷は...」

司希「この結末で良かったと思うか?」

司希「みんなに悲しまれながら迎える最後」

司希「お前はこれで本当に良かったか?」

零「何...言ってるんですか?」

司希「簡単に問おう、神谷零」

司希「お前は...」

司希「まだ学校生活を送っていたかったか?」

零「......」

零は数秒考えこむ

やがて震えた声で

零「送りたくないわけ...ないじゃないですか...」

そう言ってきた

俺は零のその言葉を噛み締めるように頷く

司希「そうだよな」

司希「生意気だし、強がるし、それでいて誰にも頼ろうとしない」

司希「それでも...」

司希「自分を取り巻く全ての環境が大好き」

司希「神谷零という人間はそういう人間」

司希「あっちの世界と変わらないお前だから...」

司希「神谷零だから俺はお前を救いたいって思えたんだ」

零「何言ってるんですか....」

零「シキさんはずっとそうなんですよ...」

零「出会った時から最後まで意味の分からない発言をして...」

零「僕には分かんないんですよ...」

俺は零に精一杯の笑顔を向ける

司希「あぁ、そうだろうな」

司希「お前は何も分からない」

司希「分からなくたっていい」

司希「これは俺の我儘から始まった物語だ」

司希「だから...」

司希「俺の我儘で俺の物語の幕を閉じよう」

俺はそうして...

司希「もしも....」

司希「零が学校裁判で許されていたらっ!」

そう願った

そして

そして

そして...


....世界は創り変わった

零は学校への在学を許され、全てが終わった

俺はその日の放課後、あてもない道を一人で歩いていた

司希「全てが終わったな」

本当に全てが終わった

あっちの世界の零に会いたいという俺の最後の願いを犠牲に俺は零を救った

もう零はこれから幸せな人生を歩んでいけるだろう

司希「ハハッ」

俺は思わず笑いが込み上げてきた

司希「あれだけ合理性合理性言ってた奴が、最後には自分の感情を優先するとか」

司希「とんだ皮肉だな」

司希「いや...」

司希「俺らしい最後と言えば俺らしい最後か」

俺は笑みを浮かべる

誰に見せるわけでもない

強いて言えば...

自分のための笑み

司希「なんて言ったって俺は....」

司希「強欲の能力者」

司希「<希望>を<司る>者」

司希「神谷司希」

司希「だからな」

そう言葉を発して

やがて....


——もしも、この肉体から俺の人格が消えたら——


第六十五話 終了

生徒会たるもの完結

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