第三十三話 大罪の名を持つ者
零「......?」
蓮さんの表情が変わっていた
さっきまでの余裕はどこにもない
あるのは...
ありえないものを見たという目だった
零「知ってるんですか?」
蓮「っ....」
動揺しているのか黒炎が揺らめく
零「この剣を...」
零「しっているんですか?」
蓮「...知らねーよ」
零「ならなんで...」
蓮「黙れっ!!!」
ドンッ!!
黒炎が爆ぜた
熱風が真正面から襲ってくる
零「っ!」
僕は咄嗟に剣を振り抜いた
剣が炎を切り裂く
轟音
木々が揺れる
蓮「チッ」
蓮さんは防がれたと分かると
一瞬で僕との距離を詰め
拳を放ってきた
その拳には炎がまとわりついていた
速い
咄嗟に剣を構え
ガギイイン!!
拳と聖剣がぶつかる
零「っっ....」
....重い
ただの拳
そう、ただの拳なのだ
ただの拳に剣が負ける程の威力を叩き出す
蓮「何ぼーっとしてんだよ!!」
蓮さんはもう片方の拳を振り抜いた
零「...まずっ!」
ドンッ!!
僕はそれを防ぎきれず吹き飛び木に衝突した
零「あがっ!」
背中に鋭い痛みが走る
蓮「どうしたよ」
蓮「さっきまでの勢いは!!」
零「はぁ...はぁ...はぁ...」
立て神谷零
まだだ
剣を地面に突き立て、無理やり体を起こす
蓮さんは目を細めた
しかしその視線の先は僕じゃない
勇者の剣
....やっぱり
何かを知っている
絶対に
しかも何故か蓮さんと戦っていると違和感を感じる
勇者の剣を知っている事とはまた別の違和感
なんだ...?この違和感
蓮「さっきから何考え事してんだよ」
蓮さんは右手をかざし
僕に黒炎を放ってきた
僕は地面から剣を抜き炎を叩き切った
零「.....一つ聞いていいですか?」
蓮「あ?」
零「....蓮さんは確かに強いです」
零「僕は今、明らかに劣勢」
零「ですが...」
零「たかだか炎を出すぐらいの能力でプレデターになったんですか?」
蓮「.....」
蓮「あぁ、そうか」
蓮「お前の前ではまだ炎しか使った事がなかったか」
蓮「なら教えてやるよ」
蓮「俺の能力」
蓮「そして....」
蓮「プレデターの持つ力を」
零「....そこまで話していいんですか?」
蓮さんはニヤリと笑った
蓮「あぁ、お前はここで退学するんだからな!」
蓮「お前に何を言おうがなんの問題もない」
零「....そうですか」
零「....ありがたく聞かせていただきます」
蓮さんは一度肩の力を抜き話し始めた
蓮「お前は七つの大罪を知っているか?」
零「能力がこの世に産み落とされた時七つの異様に強い能力が発見された」
零「強欲、憤怒、怠惰、色欲、暴食、傲慢、嫉妬」
零「それに関する能力を所持し、一人一人が国を一つ陥没させる事ができる程の能力を持つ伝説の七人の能力者」
零「それが、七つの大罪」
蓮「おぉ、よく知ってんじゃねーか」
零「この世に生まれて七つの大罪の話を知らない人なんていませんよ」
蓮「そうか」
零「でもあれってただの都市伝説ですよね」
零「なんで急に?」
蓮「話の流れから察せよ」
蓮さんは掌から黒炎を出し
蓮「俺が....」
蓮「七つの大罪だ」
零「えっ...」
僕はその衝撃的な事実に固まってしまった
蓮「いや...正確に言えば俺達だな」
蓮「プレデターは五人の七つの大罪がいる」
蓮「強欲の罪神谷司希」
蓮「嫉妬の罪水瀬美月」
蓮「暴食の罪桜庭紫苑」
蓮「色欲の罪一ノ瀬凛」
蓮「そして...」
蓮「憤怒の罪黒埼蓮、だ」
蓮「後の二人は怠惰と傲慢が出てこないからSクラスの最強格を引き抜いた」
蓮「ただ最近出てきたらしいじゃねえか」
蓮「怠惰の罪」
零「っっ....」
蓮「さてここまで聞いてもまだ...」
蓮「俺が炎を出す能力だと思うか?」
零「じゃあ、あなたの本当の能力は...」
その瞬間
蓮さんは空へ飛び上がった
蓮「俺の能力は...」
蓮「怒りをエネルギーに変える能力」
蓮さんは掌を天へと向け
蓮「炎が1番効率いいから使ってただけだ」
蓮「当たり前に他の事だってできる」
蓮さんはそう言うと...
蓮「落ちろ!雷!」
その瞬間、雷鳴が轟いた
そしてその雷は真っ直ぐ僕に落ちてき
僕は咄嗟に剣を振り翳したが間に合わず
ドオオオオオン!!!
僕はその雷をもろにくらった
零「がぁぁぁぁ!!」
視界が白く染まった
零「ぁ....ぅ.....」
体が痺れる
指先に力が入らない
蓮「終わりか?」
空からゆっくりと降りてくる
雷が体に迸ったまま
ゆっくりと僕に近づき...
蓮「もう一度聞く」
蓮「これをどこで手に入れた?」
蓮さんはそう言って勇者の剣を指差した
零「アハハッ....」
零「これが...勇者の剣だとか言ったら...」
零「...あなたは信じてくれるんですか...?」
蓮「.......」
蓮「もういい」
蓮「死ね」
蓮さんは天に掌を向け
蓮「落ちろ...雷!」
零「......」
あぁ、僕死ぬのかな
最後の頼みの綱の白空間
あそこでなら本気が出せる
いや....
あれは1日一回しか使えない
兄さんと戦う時に....
....
アハハッ...
何言ってんだよ
死んだら兄さんもクソもねえだろうが
兄さんに固執しすぎて周りが見えてなかった
僕は近くの地面に突き刺さっているその剣に触れる
零「僕は...!」
零「俺は...!」
零「まだ...死ねないんだよ!」
その瞬間
閃光が爆ぜた
第三十三話 終了




