……全て、片付いたみたいですね
難産な上に、台風が……
「国王陛下が自ら指揮を執っているので、1か月程で終わるかと思います」
フェリシア王女が、父親ではなく「国王」と言っている以上は、国王が公式に動いている事になるから、それなら1か月程で終わるだろう。
それで、当然といえば当然の流れとして、交易都市に在住している商人達が、王女の背後の権力と繋がりを得る為に、貢物を用意して面会を求めている。
「……不可」
「何故だ!」
「ご丁寧な事に、二重底に麻薬を入れる者を王女との面会に許可が下りる訳が無いだろう?」
「……うっ」
「地下の牢屋へ」
「ま、待ってくれー……」
ソフィアとアリシアを除く俺達が、フェリシア王女に贈られる物を検査する役目を負った。
見栄えの良い贈り物に隠した「賄賂」が、色々と凄い事になっている。
麻薬なんて可愛いもので、馬鹿げた内容だと男娼の紹介……なんてものまであった。
王女という立場を理解しているのか、1時間以上掛けて問い詰めたい気分だ。
「……見事に、1人も残らなかったな」
「お疲れ様、ライカ」
ユリナが、紅茶と軽食を持って来てくれたから休憩する事にした。
因みに、今日の商人達の中に暗殺者は居なかったよ。
翌日も、下心満載の商人達8人が来て、2人は追い出して、5人が牢屋行きになった。
そして、8人目もどうせ同じだろうと思っていたら違っていた。
「助かりました」
「……?」
「私以外の昨日と今日の商人達は、商人としては、クズだったので先に行かせて正解でした」
「そうか。 だが、俺から見れば……」
「分かっています。 他者を利用するだけの商人も、クズだと言いたいのでしょう」
「……」
「あんなんでも、この都市では有力な商人達だったので、難しかったんですよ」
「……分かった」
「ありがとうございます」
「それで、何を持って来た?」
例え、一流以上だろうが、三流以下だろうが領主館に王女が滞在しているのに、お土産無しで来るのは商人としては常識知らずだからな。
「こちらになります」
空気に徹していた従者が、新品のランドセルぐらいの大きさの箱を出す。
「では、中身を改めるが良いな?」
「当然です」
……全く落ち度が無かった。
「絹製のカラーバリエーションが10種類のリボンボビンに、同じく絹製で10種類の代表的な花をモチーフにした刺繍入りのハンカチか……合格だ」
「それは良かったです」
下心満載の二重底も無いし、山吹色の……アレも無くて、王女への最初の贈り物としては爽やかな印象を受ける。
「改めて名前を聞こうか」
「私の名前はコールマ=ローポリです」
「贈り物の品と共に名前を伝えてやる」
「ありがとうございます」
こうして2日目が終わった。
「後は普通だったな」
「そうね」
3日目以降は、良識を持つ商人達が来る様になり、贈り物を調べて受け取るだけで終わった。
まあ、良識を持っているだけで、贈り物は普通だったから名前を聞いたが王女には伝えていない。
王女から許可を得て、名前については俺達の判断で良いと言われたからな。
……それから2週間が過ぎた。
「……良いぞ、ユリナ」
「はっ!」
俺達は、領主に許可を得て中庭で鍛練をしている。
「王城の騎士達と比べても見劣りしないわ!」
王女は、パラソルの日陰の中で紅茶を飲み、お菓子を摘みながら見学をしていた。
「フェリシア王女殿下。 先程、来られた王城からの御手紙です」
領主が来て、手紙を王女に渡す。
俺達も呼ばれた。
「……全て、片付いたみたいですね」
手紙を読んだ王女が、そう言った。
そして……
「出発の準備を。 それとアルゴリア侯爵、今日まで良くしてくれました」
「……微力ながら、フェリシア王女殿下のお役に立てて望外の極みです」
「父である国王陛下にも、アルゴリア侯爵の献身をお伝えしましょう」
「ありがたき幸せ」
王女は領主が去った後、俺達に向きを変えて笑顔で言った。
「護衛依頼を終了します」
「……分かった」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
「ソフィアお姉様~!」
先程までの凛とした態度だった王女が、王女としての仮面を外して涙目でソフィアに抱き着いた。
「王女が、そんな事をしたらダメでしょう」
「だって~」
王女は、すっかりソフィアに懐柔されたみたいだ。
「必ず王城に来てくださいね」
「リーダーであるライカが行くと決めたらね」
王女が俺を睨むと言った。
「必ず王城に来なさい!」
「そんな事を言うのなら行かないわよ」
「ソフィアお姉様~」
3日後、王女殿下御一行が王都に向けて出発した。
「……行ったね」
「そうだな」
俺達も、王女殿下御一行の出発を見送ったが、俺の「倉庫」には王女から貰った王女の紋章が刻まれた「短剣」が入っている。
勿論、この「短剣」は王女から貰った。
「行かないといけないよなぁ」
「そうね」
「そうだね」
「そうよ」
ソフィア3人に肯定された。
「ライカ、行く?」
「……仕方ない。 行こうか」
「やったー!」
どうやら我慢していたが、ユリナは王都に行ってみたかったみたいだ。
こうして、俺達の次の目的地が決まった。
「王都に向けて出発よー!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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