それと私からの善意の忠告よ
やっぱり、人の闇からの……
負傷した両騎士団長は治療され、再び最初の応接室に移動する。
「ライカ殿、素晴らしい戦いでした!」
そう言って、満面の笑顔で言っているのは王国騎士団長だ。
どうやら、強さを認めた相手には人当たりの良い対応をするみたいだ。
因みに、王国騎士団長は「バラクダ」で、近衛騎士団長が「シュガル」だ。
「まさか、ライカさんが2属性の魔法を使える
『ダブル』とは、思ってもいなかったわ」
「そういうマリベルさんだって3属性の魔法が使える『トリプル』じゃないか。
それに、デュカさんも『ダブル』だ」
忘れていたが、この世界の人達が使える魔法は1属性が常識になる程に、2つ目、3つ目が使える人が極端に少なく貴重だ。
だから、そういう人達は国が囲う様になる。
「すっかり忘れていたよ」
「そうね。 国の軍事力に直結するから、大抵は秘匿されるわ」
「だから、他で喋ったらダメよ」
「分かっている。 そっちも、冒険者の手札は……」
「分かっているわ」
この後、俺の扱いは基本的には防衛で使い、状況に因っては小規模な制圧や鎮圧が俺の出番となる。
そして報酬は、禁書から神話に関する書物の閲覧となった。
「本当に、それで良いのか?」
「ああ。 金なら1日あれば、白金貨50枚以上稼ぐ事が出来るからな」
「……白金貨50枚以上!」
「調べたら分かる事だが、俺は魔境のモンスターを狩る事が出来る」
「「「「「「「魔境のモンスター!?」」」」」」」
「だから、金には困っていない」
「……う、うむ」
ソフィアside
「……何か、久し振りね」
「そうだね」
私達は今、湯浴みを済ませて来賓用のドレスに着替えて、紅茶とお菓子を嗜んでいるわ。
「数か月前までは、こんな生活をしていたわ」
「私も」
「今、どうなっているのかしら?」
「とりあえず、戦闘はライカの圧勝だよ」
「そうね」
ふと、扉をノックする音が部屋に響いたわ。
「どうぞ」
「失礼します」
「あら、エリルーナ」
「お待たせしました」
「やっと話が終わったのね」
「はい」
「それと私からの善意の忠告よ」
「……はい」
「私達が人質扱いを受けていた事は、ライカに気付かれない様にね」
「……承知しました」
「それでは行きましょう」
「私達、人質扱いだったの!」
「そうよ」
「気付かなかったよ」
「ルシアは、それで良いのよ」
「そう?」
「そうよ」
……はあ。 籠の中だけが、私の世界だった頃は良かった。
だけど、籠の外を知った今では、慣れ親しんだ王宮も息苦しいわ。
……そうね。
ルシアは既に前世の記憶を持つという形で籠の外の世界を知っていた。
だから、いつも息苦しそうにしていたのね。
私が私でいられるのなら、どんな形でも良いからライカの世界に行きたい!
きっと、ルシアも同じ気持ちでしょうね。
ライカside
「ソフィア様とルシア様をお連れしました」
「「ライカ」」
「ソフィアとルシア、待たせたな」
「そんな事より、どうなったの?」
「基本的には防衛で、状況に応じて小規模な制圧や鎮圧を行う」
「分かったわ」
「分かったよ」
俺は、2人にしか聞こえない声量で言った。
「人質、お疲れ様」
「「……!」」
ソフィアとルシアは驚いた顔をしていた。
まあ、あの状況で仲間を、しかも女性を別室に待機させるなんて、幾つもの漫画やラノベを読んでいたから察していた。
だけど、人質だからこそ安全だとも思った。
そんな訳で、俺は向こう側には気付かない振りをする。
……そして、今日が終わった。
ゼタリウス王国side
「それで理由は分かったか?」
「いいえ。 未だに解明されていません」
「……ギドよ」
「陛下」
「分かっておる。 ここまで行動を興してしまっては国王でさえ、無罪にする訳にはいかん」
「それで向こうの動きですが、今まで視界に入る事すら無かった者が数名ですが、側近の位置に居ます」
「……そうか。 その者達を排除すれば……」
「陛下。 お辛いでしょうが無理です」
「……」
「次に、此方は予想通りに軍備を増強しています」
「うむ」
この国の国王でさえ、どうにもならない事が悔しいわい。
「最後に冒険者ライカですが、本当にSランク冒険者であり、魔境のモンスターを冒険者ギルドに売っていました」
「何者なのでしょうか?」
「出身地は?」
「分かりません」
「家族などの血縁関係は?」
「分かりません」
「何処かに所属していた形跡は?」
「分かりません。 エクレシア王女殿下と接触した時点から調査していましたが、先程の報告が全てと言っても過言ではありません」
「……調査は続けよ」
「は!」
「魔境のモンスターを狩っている……か」
「マリベルよ。 それは如何ほどの事だ?」
「はい。 Aランク冒険者のパーティでさえ中層では命懸けになります。
更に、その中層や深層を越えた魔境のモンスターは最低でもSランクです」
「最低でもSランクか」
「はい。 そして、神話や伝説に出るモンスターは、魔境のモンスターではないかと言われています」
「そうか」
そんな神話や伝説に出る様なモンスターを単身で狩る冒険者がライカであるか。
「状況にも因るが、小規模な制圧か鎮圧で、ライカの様子を見るで良いな?」
「「「「「「「御意」」」」」」」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点とブックマークをお願いします。




