ソフィア、お願い
エイプリルフールは、本来は午前中だけにするのがマナーらしいです。
……結果報告だが、連中を再起不能にしてやった。
「大した事は無かったな」
「そうね」
「そうだね」
連中の武具を換金したのだが、大銀貨3枚と銀貨4枚だった。
それと最後に「あの御方に……」とか言っていたが……
「まあ、最大で領主ぐらいだろう」
「それなら、まだ他国の王女の方が上よ」
「それに公爵令嬢も居るしね」
因みに、この街の領主は伯爵だ。
「それじゃあ、宿屋に戻るか」
「ええ」
「うん」
翌日、朝食後に軽く休憩をしてからソフィアとルシアを連れて森に向かった。
「ルシア、お願い!」
「任せて! ……は!」
「Gigya……」
「ソフィア、左!」
「……炎矢」
「Gya……」
「……終わったわ」
「疲れた~」
ソフィアとルシアだけで、オーガ5匹の集団を撃破した。
「討伐、お疲れ様」
俺は、2人にタオルを渡す。
「ありがとう」
「ありがとうね」
一通り拭き終わると、俺は魔法を放つ。
「洗浄」
「「……ふぅ」」
洗浄で綺麗になるが、2人の気分の問題で、汗を拭いてから洗浄を掛けて……とお願いされた。
オーガ5匹の討伐後も、森の中の探索を続けたが、モンスターと遭遇するも2人の敵にはならず、危なげなく討伐していった。
「そろそろ戻ろうか」
「分かりましたわ」
「分かったわ」
俺達が街に戻ると、憲兵が何かを探しているかの様に見回りをしていた。
「何か、有ったのか?」
「さあ?」
「分からないわ」
「そうだよな」
そして、憲兵の1人が俺達を見ると言った。
「発見!」
……俺達?
「冒険者ライカだな?」
「そうだが」
「領主様から捕縛の命令が出ている」
「理由は?」
「領主様の私兵を一方的に再起不能にしたからだ」
……ナンパじゃなくて、合法に見せ掛けた人攫いだったか。
「ライカ、乗りましょう」
「そうだな」
「賛成」
俺は、その件は無実であると抗議したし、冒険者ギルドのギルドマスター立ち会いの下で行ったものだと主張した。
「……分かった。 捕縛ではなく、任意の同行とするが良いな?」
「ああ。 それで構わない」
「では」
俺達は、拘束される事もなく領主館に向かった。
……そして、領主館に到着して応接室で待たされる中、約1時間後に領主だと名乗る男が入って来た。
「ズクルーフ=ルベグ=カズサハルだ。
報告は聞いたが、虚偽の申告は軽くないぞ?」
「虚偽では無い。 報告に入っていなかったのか?
冒険者ギルドのギルドマスターの立ち会いだ」
「調べれば判る事だぞ?」
「どうぞ」
「……ふん」
……腐っているな。
まあ、合法で人攫いをさせている屑野郎だしな。
「そこの2人の女」
「私……ですか?」
「私?」
「そうだ。 そんなガキと居るより、私の下で奉公しないか?
そこらの平民よりは、良い生活をさせてやるぞ」
「お断りします」
「私もだよ」
「な!?」
ソフィアは王女で、ルシアは公爵令嬢だし。
目の前に居る屑野郎は、爵位が伯爵で当主だが、ソフィアとルシアは上の立場で、屑野郎本人よりも良い生活を送っている。
「私は伯爵だぞ!」
「それが何か?」
「それで?」
「……」
屑野郎の肩が震えている。
「出合えー! 伯爵である私に虚偽の報告した者を捕らえ投獄せよ!」
……あれ?
いつの間にか、異世界モノから時代劇モノに!
「……申し訳ありません!」
勿論、俺と同じ感想を持ったルシアが、悪ふざけで言った「ライカ。 少し懲らしめてやりなさい」で、殺陣が始まったが、俺1人で制圧した。
「私、他国だけど公爵令嬢なのよね」
そう言いながら、御老公の立ち位置に居るルシアは自身の身分証を掲げる。
そして、先程の詫びの言葉だ。
「今回の事は、ゼタリウスの王城に詳細を送る事にします」
「……」
屑野郎が怖い顔をしている。
「斯くなる上は……」
屑野郎が小さく漏らすと、懐から短剣を出して抜き身にしてルシアに向かった。
「死ねぇ!」
「……破!」
「くばぁっ!」
屑野郎の短剣での突きを、ルシアは円を描く様に躱して渾身の右ストレートを放つ。
「ソフィア、お願い」
「ええ。 火球」
屑野郎がノックアウトしたのを確認すると、ルシアはハンカチを取り出して右拳を拭くと、そのハンカチを空中に放る。
そして、返事をしたソフィアが、そのハンカチを火魔法で燃やす。
「さて。 死刑と、それ以外なら、どっちが良い?」
ルシアは、隅で待機していた執事達に聞いた。
その後は、ルシアが臨時の管理者となりゼタリウスの王都の王城に詳細を書いた手紙を送った。
因みに、ソフィアがメインで動くと、本格的に国際問題になるから、大人しくしている。
……3週間後に王城から代理人が来て引き継ぎを完了させたが、王城に行く事になった。
「ごめんなさい」
「いいよ。 王女と公爵令嬢を連れている以上、覚悟していたよ」
「……ありがとう、ライカ」
まあ、お願いして同行させて貰っている立場のソフィアとルシアから見れば、この王城行きは、俺の邪魔をしている事になるからな。
「そんなに気にするな。 王城に行けば、俺の欲しい情報が手に入るかもしれないからな」
「……ライカ」
「だから、そんなに暗い顔をするな」
「ありがとう!」
「勿論、ソフィアも」
「ありがとう、ライカ!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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円を描く躱し方は、完全に見切った証拠。
作者のお気に入りのボクシング漫画からの情報でした。




