第8話(前編)
【シーン抜粋】リンクの副作用と、抑制方法
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リンク試験から三日後。
学校の帰り道、また胸の紋様が熱くなった。
頭がくらくらする。
視界の端が赤く染まる。
心臓の鼓動がやけに速い――。
「……やば、まただ……」
誰かの欲望が、頭の中に直接流れ込んでくる感覚。
俺の意志とは関係なく、身体が反応してしまう。
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「ユウト!」
突然、リリィが前に立ちふさがった。
小さい体なのに、その目は真剣だ。
「……また暴走しかけてるわね」
「わかるのか……?」
「当然。契約者の脈と魔力の乱れくらい、息をするみたいにわかるわ」
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そう言うと、リリィはためらいもなく俺のシャツの襟元を掴み――
ぐいっと引き寄せた。
「な、おま――!」
「黙って。制御するから」
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次の瞬間、俺の首筋に――小さな牙が触れた。
軽く、だけど確実に皮膚を破る感触。
そこから何かが吸い取られていく。
熱がスッと引いていき、代わりに身体が軽くなる。
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「……お、お前……血、吸ったのか……?」
「正確には“欲望エネルギー”を直接吸い取ったのよ。
これが一番手っ取り早いの」
「……いや、そんなの反則……」
「なに、あんたも悪くなかったでしょ?」
リリィはいたずらっぽく笑う。
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「でもこれ、あんたが我慢できないくらい欲望が溢れた時しか使わないから。
毎回なんて、絶対ダメ」
そう言って、わざとらしく指を立てる。
だけど、その指先はまだほんのり温かかった。
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この方法は、
ユウトの暴走を一瞬で鎮められる
代償として、リリィが少しだけ本気モードに近づく
お互いに変な余韻が残る
という、非常に危険かつ妙に親密なやり方です。