その後の反応
「珍しく遅かったじゃないかカズ・・・どうかしたのか?」
姉さんは帰ってきた俺を心配するような声で話しかけてくる。 そこまで俺が落ち込んでいるのが目に見えているようだと察して、俺も姉さんにならと口を開いた。
「校舎裏でさ。 フィーナが誰かに・・・キス・・・されてたんだ。 フィーナは嫌がっていた様だけど、それでも助けられなかった俺の落ち度だ。 会わせる顔がない。」
姉さんは長話を聞くのを嫌うので、なるべく簡潔に話す。 表現自体は間違っていない筈だ。
そんな話を食卓だったからか、父さんと母さんも聞いていたようで、話を聞いてくれた。
「確かに避けられるだろうね。 恋仲になっている本人にその光景を見られてしまったのなら、尚更ね。」
「あとはフィーナちゃん次第だけど・・・学校に来るかしら?」
そこも1つの不安要素だった。 彼女の方が実際にやられているだけにショックは大きい筈なのだ。そんなことを考えながら俺は夜を過ごした。
そして翌朝。 結局あれからまともに寝れず、いつもの場所まで足取り重くやってくる。 時間を見れば待ち合わせ時間よりも早く着いた。
「これで来なかったら色々と損してるよね。」
そんなことを思いながら信号が変わるのを待っていると、隣に誰かが来る気配がした。 横目でそれを見ればフィーナがいたが、なぜか顔は見えない。
「お、おはようフィ」
『今はそっちで呼ぶな。』
喋り方がフィーナと違っていたので、周りを確認した後に再度見る。
「・・・エムゼか?」
『ああ。 主人格様は精神の奥に行ってる。』
「・・・やっぱり昨日の事だよな?」
『ああ。 ったくあのやろう。 こっちが全力で拒否してるのに、それでも迫ってきやがって。 しかも強行手段まで取ってきやがった。 あれでモテてた理由が分からねぇ。』
フィーナもそんな大層なやつに目をつけられて・・・
「・・・・・・ちょっと待て。 その相手って・・・」
『最近転校してきた蘇我とか言う奴だよ。 しかも奴が噂を流したって言ってやがった。 最もあそこまで誇張はしてなかったらしいがな。』
諦めていなかったとかそんな次元の話じゃない。 なんとしてもフィーナを手に入れるという執念すら感じられた。 ある意味で一番自分に自信があると言える。
『ビンタしたのは主人格様だが、あれがオレだったら顎に一発入れてたな。 とは言えこのままってのもなにかと不便だ。 そうだろ?』
今のままなら「不機嫌なんだな」程度で誤魔化せるかも知れないが、それがいつなし崩れるか分からない。 元に戻さなければ、今後の学生生活に支障が出るかもしれない。
「でもただ出てきてくれるとも思えないんだよなぁ。」
『そこはなんとかしろ。 オレだって全部は賄えないからな。』
なんとかしろって言われてもなぁ。 どうするか考えながら俺は登校するしかなかった。




