新年のご挨拶
昨日は大掃除をしたので、昼間はなにもせずに過ごしていれば、後数時間で年が明ける時間まで迫っていた。
「お蕎麦出来たわよー。」
ゆく年くる年が始まる前は自室に籠っていたが、母さんの年越しそばの号令で、食卓に集合する。
そこにあったのは自分達の使っているお椀に、出汁からとった温かいめんつゆ。 そして大皿にこれでもかと盛られた1口サイズに纏められた母さんお手製蕎麦があった。 昔は普通にかけそばスタイルだったが、俺や姉さんの食欲に合わせて、今はつけそばスタイルに変わっている。 薬味とかき揚げがあるのが積和家流だ。
「ふぁぁ・・・ねみ・・・」
蕎麦を一口食べてから俺は欠伸をする。 やることがこれと言って無いのも、また退屈なのだ。
「カズ。 年が明けるまでは寝るんじゃないぞ。」
「分かってるよ。 でもそれとこれとは話が別だって・・・ふぁぁ・・・」
「年が明けたらゆっくり寝ればいいさ。 初詣は朝にでも行けばいい。 ・・・後1時間を切ったな。」
時計を見れば長い針が後一周すれば今年は終わりになるところまで来ていた。 最初の3ヶ月はともかく、高校生になってから色んな事をしたものだ。 中学生の時の自分が見たらどう思うだろうか。
本当に色々な事をしたものだ・・・
「カズ。 寝るな。 あともう少しだぞ。」
思い出に浸りながら寝落ちしかけた俺を姉さんが起こす。 そしてテレビでカウントダウンが始まり、そして
『新年明けましておめでとうございます!』
テレビからの大音量でそんな声が響いた。
「それでは我々も。 明けましておめでとうございます。」
『明けましておめでとうございます。』
そこからはみんな流れるように部屋に戻る。 うちでは年が明ければすぐに解散となる。 みんなそれなりに常識的な生活をしているため、この時間帯は眠たくなるのだ。
そして俺も寝るために横になった時に携帯が鳴る。 概ね新年の挨拶なのは想定済みであるので文句はない。
「さてさて誰から来たかな?」
最初に確認できたのは
『明けましておめでとうございます数馬君。 今年度もよろしくお願い致します。』
安定というか待っていたと言わんばかりのフィーナからの言葉だった。 最初に貰えるのは良いことだと思いながらフィーナに返信文を書いていると、今度は芦原からメールが届いた。
『祝福なる鐘の音が終わり、新たなる年が明けたようだ。 我が相棒。 これからも我と共にあらんことを。』
普通に祝えんのかあいつは。 らしさ全開でいいけどよ。 そしてフィーナへの文を書書き終えると、もう一度メールが届く。
「・・・うん? またフィーナから?」
『よう。 驚いただろ。 オレが誰かは言わなくても分かるだろ? ま、オレからも祝ってやろうと思って送っただけだ。 深い意味はないからな。』
まさかのエムゼからのメールだった。 あいつもそう言うことをいうようになったんだな。 そんなことを思いながらフィーナに返信してから、すぐに夢に落ちたのだった。




