始まる前の注意事項
文化祭当日の朝。 これから文化祭が始まろうとしているなか、全校生徒及び職員は体育館に呼ばれる。 文化祭の開会式があることは別に疑問には思わない。 思わないのだが、集められた後の空気は少々重々しいものを感じた。
「これから楽しい文化祭だってのに、大丈夫か?」
不安に駆り立てられるのは俺だけではないようで、他の生徒もざわめきは隠しきれていないようだ。
そして開会式が始まり、開会宣言がされるタイミングで、生徒会長が現れる。 そう言えばうちの学校の生徒会長、そこまでちゃんと見たこと無かったな。
うちの生徒会長は男子だが、威厳があるようにはあまり見えない感じだ。 それでも生徒会として纏められているのだから、実力はあるのだろう。
「諸君。 これからこの学校にも文化祭が始まろうとしている。 しかしそれと同時に多方面からの入場も許可している。 我々が粗相がないようにするのは勿論だが、今回ばかりはお客に対する目にも注意して貰いたい。」
生徒会長の言葉の意味が分からず空気が困惑し始める。 学校の生徒としてお客に迷惑をかけないのは当然の事だ。 だがお客に対する目とはなんの事を言っているのだろうか?
「先程も申したが多方面からの入場、つまり他の学校の生徒も訪れる。 そして最近は少なくなってはきたものの、やはりまだちょっかいを出してくる他校の生徒もいる。 そのような者を学校に入れるつもりは本来はないが、特定の学校の生徒と言うだけで受け入れないのは、こちらの面子にも関わる。 個人的要求とも捉えても構わないが、それだけは皆にも協力して貰いたい。」
なるほど。 つまりトラブルにならないようにこっちからも監視をして貰いたいわけだ。 少しの異変に気が付けるのは、現場の人間だけだからな。 そう考えていると姉さんが生徒会長の隣に立つ。 そこまでの地位に立ったんだ。
「補足として付け加えるなら、もし迷惑行為の場面に遭遇しても、決して現行犯で捕まえようとせずに、証拠写真などを撮り、生徒会または近くの教員に報告をしてほしい。 対応はこちらで行うつもりだ。 警備員という訳ではないが、一応地域の方々もその対応に協力してくれる。」
姉さんが右手を差し向けた先にいる人達には、「警邏中」の腕章が付けられていた。
「これも文化祭を楽しむためだと思って貰いたい。 ・・・遅くはなったが、これより文化祭の開始を宣言する。 皆、よい青春を嗜んでくれ。」
そうして本当の意味で文化祭が始まったのだった。




