準備も佳境
いよいよ文化祭もあと何日かといったところまで迫ってきた。
当日に飾るもの以外は教室のロッカーの上に整頓されている。 勿論壊さないように配慮もされている。
クラスメイトもなんだかんだと手品の腕を上げている。 とは言え素人目に見せれる程度で本格的なものを仕込んでいるのはほんの数人しかいない。 いや、本格的なものを出来るだけでも凄いのだけれど。
「服装も大体揃ってきたわね。」
改めてどんな服があるのかと見てみれば、燕尾服が並んでいた。 燕尾服と言っても上に羽織るものとネクタイしかないので、本当にこれだけかと思うが、男子はカッターシャツの上から来てしまえば大差ない。 なんだったらちょっと早いが学ランという手も考えていたらしい。 ちなみに女子はこれに加えてタイトスカートを穿くらしい。 学校のスカートじゃ示しがつかないとかなんとか。
あと作っているのは看板や観客に渡すようの造花だったりする。 手品とは微妙に違うが、バルーンアートもやるらしい。
「それにしても大量に風船があるなぁ。 膨らませるの大変じゃね?」
「本番時にヘリウムを入れるそうだぞ。 しかし風船となればピエロがいそうだと思わないか?」
「それってどっちかって言えばサーカスじゃないか?」
「いえ、手品の方でもピエロは出てくるものですよ。 おどけた雰囲気で観客を驚かせる、という役割で。」
そんな話をしていたら西垣がこちらにやってくる。 その手には既に花飾りがいくつも作られていた。
「どうぞ。 お二人の分です。」
「ああ。 悪いな西垣。」
「この手の作品はどうも苦手でな。 バルーンアートならばやりようはあるのだが。」
どうやら芦原はバルーンアート部門でも活躍するらしい。
「でもようやっと様になってきた感じはするんだよな。 覗き見る時間も大分短く出来てきたし。」
「相棒の成長はやはり目を張るものがあるな。 相棒は意外と器用貧乏なのかもしれないな。」
「毎回思うがその器用貧乏って褒め言葉に聞こえないんだよな。」
「なんでも出来るのと分野に特化することは違うからな。 喜ばしいものでないものは確かなのかもしれない。」
「でも出来ない人って本当に出来ないらしいので、そういう意味ではいい言葉では無いでしょうか?」
そうかぁ?と思いつつも、これ以上は口を挟むのを止めた。 ここで議論を繰り広げたところで意味はないし、なによりまだ仕事が残っているのだ。 無駄口は叩けない。
そして残りの数日で出し物や飾りつけを全て完成させて、いよいよ文化祭の幕開けになる・・・とは簡単にはならなかったようだ。




