回れないなら
文化祭の準備も、開催が近付いてきたと言うことで力を更にいれ始める。 そんな中でお客さん相手に対応するメンバーを時間事で選出していったのだが、結果としては俺と西垣、更に芦原がバラバラの時間帯で役割をローテーションする形になったのだ。
「すげぇな。 休憩時間ですら被らないとは。」
馬鹿にしているのではなく本心でそう思っていた。 それだけ出し物に対して、そしてお客を楽しませるために必死に考えた結果なのだろう。 結果として見れば、だが。
隣の席の西垣は不服そうな顔をしているのを見逃してはいない。 これだけ真横にいるのに、理由もなく不機嫌になっている西垣を見てみぬ振りなど出来るわけがない。
「むぅ・・・」
「・・・あの時間帯が嫌なら変わるが?」
「そう言うことではありません。」
選択肢は失敗に終わる。 エムゼにはなっていないので、まだ大丈夫な範囲なのだろう。
「折角の文化祭なのですから、積和君と一緒に回りたかったんです。」
「・・・あぁ、そういう。」
そう思ってくれるのは嬉しいのだが、やはり出来ないものは出来ない。
とは言えなにも出来ないわけでもない。
「まあ文化祭は無理でも、別の日ならいいんじゃないか? 今週は文化祭の準備とかで忙しいけどよ。」
「文化祭で回りたかったんです。」
むう、今回の西垣は手強い。 それならいっそのことエムゼになってくれてた方が良かったかもしれない。 若干失礼なことを思いつつ俺は西垣に対話を続ける。
「今回ばかりは仕方ないって。 それに時間をダブらせるために調整させ直すのも気が引けるしよ。」
「・・・」
なかなか機嫌が直らない西垣にヒヤヒヤする。 そしてようやく西垣はため息をつく。
「確かにここで私が駄々をこねたところで変わらないかもしれませんよね。」
納得は出来ていないだろうが、そんなことで怒っていてもしょうがないと判断したのか、西垣は機嫌を少しだけ直してくれた。
「それに文化祭は楽しむものですから。」
「ちょっと気になったんだが、そんなに楽しみだったのか?」
そこまで気にすることでもないのだろうが、聞いてみたくなってきた。
「小さい頃の文化祭よりも大きく出来ると思えばやはり楽しみになります。 出店なども出回るならなおのことだと思いませんか?」
そういう理由だったか。 確かに小中学校よりは大々的に出来るだろう。 そう言われれば楽しみと言えば楽しみなのだろう。
「積和君も楽しみなのですか?」
「ん? そりゃあまあな。 なんでだ?」
「いえ、積和君が笑っていたので。」
そんなに露骨に出てたか? 分からないがそうなのかもしれないと思いながら放課後を過ごした。




