【8話】恋すること
「さとみーーーーー!きた!小宮もおせ〜よ!!どこ行ってたのー」
「ラーメン食い行こうとしたけど、電話きたし、楽しそーだったから。」
「クソ小宮ーーーー」
そうみんなが揃ってわちゃわちゃしている中、里見くんと目が合った。
声かけようとしたら里見くんは別の男の子に話しかけられそっちに行ってしまった。
「でわ、乾杯の音頭を、体育委員長の小池にお願いします!」
小池さんはクラスを盛り上げるムードメーカー。みんなに優しく面白い子だ。
「いや体育委員カンケーないだろ」
「いいよいいよ、小池go!!」
「んじゃー私が乾杯の音頭をさせて頂きます。えー皆さん2日間お疲れ様でした。小宮達はラーメン食いに行こうとしていたらしいですが。。。団結なさそうであるクラスがサイコーーーーです!ではいい夜にしましょーーー!!かんぱー…」
『カンパーーーーーーーーイ!!!』
「いや、言っちゃうんかーーーーーーーーい!!!」
「だってなげーからさぁー」
「ぜってぇ最初からそれやりたかっただけだろ」
「まーまー小池!今日は無礼講だからさっ許せ?」
「何が無礼講だよwもはやいつも無礼講だろっっw」
わちゃわちゃしながらご飯を食べて、やっぱり来てよかったなと思った。
「ちょっと私、トイレ行くねぇ〜」
私はトイレに行って紗英に電話した。
『来れば良かったのにー』
『そりゃ行きたかったよ私だって。てかどうなの?神谷は。』
『あーー。うんぜんっぜん大丈夫、楽しいよ。』
『良かった、やべ店長きた。私仕事戻るわ』
『そっかー頑張ってね』
そうして私がトイレから戻るとみんな席に座ってなくて自由に移動していた。
神谷の隣しか空いてないなー。まぁいっか、神谷は違う女子と話してるし、里見くん近くにいるし。
そして神谷の隣に座ると里見くんが私に気づき話しかけてくれようとしたので私も里見くんに体を向けて座った。
「さと…」
「里見くん!!!」
目の前にいきなり神谷の頭が現れた。
「う、え?」
里見くんは、驚きながらも返事をする。
するといきなり神谷は声を小さくして話し出す。
私は何の話か気になって耳を澄ませた。
「里見くんって女の子とLINEしてる?」
ゲッきっ気まずい。。。。
「えー?あー。まあ。」
「1番最近した女の子は?」
ちょっと待ってよ、それ私じゃん。てかその話加われないし。。。
私は嫌がらせをされているとすぐに気が付いた。
「何で、それを知ってどうすんの?」
そーだそーだ里見くん!!!はっきり言ってやってよ!
「うーーーん、何となく。てかさ。LINE見せて?」
はぁぁぁぁぁぁぁ?なぜ?なぜ里見くんがおめぇにLINE見せるんだよ!!彼女かよっっ!!
「は?なんでだよw」
「やましい事でもあんの?」
「ねぇーよ」
「じゃー見せれるっしょ?」
「お前が見せるなら俺も見せる。」
そーだそーだ!しっかり断れー里見くん!!!
「いーーーーよーーー!はーーーい」
嘘だろ。。。。。なんなんだこいつは!!
「はい、里見くん見せて?」
「見ても意味ねーのに、ほらよ」
みみみみっみせた。。。。
なんで里見くんは見せちゃうの。てか文化祭で神谷と仲良くなれたじゃん。なんでこんなことするの。。。
私とのLINEなんてただの友達の一人からのLINEだもんね。。一喜一憂してた私バカみたい。
もう悲しくなるだけだから、聞くのやめよう。
それから女子トークに参加したけど全然頭に入ってこなかった。
「えーーじゃーあの塾の子はー?」
「なんもねーってっw」
たまに聞こえる楽しそうな声。早く帰りたい。
それからどのくらい経っただろう。やっとお開きの時間になった。
「ごめん。トイレ行くね」
そう言ってトイレに向かったすると偶然にも神谷が出てきた。
「里見くんって本当面白いね〜。私1学期から推しメンなんだ〜。んじゃ、クラスで写真とるらしいから早くした方がいいかもよー」
そう言ってトイレから出て行った。
今の言葉は何。好きだって言いたいの?私だって好きだもん。ずっとずっと里見くんだけ見てきたもん。高校での初恋だもん。
泣きそうになりながら、手を洗っているとトイレの清掃のおばちゃんが私に声を掛けた
「幸せになりたいなら自信を持ちなさい。自信のある女性ほど綺麗なものはないわよ」
そうクシャッと笑ってトイレの個室に行ってしまった。
「ごめん。待たせた」
「おっセーよ!ハイとるぞー」
写真を撮った後も神谷は里見くんにベッタリしていた。
もう里見くんの顔も見たくない声も聞きたくない。
急いで帰る準備した。
「優梨奈?一緒に帰らないの?」
「あー、私家がみんなと反対方向なんだなーーははっっ。んじゃバイバイ」
恋ってこんな苦しかったんだなぁ。バチ当たったのかな。あー、LINEしてるなんて言わなきゃ良かったのに。言わなければこんな辛くないのに。もうLINEなんてできないよ。どーせ神谷に見られちゃうんだから。振られてもないのに振られた気分。私このまま恋続けられんのかな。
戻れるなら恋する前に戻りたい。
今日やっぱ来なきゃ良かった。