【9話】辛い思い
今日は家にまっすぐ帰りたくなくて、星が綺麗に見えるマンションの屋上に来た。
あの時、あたしが神谷に言わなければこんなことにならなかったのに。
余計なこと言っちゃたなー。神谷と文化祭で仲良くなれるかもなんて思ってたのに、そう思ってたのあたしだけだったんだなー。
それは考えれば考えるほど涙は止まらなかった。
『ピロンピロロロンピロンピロロロン』
電話かよ。こんな時に。
「はい。」
「やっぱり泣いてんのか」
この声は
「紗英。。。」
「聞いたよー。様子おかしいって、瑠璃香から。」
こんな時にいつも助けてくれるのは紗英。
「何あったの?」
「紗英ーーーーーー」
「あたしはあんたの母ちゃんかい。」
笑いながらも優しい声で、安心してもっと私は泣きわめいた。
それから少しして今日の打ち上げのことを全部話した。
「それはさー。神谷が大人げないねー。自分がLINEしてないから、それを急に感じたんじゃない?でもあんたは頑張ってるからなんも悪くないよ。」
「そんで振られてもないのに振られた気分で。。。。」
「そっかそっかー。ごめんね今日行けなくて。でもさ、こんなことで里見を諦めちゃダメだよ?絶対後悔すっから。」
そうだよなぁ。諦めるのは早いよなぁ。もう少し頑張ろうかなぁ。
「ダイジョーブダイジョーブ!明日になったら、里見ともいつもどーりに話せるって!」
「うん…。ありがとう、バイト中でしょ?」
「良いんだよ。抜け出してっから。」
そう言って紗英は私の気がすむまでずーっと電話を切らないでくれた。
そして次の日の朝。
私はギリギリまで家を出ないで机の上で顔をうずくめていた。
「あんた!良い加減にしなさいよ?あんた受験生なんだからね?」
お母さんが遂に私の部屋に入って来た。
「具合悪い」
私はそう机に伏せたまま答えた。
「もう知らないからね、あたしもう仕事行くから。ちゃんと学校行きなさいよ!」
行きたくないんです。引きこもりになりたいです。不登校です。。。
はー、とりあえず学校行くか。お母さんうるさいし。
そうして嫌々ながらも支度をして自転車を漕いだ。
下駄箱の前、やはり行きたくない気持ちが勝る。
下駄箱を開けかけた手を止め、帰ろうとした瞬間誰かのぶつかった。
やべぇ、サボりを目撃されちまう。そう思った私は下向いたままボソッと「すいません」と言った。すると頭の上から声がする。
「いてぇーーよ!!お前ほんっと俺と当たるよなー。しかも下向てさ、具合でも悪いのか?」
その男子生徒はそう言ってしゃがみ下から私の顔を見上げた。
その瞬間時間が止まったと思った。なぜならその男子生徒は、里見くんだったから。
「さっ里見くん!!」
「えー当たっといて気づかなかったのかよ。」
「ごっごめん。」
いや昨日の今日ですから。テンションダダ下がりですから。いちいち誰とか気にする余裕なんてないです。
「里見くん、遅刻だよ?」
「いや、お前もな?しかも、帰ろうとしたな?」
「具合悪いからね。」
「何で?バカは風邪ひかないは嘘なんだなー」
「里見くんに言われたくないよ!!」
「はいはいそーだな。ほら、行くぞ」
そう言って里見くんは私の手を握ろうとした。
「なに、やめてよ。」
私はその手をとっさに振りほどいた。
「いや、具合悪いって言うから、ほけんし」
「そーゆう中途半端に…」
「え?」
「何に対しても中途半端なんだから。里見くんはねぇ、だらしないの。私だらしない人嫌い。大っ嫌いだもん。」
泣きそうになりながら、走った。
元々仲良く話してくれるってだけで好きになったんだもん。どうやら女にだらしなそうだし、すぐ他人にLINEは見せちゃうし。
そんな男こっちから願い下げだもん。
そう思いながら階段を走って上がり屋上で1人たそがれた。




