【16話】迷い
【16話】
「立川?」
「どしたの?急に電話って。」
すると星柄くんは少し黙ってから口を開いた。
「立川元気なかったなって今日思って。」
「あぁ。」
たぶん里見君の事だとすぐに気付いた。しかし星柄君にそんなこと話す必要ないと言うよりか、星柄くんにまで無駄な心配はかけまいと思って私は適当にごまかした。
「こないだあたし受験でさ~あんまり上手くいかなかったなーってね。でも全然星柄君が思っているより気にしてないし。明日になったらそんなことも忘れてるくらい元気になると思うし。」
黙って星柄君は私の話を聞いてくれた。
「そっか。俺って立川と仲良くなったの最近だし、いつも仲良くしてる里見と違ってあんまり面白い話できないし。だから心配しても何もできなかったんだよねいままで。」
そう、あまり私を星柄君は気にかけてくれる訳ではなく、私にあまり興味が無いんだなと思っていた。
「うん。でも星柄君はいつも優しく私の話を聞いてくれるでしょ?そーゆうところほんとに良いところだと思ってるよ。」
気にしてはくれなくても私が話かけるといつも楽しそうに話し相手になってくれていた。
「はぁ。俺上手く言えないんだけど、どうやら立川のこと好きになってしまったみたい。」
私は頭の中真っ白になって何も言えなくなってしまった。星柄君が?私を好き?なんでという疑問しか沸いてこなかった。
「もしよかったら、俺と付き合わない?」
「っちょっとまって。私のろまだし、うじうじしててはっきりしてないし。科学馬鹿だし。そんなあたしだよ?」
私は頭が真っ白になりながら、星柄君の言った言葉を頭の中で何回も再生しながらもテンパっていた。
「そんなこと言うなよ」
星柄君は笑って答える。私は嬉しかった。素直に嬉しかった。だけど今すぐに返事のできない自分がいることも確かだった。
「でもちょっと。少しだけ時間がほしい。私は星柄君にそんな事言ってもらえて飛び上がるほど嬉しいし。今すぐ返事をしたいけど。いきなり過ぎて、わたし心の準備とか…。」
「うん。うん。立川の気持ちの整理ができたらでいいから。逆にいきなり電話してごめん。返事はそんな急がなくていいから。俺の気持ち伝えたくなっただけだから。」
「うん、ありがとう。」
そういって星柄君は電話をきる。未だに頭がポワーっとして何も考えられなくなっていた。
紗英たちの元に戻ると彼女達は目を輝かせていた。
「こ、告白された。」
二人とも輝いた目をこちらに向けていた姿勢から固まって動けなくなっている。
「優梨奈あんた今なんて言った?」
「星柄君に告白された。」
二人は顔を見合わせてまたこっちを見た。
「あんたなんて言ったの?」
「時間を下さいって。」
「……。」
二人はぱたっと黙った。
「なんで黙るの」
「ごめん優梨奈。特に何も言い返せなかった。まぁゆっくり考えたら良いんじゃない?里見のことだってあるし。」
二人とも急に冷静になった
「そ、そうだよゆりちゃん。ゆっくり考えて。里見君のこともあるし。」
実際彼女達の言うとおりである。
「そうだよね。里見くんに対してきっぱり何もなくならないと、星柄君に失礼だよね。少し気持ちを整理してみる。」
今は里見君に気持ちが向かっていたのも否定はできないし、かといって星柄君は優しいし、気持ちを整理しないといけないよね。
紗英と瑠璃香たちとお祝いパーティーで盛り上がり、一人帰り道に星柄君からの告白についてしっかり考えた。
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次の日私は未だに気持ちの整理はできていない。だけど、いやだからこそ最近あまりちゃんと話しをできていなかった里見君と話そうと思っていた。
だけど朝っぱらから…
「さとみくーーーん!!ここの問題教えてほしいんだけど。」
「こんなのもわかんないのかよ。」
とまあいつも通り里見君の隣には神谷がいた。
「あーーーまじ、なんなん?あいつ。めっちゃ腹立つ!!わかんない問題なんか先生に聞けよ。あーーむかつくから一発あたし言ってくるわ。」
「いやいやいや。やり過ぎだって、落ち着こう紗英ちゃん。」
「瑠璃香は腹立たないの?」
「そりゃめちゃめちゃ腹立つけど。ここで神谷にキレたらゆりちゃんの立場無いでしょ?」
「そーだけど」
朝から神谷と里見君の関わりにイラついている二人。
「てかあんた朝から一言も発してないけどどーなの?」
「いや、私は別に、何も考えてないよ?ほら二人とも受験まだだから一緒に切磋琢磨してるんだよ。」
私はこう言いながらも本当は心の中でメラメラしていた。
そう言いながらも一日はやはりあっという間に終わってしまう。今日も神谷は里見君から離れる様子も無く今日も話す事はできなかった。
「優梨奈今日一緒に帰るっしょ?」
「あー、今日掃除当番なんだ。ごめん先帰ってて。」
今日はもう一人になりたかった。そういや駅前に新しいおしゃれなカフェができたって言ってたな。寄って帰ろうかな。
そう考えながらトイレ掃除を終わらして一人帰宅しようと教室に帰ると人気をかんじる。
こっわ幽霊かよ。と恐る恐る教室に入ると。里見君が席で座っている。
なんでこんなとこで寝てるんだろう。。。あぁそうか、残って勉強しようとしたら眠くなったんだな。それじゃ静かに帰ろうと自分の荷物をまとめていると、
『ガタンっ』
やべ、起こしちゃったかも。。
「ごめん、起こしちゃった?」
「遅い。何してたんだよ。」
「へ?」
「生物のノート。」
「が、どうしたの?」
「てかノート全般。貸してほしい。」
「いや、他の人から借りれば良かったじゃない」
「借りる人いないし。」
「いるじゃん」
私は神谷がいるだろうと、ちょっと皮肉を込めて言った。
「お前のが見やすいから頼んでんじゃん。てか俺が学校休むことになったの誰のせいだったと思ってんの?」
少し間をあけて、下を向いて気まずそうに彼は言った。
「それは謝ったでしょ?」
「いいから、ノートかして?」
笑いながら里見君は言う。その笑顔はやっぱ綺麗で、透き通っていた。
「今日は生物、現代文、数学、英語しかないよ。」
「んだよ、じゃあお前の家まで送る代わりに、ノート部屋から持ってこい。」
久しぶりに聞く上からの言葉にやけに腹が立つ。
「里見くん。それは借りる立場の人がお願いする言葉ですか?私は送ってもらわなくて結構。お先に」
少しの間彼は無言になり、また心にも無いこと言ってしまったと反省していると。
「送るんで、そのついでにノート貸してもらえませんか?」
私の目の前に立って、彼は言った。私より背が高くてどこか涼しげな雰囲気のある彼。
「仕方ないな~。」
私は仕方ないとか言いながらも少しほっとして、たぶん相当の笑顔を向けてしまったんじゃないかと思うけど、たまにはいいのと自分に言い聞かせて里見君と一緒に下校した。




